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黒田討伐軍 出陣
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「行くぞ!出陣じゃ!」
毛利輝元を総大将に大阪城から軍が出陣する。
毛利、宇喜多、小西が中国地方から。
小早川、長宗我部、島津、織田が四国から未だ抵抗を続ける徳川方を制しながら九州へ向かう。
総勢八万の大軍であった。
それぞれ自領を通る軍がある為、途中で兵を補填し、総勢は十万を超す見込みであった。
「長宗我部殿。四国における徳川方の相手、頼りにしてますぞ。長宗我部殿の采配、勉強致しとう御座います。」
「おお、織田殿。四国は我等の勝手知ったる土地。お任せ下され!」
中国地方を行く軍が三万。
四国を行く軍が五万と、向こうが本軍であったが、道中敵がいるという事でこちらの数が多かった。
自領を通った際に兵を補充すれば本軍が上回る予定である。
「長宗我部殿。我等もしかと腕をふるいますぞ。今こうしている間も島津は黒田勢と戦っておるのです!じっとしてはいられませぬ!」
「豊久殿!心強いですな!」
友軍の士気は高い。
まず初戦の四国攻略は容易に終わると予測した。
が。
「……。」
「小早川殿。如何なされた。」
小早川の様子を見た三郎が尋ねる。
「いや、宇喜多殿の事だ。」
「宇喜多様?」
秀秋は頷く。
「うむ。出陣前に軽く挨拶をしたのだが、その前に見覚えのある男を見た。確か……いや、忘れてくれ。」
そのまま秀秋はその場を去る。
「小早川殿!」
「三郎。どうした?」
「信包様。」
すると、三郎の元に信包が現れる。
「いえ、小早川殿が少々……。」
「……まぁ、話は聞いておった。あのお方も色々とあるのだろう。かつては共に豊臣家の一門として過ごした仲だ。疑いたくは無いのだろう。」
「ですが……。」
すると信包は三郎の肩を叩く。
そして、周りに聞こえぬように小声で話す。
「小早川を操るのは天下を狙うために必要。とはいえ、無理に踏み込んでは全てが水の泡となるぞ。」
「……わかりました。」
そして三郎は虎助に指示を出す。
「虎助。大垣衆で宇喜多殿を探れ。」
「は!」
虎助は他の大垣衆に目配せをする。
「この大事な戦の時に何かあっては行けません。調べさせておきます。」
「うむ、それが良いだろうな。」
まだ城を出て間もない。
今すぐ宇喜多秀家が何か事を起こすとは三郎も考えてはいなかった。
「殿!書状にございます!」
「誰からだ?」
「岐阜、織田秀信様からです!」
虎助が入れ違いに来た大垣衆から書状を受け取る。
三郎は馬を進めながらそれを読む。
内容は、島左近が暗躍している可能性と秀忠が江戸に入り、島左近によって結束が固められる可能性を示唆した物だった。
「……成る程。虎助。口頭で伝えよ。」
「は!」
「松平忠吉がまだ見つかっていないのならばそちらで保護し、我等の味方につけよ。もし見つからなければ……。」
「……見つからなければ?」
三郎は少し考える。
「京丸、袋井、掛川、浜松辺りのの東海道を探り、岡崎三郎を探せと伝えよ。」
「三郎……。」
「岡崎三郎だ。またの名を、松平信康。」
その名を聞き、虎助は驚きを隠せなかった。
「生きているのですか!?あの徳川信康が!?」
徳川信康。
岡崎三郎とも名乗ったというその人物は徳川家康の長男である。
信長から武田家への内通を疑われ、切腹を命じられたのである。
実は生存説があるのである。
それが、先の場所である。
「分からぬ。だが、生きているという噂を聞いた。駄目で元々だ。探すように伝えろ。」
「は!」
虎助は配下の者に指示を出す。
虎助自身も此度の戦に加わるので自分からは動かないのだ。
「さて、面白くなってきた……島左近。お前は三成のように我等が西へ赴いた隙を狙って挙兵するつもりだろうが……。そう上手く行くかな?」
再びの決戦の時は刻一刻と迫りつつあった。
毛利輝元を総大将に大阪城から軍が出陣する。
毛利、宇喜多、小西が中国地方から。
小早川、長宗我部、島津、織田が四国から未だ抵抗を続ける徳川方を制しながら九州へ向かう。
総勢八万の大軍であった。
それぞれ自領を通る軍がある為、途中で兵を補填し、総勢は十万を超す見込みであった。
「長宗我部殿。四国における徳川方の相手、頼りにしてますぞ。長宗我部殿の采配、勉強致しとう御座います。」
「おお、織田殿。四国は我等の勝手知ったる土地。お任せ下され!」
中国地方を行く軍が三万。
四国を行く軍が五万と、向こうが本軍であったが、道中敵がいるという事でこちらの数が多かった。
自領を通った際に兵を補充すれば本軍が上回る予定である。
「長宗我部殿。我等もしかと腕をふるいますぞ。今こうしている間も島津は黒田勢と戦っておるのです!じっとしてはいられませぬ!」
「豊久殿!心強いですな!」
友軍の士気は高い。
まず初戦の四国攻略は容易に終わると予測した。
が。
「……。」
「小早川殿。如何なされた。」
小早川の様子を見た三郎が尋ねる。
「いや、宇喜多殿の事だ。」
「宇喜多様?」
秀秋は頷く。
「うむ。出陣前に軽く挨拶をしたのだが、その前に見覚えのある男を見た。確か……いや、忘れてくれ。」
そのまま秀秋はその場を去る。
「小早川殿!」
「三郎。どうした?」
「信包様。」
すると、三郎の元に信包が現れる。
「いえ、小早川殿が少々……。」
「……まぁ、話は聞いておった。あのお方も色々とあるのだろう。かつては共に豊臣家の一門として過ごした仲だ。疑いたくは無いのだろう。」
「ですが……。」
すると信包は三郎の肩を叩く。
そして、周りに聞こえぬように小声で話す。
「小早川を操るのは天下を狙うために必要。とはいえ、無理に踏み込んでは全てが水の泡となるぞ。」
「……わかりました。」
そして三郎は虎助に指示を出す。
「虎助。大垣衆で宇喜多殿を探れ。」
「は!」
虎助は他の大垣衆に目配せをする。
「この大事な戦の時に何かあっては行けません。調べさせておきます。」
「うむ、それが良いだろうな。」
まだ城を出て間もない。
今すぐ宇喜多秀家が何か事を起こすとは三郎も考えてはいなかった。
「殿!書状にございます!」
「誰からだ?」
「岐阜、織田秀信様からです!」
虎助が入れ違いに来た大垣衆から書状を受け取る。
三郎は馬を進めながらそれを読む。
内容は、島左近が暗躍している可能性と秀忠が江戸に入り、島左近によって結束が固められる可能性を示唆した物だった。
「……成る程。虎助。口頭で伝えよ。」
「は!」
「松平忠吉がまだ見つかっていないのならばそちらで保護し、我等の味方につけよ。もし見つからなければ……。」
「……見つからなければ?」
三郎は少し考える。
「京丸、袋井、掛川、浜松辺りのの東海道を探り、岡崎三郎を探せと伝えよ。」
「三郎……。」
「岡崎三郎だ。またの名を、松平信康。」
その名を聞き、虎助は驚きを隠せなかった。
「生きているのですか!?あの徳川信康が!?」
徳川信康。
岡崎三郎とも名乗ったというその人物は徳川家康の長男である。
信長から武田家への内通を疑われ、切腹を命じられたのである。
実は生存説があるのである。
それが、先の場所である。
「分からぬ。だが、生きているという噂を聞いた。駄目で元々だ。探すように伝えろ。」
「は!」
虎助は配下の者に指示を出す。
虎助自身も此度の戦に加わるので自分からは動かないのだ。
「さて、面白くなってきた……島左近。お前は三成のように我等が西へ赴いた隙を狙って挙兵するつもりだろうが……。そう上手く行くかな?」
再びの決戦の時は刻一刻と迫りつつあった。
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