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魔王の軍議
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「良く来たな。まぁ座って楽にしてくれ」
後日、魔王の部屋に再び訪れると、昨日とは打って変わってテーブルの上には地図が広げられており、各部隊の指揮官らしき者達も並んでいた。
さながら、軍議の様相であった。
因みにそこには、ジョバンニもいた。
「さて、全員そろった所で軍議を始めよう。まずは、オラグール、各兵器の状況は?」
「は」
すると、オークの男が喋り始める。
ということは兵器部門担当なのだろう。
「各兵器、すべて異常ありません。また、輸送隊の報告によると、後数日で魔王都より兵器が複数送られてくるとのことです。敵の攻撃で多少破損しても、即座に補填は効きます」
「うむ。兵器部門は本当によくやってくれている。次にアンドゥル。各部隊、兵員以上は無いな?」
次は犬型の魔物、いや魔族であるアンドゥルと呼ばれたコボルトが喋り始める。
ということは恐らくだが自衛隊でいう当直のような何かなのだろう。
自衛隊では、当直が人員の欠員や怪我などをほうこくしていたという。
彼もそれなのだろう。
「は! 体調不良者もおりません! 欠員無しです!」
「うむ。総勢一万の兵員の管理をアンドゥルもよくやってくれているな。本当に助かってるぞ」
「は! ありがたきお言葉!」
サティスは一人一人に褒め言葉を贈っている。
指揮官から送られるそういった言葉は非常に励みになるものだ。
「じゃあ、次に糧食班長、テムン。備蓄は問題無いな?」
すると、今度はゴブリンが答えた。
成る程。
彼女が一々名前を呼んでいるのは紹介も兼ねているのか。
「へい! 備蓄も勿論、各兵の手持ちの糧食も抜かりありません! 輸送隊も次々と届けてくれるおかげでなんとかなってます!」
「うん。ご苦労。糧食は士気に関わる大事な分野だ。その調子で頼む」
「へい!」
ゴブリンのテムンは元気よく答える。
すると、リザードマンが手を挙げた。
「魔王様……ご報告が」
「なんだ? 要塞管理のカーダか、遠慮せずに言え」
「は。実は要塞内の一部が老朽化により崩落。幸いにも入り組んでおりますので孤立したりはないのですが、一部の道が使えず、不便を強いられております。補修作業にかかりたいのですが私の手の者の数では少し心細く、人員の派遣をお願いしたいです」
すると、サティスは笑顔で頷く。
「うむ。勿論だ。お前達は補修作業や改修作業等があるからな。手が回らないのも仕方がない。だが老朽化により崩落したという事は他の箇所もその可能性がある。点検は怠らないようにな?」
「は!」
「うむ。報告ありがとう。皆も何かあれば臆すること無く意見してくれ! 可能であれば対処するぞ!」
成る程。
彼女がまだまだ若いのに魔王として君臨出来ている理由が理解出来た。
彼女は若いが故に、自分が未熟であると理解し、周りの意見を聞き入れてきたのだ。
血筋で選ばれた魔王の座。
その使命感からか、非常によくやっている。
……というか、見た目は若いが、実際どうなんだろうか……。
「佐切。異世界人であるお前から見て、何か意見できる事は無いか? 何かあれば申すが良い」
「……そうですね……」
ならば、一つ気になっていた事がある。
「実は、搦手砦で魔王軍を指揮した際、非常に不便に感じた事が」
「ほう……それは?」
臆することは無いと言った。
ならば、意見させてもらおう。
「通常の軍の編成がどうかは知りませんが、搦手に派遣された軍の編成が他種族の混成軍でした」
「……それが?」
サティスはそれがどうかしたのかと言うかのように答えた。
やはり、それが普通なのか。
「はい。魔王軍には多種多様な種族がおります。機動力に優れたケンタウロス族、夜目に優れた者や小さく小回りの利く者、体が大きく、体力の優れた者。これらの種族が混ざり合って軍を編成することであらゆる事態に対処できますが、問題もある」
「ふむ……」
「それは、機動力です」
皆、静かにこちらの話を聞いている。
「この編成のままでは、軍は一番足の遅い種族に合わせて動かねばならない。なので、自分からは軍編成の見直しを提案致します」
軍編成の見直し。
これが俺の初仕事、か。
後日、魔王の部屋に再び訪れると、昨日とは打って変わってテーブルの上には地図が広げられており、各部隊の指揮官らしき者達も並んでいた。
さながら、軍議の様相であった。
因みにそこには、ジョバンニもいた。
「さて、全員そろった所で軍議を始めよう。まずは、オラグール、各兵器の状況は?」
「は」
すると、オークの男が喋り始める。
ということは兵器部門担当なのだろう。
「各兵器、すべて異常ありません。また、輸送隊の報告によると、後数日で魔王都より兵器が複数送られてくるとのことです。敵の攻撃で多少破損しても、即座に補填は効きます」
「うむ。兵器部門は本当によくやってくれている。次にアンドゥル。各部隊、兵員以上は無いな?」
次は犬型の魔物、いや魔族であるアンドゥルと呼ばれたコボルトが喋り始める。
ということは恐らくだが自衛隊でいう当直のような何かなのだろう。
自衛隊では、当直が人員の欠員や怪我などをほうこくしていたという。
彼もそれなのだろう。
「は! 体調不良者もおりません! 欠員無しです!」
「うむ。総勢一万の兵員の管理をアンドゥルもよくやってくれているな。本当に助かってるぞ」
「は! ありがたきお言葉!」
サティスは一人一人に褒め言葉を贈っている。
指揮官から送られるそういった言葉は非常に励みになるものだ。
「じゃあ、次に糧食班長、テムン。備蓄は問題無いな?」
すると、今度はゴブリンが答えた。
成る程。
彼女が一々名前を呼んでいるのは紹介も兼ねているのか。
「へい! 備蓄も勿論、各兵の手持ちの糧食も抜かりありません! 輸送隊も次々と届けてくれるおかげでなんとかなってます!」
「うん。ご苦労。糧食は士気に関わる大事な分野だ。その調子で頼む」
「へい!」
ゴブリンのテムンは元気よく答える。
すると、リザードマンが手を挙げた。
「魔王様……ご報告が」
「なんだ? 要塞管理のカーダか、遠慮せずに言え」
「は。実は要塞内の一部が老朽化により崩落。幸いにも入り組んでおりますので孤立したりはないのですが、一部の道が使えず、不便を強いられております。補修作業にかかりたいのですが私の手の者の数では少し心細く、人員の派遣をお願いしたいです」
すると、サティスは笑顔で頷く。
「うむ。勿論だ。お前達は補修作業や改修作業等があるからな。手が回らないのも仕方がない。だが老朽化により崩落したという事は他の箇所もその可能性がある。点検は怠らないようにな?」
「は!」
「うむ。報告ありがとう。皆も何かあれば臆すること無く意見してくれ! 可能であれば対処するぞ!」
成る程。
彼女がまだまだ若いのに魔王として君臨出来ている理由が理解出来た。
彼女は若いが故に、自分が未熟であると理解し、周りの意見を聞き入れてきたのだ。
血筋で選ばれた魔王の座。
その使命感からか、非常によくやっている。
……というか、見た目は若いが、実際どうなんだろうか……。
「佐切。異世界人であるお前から見て、何か意見できる事は無いか? 何かあれば申すが良い」
「……そうですね……」
ならば、一つ気になっていた事がある。
「実は、搦手砦で魔王軍を指揮した際、非常に不便に感じた事が」
「ほう……それは?」
臆することは無いと言った。
ならば、意見させてもらおう。
「通常の軍の編成がどうかは知りませんが、搦手に派遣された軍の編成が他種族の混成軍でした」
「……それが?」
サティスはそれがどうかしたのかと言うかのように答えた。
やはり、それが普通なのか。
「はい。魔王軍には多種多様な種族がおります。機動力に優れたケンタウロス族、夜目に優れた者や小さく小回りの利く者、体が大きく、体力の優れた者。これらの種族が混ざり合って軍を編成することであらゆる事態に対処できますが、問題もある」
「ふむ……」
「それは、機動力です」
皆、静かにこちらの話を聞いている。
「この編成のままでは、軍は一番足の遅い種族に合わせて動かねばならない。なので、自分からは軍編成の見直しを提案致します」
軍編成の見直し。
これが俺の初仕事、か。
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