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友の覚悟
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「動くな! 動けば殺す! 民達も、自分たちの軽率な行動がこの男を殺すことになるぞ!」
「く……」
サナンが先程、魔王派のリーダーだと言ったのが悪かったようだ。
真っ先に狙われてしまった。
それにしても大樹にしては軽率な行動に出たな。
そんな事をしても何の意味もないというのに……。
「大樹。この状況で人質を取ってどうするつもりだ?」
「即刻兵を引かせろ。そして金輪際この街には手を出すな!」
「……」
俺は頭を抱えた。
あそこまで優秀で、他の同級生を置いていった奴がここまで愚かな判断を下すとは……。
洗脳のせいだろうか。
「良いか? もはやこの街の人間はお前についていく事は無い。俺達がここを去ったとしても、お前は町の住民に命を狙われ、逃げる選択肢しかなくなるだろう。お前はもう詰んでるんだよ。大人しくここから去れ」
「……いいや」
丁寧に説明してやると、大樹はナイフをサナンに更に近づける。
「こいつを本国につれて帰る。拷問……する必要はないな。スキルですべて分かる。こいつには俺達に逆らえばどうなるかを国民に知らしめる道具として活用させてもらう」
「な……」
「じゃあな! お前の負けだよ!」
大樹は先程からロームから目を離していない。
ロームの先程の動きでスキルの能力を見破り、決して油断していない。
恐らく、ロームが視界から消えた途端にサナンに突きつけられたナイフが突き刺さる事になるだろう。
「……いいや。そうはさせないさ」
「……何?」
サナンはナイフを突きつけられながらも余裕を見せる。
「佐切からあんたら勇者の情報は聞いている。もしあんたらと対峙する事になったら、スキルを持ってない俺達はなすすべ無く負けるだろう。佐切の策がどれ程素晴らしい物でも、一人たりとも死なないで勝つことは難しいだろう……だから、この侵攻作戦が決まった時から俺は死を覚悟していた」
「……さっきから何を……」
「だからこうするのさ!」
佐切は大樹が困惑している隙をついて腰の刀を引き抜く。
「っ!?」
しかし、大樹も即座に反応する。
ナイフはサナンの首に突き刺さる。
「サナン!」
「ぐ……なんの!」
サナンは思い切り刀を自身の腹に突き刺す。
「ぐ……」
「か……かは……」
サナンが自らの腹に突き刺した刀はサナンの背中を貫通し、大樹の体も貫いていた。
しかもサナンは確実に大樹を仕留めるため、腹部から斜めに刀を刺し、丁度サナンの背から突き出た刀の切っ先は、大樹の心臓へ向けて出ていた。
「ぐ……はぁっ!」
サナンは最後の力を振り絞り刀を身体から引き抜く。
刀の傷のせいで動けない大樹の拘束を振り解く。
そして振り返り、動きを止めた大樹の首を容赦無く撥ねた。
大樹の首が胴から離れ、地に落ちた時、大樹によって斬られた首を押さえながら、刀を地面に突き刺し、杖代わりにしてその場に座り込む。
「く……」
「サナン!」
「サナン殿!」
俺とジョバンニさんは即座に駆け寄る。
サナンの出血量は凄まじい。
何も対処しなければ数分で死に至る。
幸い、大樹のナイフはサナンの頸動脈を外れており、そこは致命傷ではない。
「……これが、俺の覚悟だ!」
サナンはふらふらと立ち上がり、刎ねた大樹の首を掲げて叫ぶ。
「如何に力の無い者でもスキル持ちには抗える! 覚悟と、命を賭せばスキル持ち等怖いものではない! 皆! 抗え! スキル持ちの横暴を許すな! 反スキル至上主義、万歳!」
サナンはそばにいた俺の肩を掴み、俺を使って民を扇動する。
「俺は命を賭した。しかしこの男は殆ど被害を出すこと無く三人のスキル持ちを倒してみせた! この男となら、勝てる! ザルノール国に……スキル至上主義のこの世界に!」
群衆は各々叫び、盛り上がりは最高潮に達する。
ここまでが、サナンの密かに描いてきた描いたストーリーか……。
流石だ。
しかし、もう無理はさせられない。
「サナン。もう無理するな。休め」
「サナン殿……お見事なご覚悟です。後は我々に任せて……」
「い……いや。まだ……もう一押し……」
しかし、ついに力尽きる。
サナンはその場に倒れてしまう。
「サナン!」
「サナン殿!」
「くそ……いくら私の『神速』でもレナを連れて来るには時間がかかる……誰か! 医者は居ないか! 応急処置を!」
仲間達が駆け寄る。
一先ず、勝利は収めた。
しかし、勝利の宴を開く事は難しそうだ。
「く……」
サナンが先程、魔王派のリーダーだと言ったのが悪かったようだ。
真っ先に狙われてしまった。
それにしても大樹にしては軽率な行動に出たな。
そんな事をしても何の意味もないというのに……。
「大樹。この状況で人質を取ってどうするつもりだ?」
「即刻兵を引かせろ。そして金輪際この街には手を出すな!」
「……」
俺は頭を抱えた。
あそこまで優秀で、他の同級生を置いていった奴がここまで愚かな判断を下すとは……。
洗脳のせいだろうか。
「良いか? もはやこの街の人間はお前についていく事は無い。俺達がここを去ったとしても、お前は町の住民に命を狙われ、逃げる選択肢しかなくなるだろう。お前はもう詰んでるんだよ。大人しくここから去れ」
「……いいや」
丁寧に説明してやると、大樹はナイフをサナンに更に近づける。
「こいつを本国につれて帰る。拷問……する必要はないな。スキルですべて分かる。こいつには俺達に逆らえばどうなるかを国民に知らしめる道具として活用させてもらう」
「な……」
「じゃあな! お前の負けだよ!」
大樹は先程からロームから目を離していない。
ロームの先程の動きでスキルの能力を見破り、決して油断していない。
恐らく、ロームが視界から消えた途端にサナンに突きつけられたナイフが突き刺さる事になるだろう。
「……いいや。そうはさせないさ」
「……何?」
サナンはナイフを突きつけられながらも余裕を見せる。
「佐切からあんたら勇者の情報は聞いている。もしあんたらと対峙する事になったら、スキルを持ってない俺達はなすすべ無く負けるだろう。佐切の策がどれ程素晴らしい物でも、一人たりとも死なないで勝つことは難しいだろう……だから、この侵攻作戦が決まった時から俺は死を覚悟していた」
「……さっきから何を……」
「だからこうするのさ!」
佐切は大樹が困惑している隙をついて腰の刀を引き抜く。
「っ!?」
しかし、大樹も即座に反応する。
ナイフはサナンの首に突き刺さる。
「サナン!」
「ぐ……なんの!」
サナンは思い切り刀を自身の腹に突き刺す。
「ぐ……」
「か……かは……」
サナンが自らの腹に突き刺した刀はサナンの背中を貫通し、大樹の体も貫いていた。
しかもサナンは確実に大樹を仕留めるため、腹部から斜めに刀を刺し、丁度サナンの背から突き出た刀の切っ先は、大樹の心臓へ向けて出ていた。
「ぐ……はぁっ!」
サナンは最後の力を振り絞り刀を身体から引き抜く。
刀の傷のせいで動けない大樹の拘束を振り解く。
そして振り返り、動きを止めた大樹の首を容赦無く撥ねた。
大樹の首が胴から離れ、地に落ちた時、大樹によって斬られた首を押さえながら、刀を地面に突き刺し、杖代わりにしてその場に座り込む。
「く……」
「サナン!」
「サナン殿!」
俺とジョバンニさんは即座に駆け寄る。
サナンの出血量は凄まじい。
何も対処しなければ数分で死に至る。
幸い、大樹のナイフはサナンの頸動脈を外れており、そこは致命傷ではない。
「……これが、俺の覚悟だ!」
サナンはふらふらと立ち上がり、刎ねた大樹の首を掲げて叫ぶ。
「如何に力の無い者でもスキル持ちには抗える! 覚悟と、命を賭せばスキル持ち等怖いものではない! 皆! 抗え! スキル持ちの横暴を許すな! 反スキル至上主義、万歳!」
サナンはそばにいた俺の肩を掴み、俺を使って民を扇動する。
「俺は命を賭した。しかしこの男は殆ど被害を出すこと無く三人のスキル持ちを倒してみせた! この男となら、勝てる! ザルノール国に……スキル至上主義のこの世界に!」
群衆は各々叫び、盛り上がりは最高潮に達する。
ここまでが、サナンの密かに描いてきた描いたストーリーか……。
流石だ。
しかし、もう無理はさせられない。
「サナン。もう無理するな。休め」
「サナン殿……お見事なご覚悟です。後は我々に任せて……」
「い……いや。まだ……もう一押し……」
しかし、ついに力尽きる。
サナンはその場に倒れてしまう。
「サナン!」
「サナン殿!」
「くそ……いくら私の『神速』でもレナを連れて来るには時間がかかる……誰か! 医者は居ないか! 応急処置を!」
仲間達が駆け寄る。
一先ず、勝利は収めた。
しかし、勝利の宴を開く事は難しそうだ。
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