歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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ドワーフ探しの旅

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 その後、防衛計画を練り直し、フィアナに任せて俺はファレスを出た。
 ドワーフとの交渉に出向いたのは俺とカルラ、ロームとレナの四人である。
 目を覚ましていればサナンも連れて行こうと思ったのだが、サナンは未だに目を覚まさない。
 鼓動もしっかりしているし、見た目にも異常はない。
 しかし目を覚まさないのだ。
 
「……」
「……やっぱり心配?」
 
 レナが眠そうな眼で不安そうに見つめてくる。
 先程まで寝ていたのに、不安にさせてしまったか。
 そんなレナを安心させる為、頭を撫でながら答える。
 
「……あいつは目を覚ますさ。絶対な」
「……うん」
 
 俺の行動に満足したのか、レナは俺に寄りかかってもう一度寝る。
 そんな様子を見ていたカルラが口を開いた。
 
「本当に仲が良いね。あんた達は」
「……俺は余所者ですけどね。サナンやフィアナ、レナ達魔王派の皆が居なければ今頃俺は死んでいたかもしれない。俺は魔王派の皆に恩を返したいんですよ」
「……そうかい。そう言う縁は大事にしなよ」
 
 そう言うカルラの瞳は何処か悲しげであった。
 彼女は見た目以上に長く生きている。
 俺達が経験出来ない以上の凄惨な経験を積んできているのだ。
 
「所で、ドワーフの国が魔族の領地から近いというのは知ってますけど、後どれくらいですか? 暫く進んだと思いますけど……」
 
 俺は馬車を運転していたロームに声を掛ける。
 ファレスを出てからずっとロームが馬車を動かしているが、そろそろ疲れが来る頃だろう。
 そんな予想が当たったのか、ロームが少し苛立ち気味に答える。
 
「まだだけど? そろそろ交代してくれない?」
「残念ながら俺は馬車運転出来ませんし……カルラさんは出来ますか?」
「した事はあるが……何十年前か……下手したら百年近く前かもしれないね……それでも変わるかい?」
「……いい! 私が運転します! 事故られたらたまったものじゃない……もうすぐドワーフ国の領内に入るから大人しく待ってなさい!」
 
 彼女がイライラしている理由は想像がつく。
 その要因には自分も関係しているのだ。
 
「うぅ……ジョバンニ……最近ちゃんと話せてないのに……」
 
 そう、俺の人員分配でロームはジョバンニと離れ離れになってしまったのだ。
 しかし、戦闘要員が片寄るのも問題だ。
 彼女には悪かったが、そうさせてもらった。
 互いに思いを打ち明けてからゆっくり出来ない現状で離れ離れは辛いだろう。
 一応、謝っておこう。
 
「ロームさん、すみませんね。本当ならジョバンニさんと……」
「分かってるわよ。仕方が無いって事ぐらい。ジョバンニからも頑張ってこいって言われたしね……とっとと仕事終わらせて帰るわ」
「……ありがとうございます」
 
 不満はあるがやる気が無いわけではないらしい。
 その事を見越していたジョバンニさんにも感謝しなければ。
 
「所で、ドワーフの首都は……」
「あぁ、実は彼等は地上に都市を築かないんだ。坑道を掘って、地下に都市を作り上げる。だから見た目では分からないんだ。たから、まずは坑道を探すところからだね」
「それは……目立つようにはなってないんですか? 他国と交流があれば場所も分かってそうですが……今は途絶えてます。難しいのでは……」
「勿論全くの交流が無い訳では無いの。でも、魔王側から外れて交流が殆どなくなってるわ。それがエルフに与えたような制裁ね。外交関係が殆どないドワーフと出会うのは至難の業よ。でも、昔から国の場所自体は変わってない。それに道は分かるわ」
 
 ロームは下の道を指さした。
 
「ドワーフだってずっと地下だけで暮らしている訳では無いの。用があって地上にも顔を出す。自然と道が出来ているから道を辿れば彼等の坑道まで導いてくれる筈だわ」
「じゃ、まずは探すところからですね。取り敢えず道の通りに進んで坑道のありそうな所を探しますか。坑道というからには山の斜面に出入り口を作ってる可能性が高いですね。その方面を探してみますか」
 
 しかし、道とは言っても非常に荒れており、草木が覆い始めている。
 メインの街道でも酷い有様だ。
 これは、骨が折れそうだ。
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