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説得の為の
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「どうした!? 何故誰も出て来ない!? 罠でも何でもない! 話し合いに来ただけだ!」
ロームはさらに前へ出てくる。
あの距離では後続の本隊も助けには来れないだろう。
ならば、罠では無いというのは本当なのだろう。
「彼女は罠等の姑息な手を嫌います。彼女の言っている事は本当でしょう」
「……へぇ……罠とかは姑息、ですか」
そう言うと、ジョバンニさんは慌てて訂正する。
「い、いや! 私自身が姑息と思っているのではなく……からかうのもいい加減にしてくださいよ」
「いや、すみません。ちょっとからかってみたくなったので」
搦手砦の戦いではジョバンニ達は罠に苦しめられた。
別にジョバンニが嫌味で言っている訳では無いのは分かっていた。
ただちょっとからかいたくなったのだ。
「佐切様!」
「勘助。大丈夫?」
「二人共。前線に来たのか。サティスは許可したのか?」
前線の敵に気付かれない安全な部屋で敵を観察していると、フィアナとレナがこの部屋に入って来た。
「勿論です。何かお力になれればと……」
「うん。勘助に何かあったら治してあげられるようにね」
正直、二人の助力は助かる。
特にレナの回復スキルがあるのは心強い。
「……ありがとうな。じゃあジョバンニさん。行ってきます。二人はここで待っててくれ」
「ああ。予め練っていた策の通りですな。了解した」
「気を付けて下さいね!」
「……やっと来たか」
「すまないな、待たせて。そして……久しぶりだな」
要塞から出てきて身をさらけ出す。
味方の兵器があるとはいえ目の前には敵の大軍。
もし一斉に攻めてこられたら、俺は確実に死ぬだろう。
考えるだけでも恐ろしい。
足が竦みそうだ。
「……お前は……」
「あんたらに追放された役立たずスキル『念話』の佐切勘助だ。忘れたか?」
「……忘れてはいない。ただ何故お前が出て来るか疑問に思っただけだ。私は搦手砦の指揮官を出せと言った筈だが?」
やはり俺が搦手砦を指揮したとは考えていないらしい。
スキルが劣っている者は能力も劣っていると考えているのだろうか。
「俺がそうだが?」
「……そうか。だからジョバンニ達第六騎士団を捕虜にしたのか。顔見知りだから殺せなかったか?」
「……いいや、殺すだけが勝利ではないと言う事を知っていたからさ」
「……どういう事だ」
ロームは警戒心をマックスにこちらを睨んでくる。
罠は無いと言ったが、剣は腰に持っていた。
彼女のスキル『神速』ならば即座に首をはねられるだろう。
「簡単な事だ。拷問で情報を吐かせたり、奴隷として売って資金源にしたり、労働力にもなるな」
「貴様……彼は、ジョバンニは無事なんだろうな!」
「さぁ……もう死んでるかもな」
そう言うと、ロームは剣を抜き、構えた。
(来るっ!)
すると、次の瞬間ロームが眼の前に来ていた。
そして、その切っ先は首に。
全く対応出来なかった。
この速度は逃れる事は出来無いだろう。
「本当の事を言え。もし死んでいたら……くっ!?」
そこまで言うと、ロームは凄まじい速度で後ろに引いた。
次の瞬間ロームのいた場所に矢が飛んでいく。
無論、俺の目の前を矢が飛んで行ったということである。
(めっちゃスレスレ……鼻かすりそうだったぞ……)
ロームは矢が飛んできた方を見る。
すると、そこにはジョバンニさんが弓を持って立っていた。
ロームはもう一つのスキル『危機予測』で避けてみせたのだ。
「ジョバンニ!? 何故……」
「何故も何も、こういう事だ」
ジョバンニさんは俺の隣に立った。
「俺は、魔王軍に味方することにしたんだ」
「……な……」
ロームは何も言葉を発さなかった。
いや、発せなかったのだろう。
何故、と聞き、その答えによっては深く傷付く可能性があったからだ。
(さて……ここからは任せましたよ)
ジョバンニさんの腕の見せ所だ。
期待させてもらうとしよう。
ロームはさらに前へ出てくる。
あの距離では後続の本隊も助けには来れないだろう。
ならば、罠では無いというのは本当なのだろう。
「彼女は罠等の姑息な手を嫌います。彼女の言っている事は本当でしょう」
「……へぇ……罠とかは姑息、ですか」
そう言うと、ジョバンニさんは慌てて訂正する。
「い、いや! 私自身が姑息と思っているのではなく……からかうのもいい加減にしてくださいよ」
「いや、すみません。ちょっとからかってみたくなったので」
搦手砦の戦いではジョバンニ達は罠に苦しめられた。
別にジョバンニが嫌味で言っている訳では無いのは分かっていた。
ただちょっとからかいたくなったのだ。
「佐切様!」
「勘助。大丈夫?」
「二人共。前線に来たのか。サティスは許可したのか?」
前線の敵に気付かれない安全な部屋で敵を観察していると、フィアナとレナがこの部屋に入って来た。
「勿論です。何かお力になれればと……」
「うん。勘助に何かあったら治してあげられるようにね」
正直、二人の助力は助かる。
特にレナの回復スキルがあるのは心強い。
「……ありがとうな。じゃあジョバンニさん。行ってきます。二人はここで待っててくれ」
「ああ。予め練っていた策の通りですな。了解した」
「気を付けて下さいね!」
「……やっと来たか」
「すまないな、待たせて。そして……久しぶりだな」
要塞から出てきて身をさらけ出す。
味方の兵器があるとはいえ目の前には敵の大軍。
もし一斉に攻めてこられたら、俺は確実に死ぬだろう。
考えるだけでも恐ろしい。
足が竦みそうだ。
「……お前は……」
「あんたらに追放された役立たずスキル『念話』の佐切勘助だ。忘れたか?」
「……忘れてはいない。ただ何故お前が出て来るか疑問に思っただけだ。私は搦手砦の指揮官を出せと言った筈だが?」
やはり俺が搦手砦を指揮したとは考えていないらしい。
スキルが劣っている者は能力も劣っていると考えているのだろうか。
「俺がそうだが?」
「……そうか。だからジョバンニ達第六騎士団を捕虜にしたのか。顔見知りだから殺せなかったか?」
「……いいや、殺すだけが勝利ではないと言う事を知っていたからさ」
「……どういう事だ」
ロームは警戒心をマックスにこちらを睨んでくる。
罠は無いと言ったが、剣は腰に持っていた。
彼女のスキル『神速』ならば即座に首をはねられるだろう。
「簡単な事だ。拷問で情報を吐かせたり、奴隷として売って資金源にしたり、労働力にもなるな」
「貴様……彼は、ジョバンニは無事なんだろうな!」
「さぁ……もう死んでるかもな」
そう言うと、ロームは剣を抜き、構えた。
(来るっ!)
すると、次の瞬間ロームが眼の前に来ていた。
そして、その切っ先は首に。
全く対応出来なかった。
この速度は逃れる事は出来無いだろう。
「本当の事を言え。もし死んでいたら……くっ!?」
そこまで言うと、ロームは凄まじい速度で後ろに引いた。
次の瞬間ロームのいた場所に矢が飛んでいく。
無論、俺の目の前を矢が飛んで行ったということである。
(めっちゃスレスレ……鼻かすりそうだったぞ……)
ロームは矢が飛んできた方を見る。
すると、そこにはジョバンニさんが弓を持って立っていた。
ロームはもう一つのスキル『危機予測』で避けてみせたのだ。
「ジョバンニ!? 何故……」
「何故も何も、こういう事だ」
ジョバンニさんは俺の隣に立った。
「俺は、魔王軍に味方することにしたんだ」
「……な……」
ロームは何も言葉を発さなかった。
いや、発せなかったのだろう。
何故、と聞き、その答えによっては深く傷付く可能性があったからだ。
(さて……ここからは任せましたよ)
ジョバンニさんの腕の見せ所だ。
期待させてもらうとしよう。
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