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佐切の選択
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「……有効な使い方、か……続けるが良い」
サティスはどうやら話を聞いてくれるらしい。
ならば、後は頑張るだけだ。
「はい。まず、スキル使いは魔王軍にとって非常に稀有な存在となります。もし味方になれば、その場にいるだけで非常に心強い存在となり、兵の士気の向上につながります。それに、戦略の幅も大いに広がります」
サティスは特に言い返すこと無く淡々と話を聞いてくれている。
他の皆も静かに見守ってくれていた。
「例えばそちらにいるレナ。彼女は偶発的にですが、回復スキルを持っています。そのおかげで命拾いした兵も多い。自分も助けられました」
縛り上げられている二人を見て続ける。
二人は相変わらずこちらを睨んでいた。
どうやら、人類の最大の敵である魔王であるサティスよりも、俺が憎いらしい。
「その二人が仲間になる可能性は非常に低いでしょう。しかし使い道はあります。例えばその二人は情報を多く持っています。戦において情報は非常に価値のあるもの。この場でたった一人の使えるかどうかもわからない人間の有用性を確かめるために二つの情報源を失うのは勿体無い」
「ふむ……」
サティスは非常に関心があるようだった。
これは押せるな。
「そして、この二人についてもある程度はわかっています。そこの男、ゴルドーは場慣れしており、戦闘の最中、作戦指示をしていた俺を見つけ、自分の身も顧みず俺を討とうとした判断力、そして精神面は非常に優れています。つまり、彼に拷問をかけても情報はあまり得られないでしょう」
次はソフィアの方を見る。
彼女はこちらを睨んでいたが、瞳の奥には恐怖が宿っている。
見た目からは強気に出ようとする意思は感じるが、何処かに恐怖を感じるのだ。
「しかし彼女、ソフィアは戦闘中、仲間であるゴルドーが取り押さえられ、驚いていた隙を押さえられました。それに若い。精神面が未熟であることの証拠です。つまり、彼女からなら情報を得られます」
「……お前は先ほどスキル持ちは稀有な存在、だと言ったな」
すると、サティスが切り返してくる。
「はい」
「ならば、その二人が情報源ということ以外に、スキル持ちとして有用だということを示してみせよ」
「わかりました」
即答はしたが、どうしたものか。
この二人が仲間にならない以上、どうしようもない。
……そうだ、あれがある。
「実は、先ほども言いましたがレナは偶発的にスキルを得られました。この世界の常識ではスキルは神官から与えられるもの。しかし、それ以外の例外が存在するのです。スキル持ち……いえ、スキルについて解析、分析することで、魔族でもスキルを得られるかもしれません。彼等は貴重な実験体にもなるでしょう」
「……ほぉ……面白い」
すると、サティスは近寄ってきて俺から剣を取り上げる。
そして、ゴルドーに近付くと、それで思い切り頭を切る。
「ちょっ……」
しかし、血は出ていない。
一切斬れていないのだ。
「……は?」
「これは儀式用の剣で、なまくらだ。まぁ、鈍器としては使えるがな」
確かに、ゴルドーは倒れていた。
「……じゃあ……」
「そうだ。殺すつもりなど最初から無い。私も、この二人は拷問して情報を吐かせようと考えていたからな。だが……」
サティスは魔王のように悪い顔で笑いながらこちらを見る。
まぁ、実際魔王なのだが。
「魔族でもスキルを得られるかも、か……面白い事を言う男だ……」
サティスは剣をしまうと、こちらに近寄って来て俺の顔を掴んで、まじまじと見る。
(……近い! そして、なんかいい匂いもする……そして顔が良すぎる! こんな美人見たことが無い! ……こちとら思春期の少年だぞ……)
何故か、今更緊張する。
こんな事で緊張するとは思ってもみなかった。
「よし! 気に入った! 佐切とやら、魔王軍に仕えることを許す!」
大きく笑いながらバンバンとこちらの肩を叩く。
「任務は追って告げる! 今日は休め! あ、キサラは残ってくれ。話したい事がある」
「はい。分かりました」
取り敢えず、何とかなった。
これからは魔王軍として、頑張ろう。
……なんかどっと疲れたな。
サティスはどうやら話を聞いてくれるらしい。
ならば、後は頑張るだけだ。
「はい。まず、スキル使いは魔王軍にとって非常に稀有な存在となります。もし味方になれば、その場にいるだけで非常に心強い存在となり、兵の士気の向上につながります。それに、戦略の幅も大いに広がります」
サティスは特に言い返すこと無く淡々と話を聞いてくれている。
他の皆も静かに見守ってくれていた。
「例えばそちらにいるレナ。彼女は偶発的にですが、回復スキルを持っています。そのおかげで命拾いした兵も多い。自分も助けられました」
縛り上げられている二人を見て続ける。
二人は相変わらずこちらを睨んでいた。
どうやら、人類の最大の敵である魔王であるサティスよりも、俺が憎いらしい。
「その二人が仲間になる可能性は非常に低いでしょう。しかし使い道はあります。例えばその二人は情報を多く持っています。戦において情報は非常に価値のあるもの。この場でたった一人の使えるかどうかもわからない人間の有用性を確かめるために二つの情報源を失うのは勿体無い」
「ふむ……」
サティスは非常に関心があるようだった。
これは押せるな。
「そして、この二人についてもある程度はわかっています。そこの男、ゴルドーは場慣れしており、戦闘の最中、作戦指示をしていた俺を見つけ、自分の身も顧みず俺を討とうとした判断力、そして精神面は非常に優れています。つまり、彼に拷問をかけても情報はあまり得られないでしょう」
次はソフィアの方を見る。
彼女はこちらを睨んでいたが、瞳の奥には恐怖が宿っている。
見た目からは強気に出ようとする意思は感じるが、何処かに恐怖を感じるのだ。
「しかし彼女、ソフィアは戦闘中、仲間であるゴルドーが取り押さえられ、驚いていた隙を押さえられました。それに若い。精神面が未熟であることの証拠です。つまり、彼女からなら情報を得られます」
「……お前は先ほどスキル持ちは稀有な存在、だと言ったな」
すると、サティスが切り返してくる。
「はい」
「ならば、その二人が情報源ということ以外に、スキル持ちとして有用だということを示してみせよ」
「わかりました」
即答はしたが、どうしたものか。
この二人が仲間にならない以上、どうしようもない。
……そうだ、あれがある。
「実は、先ほども言いましたがレナは偶発的にスキルを得られました。この世界の常識ではスキルは神官から与えられるもの。しかし、それ以外の例外が存在するのです。スキル持ち……いえ、スキルについて解析、分析することで、魔族でもスキルを得られるかもしれません。彼等は貴重な実験体にもなるでしょう」
「……ほぉ……面白い」
すると、サティスは近寄ってきて俺から剣を取り上げる。
そして、ゴルドーに近付くと、それで思い切り頭を切る。
「ちょっ……」
しかし、血は出ていない。
一切斬れていないのだ。
「……は?」
「これは儀式用の剣で、なまくらだ。まぁ、鈍器としては使えるがな」
確かに、ゴルドーは倒れていた。
「……じゃあ……」
「そうだ。殺すつもりなど最初から無い。私も、この二人は拷問して情報を吐かせようと考えていたからな。だが……」
サティスは魔王のように悪い顔で笑いながらこちらを見る。
まぁ、実際魔王なのだが。
「魔族でもスキルを得られるかも、か……面白い事を言う男だ……」
サティスは剣をしまうと、こちらに近寄って来て俺の顔を掴んで、まじまじと見る。
(……近い! そして、なんかいい匂いもする……そして顔が良すぎる! こんな美人見たことが無い! ……こちとら思春期の少年だぞ……)
何故か、今更緊張する。
こんな事で緊張するとは思ってもみなかった。
「よし! 気に入った! 佐切とやら、魔王軍に仕えることを許す!」
大きく笑いながらバンバンとこちらの肩を叩く。
「任務は追って告げる! 今日は休め! あ、キサラは残ってくれ。話したい事がある」
「はい。分かりました」
取り敢えず、何とかなった。
これからは魔王軍として、頑張ろう。
……なんかどっと疲れたな。
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