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「かかれ!」
四国攻め初戦。
東軍に味方した讃岐の蜂須賀を長宗我部、島津らが先鋒を務め、蜂須賀至鎮||《よししげ》が籠もる勝幡城を包囲。
関ヶ原本戦で東軍に与した蜂須賀至鎮は敗走後、自国に戻り、徹底抗戦の備えをしていた。
父である蜂須賀家政は西軍に与し、この戦もこちらについていた。
「総攻めですか……。」
「うむ、時はかけたくない。それに、長宗我部が武功を上げるよい機会だ。」
長宗我部盛親はそう言い、総攻めを続けた。
しかし、城兵の士気は高く、中々攻め落とせず、数週間が経過する。
「……くそっ!手強い!流石は蜂須賀よ。」
「しぶといですな。長宗我部殿のお気持ちも分かります。我等島津も早う先へ行きたいのだが……。」
すると、三郎が立ち上がる。
「某に考えがありまする。」
「……三郎殿。お聞きしても良いか?」
長宗我部の問いに頷く。
「勝幡城に籠もる蜂須賀至鎮殿の父、蜂須賀家政殿に説得して貰うのは如何ですか?」
「やはり、それしか無いか……。だが、向こうもそれは分かっているはず。そう簡単に下るかの……。」
「そこは考えがありまする。」
どうやら長宗我部は武功を上げたかったらしいが、それでは時間がかかりすぎると、三郎は考えた。
相手も自分の父が相手ならば話を聞くだろうと思ったのだ。
それに加え、策もある。
「では、小早川殿。」
「うむ。任せる。」
小早川から一任された三郎はすぐさま取り掛かる。
「虎助。頼む。」
「は!」
文を虎助に渡し、自分は軍議の場に戻った。
「三郎殿、すまぬな。お主の手を借りるつもりは無かったのだが……。」
「いえ、蜂須賀家は豊臣に長く仕える家系で武勇に優れておりまする。だからこそ、豊臣の名を出せば簡単に降ってくれるやもしれませぬ。それに、大事なのは九州についてからですぞ。」
長宗我部は頷く。
「うむ、そうだな。三郎殿の言うとおりじゃ!気を取り直して生駒への対策を講じるとするか!」
形式上は小早川が四国方面を進む軍の大将だが、戦の指揮は長宗我部が取り仕切っていた。
小早川は九州で指揮を執る予定であった。
「申し上げます!」
「どうした!?」
「生駒一正様、ご降伏との事にございます!」
「何!?」
三郎は長宗我部に軽く頭を下げる。
「申し訳ありませぬ。勝手ながら生駒は我が織田家と関わりの深い家。使者を出してみたのですが、良い返事を頂けたようですな。それに、生駒家と蜂須賀家も繋がりが深い。これで蜂須賀も無事に降ってくれるでしょう。」
「それが策か……はは。凄いな、三朗殿は。」
すると、また伝令が駆け込んでくる。
「も、申し上げます!」
「なんだ?また三郎殿がなにか……。」
「いえ、もう何も無いのですが……。」
「宇喜多秀家様、黒田方へ寝返り!」
その報告に場がざわめく。
「宇喜多殿が!?何故じゃ!?」
「ま、まだ仔細は分かりませぬ!」
「長宗我部殿。落ち着かれよ。これが黒田の流した嘘と言う可能性もありまする。」
慌てる長宗我部を小早川が諌める。
「殿。」
「虎助か。……ん?」
虎助から文を渡される。
三朗はすぐさまそれを読んだ。
「……皆様方。どうやら、真のように御座います。」
「文には、何と書いてあるのだ!?」
「は。宇喜多様は毛利様の後方を進んでいたとの事に御座います。ですが、自領に入ってから出て来ず、突如として毛利勢の背後を奇襲。それに合わせて黒田勢が中国地方へ攻め込んで来たとの事に御座います。」
その報告に小早川は目をそらす。
ある程度予測していたのだろう。
「小西殿はどうした!?」
長宗我部が動揺を隠さず聞く。
「宇喜多様の後方を進んでいたようですが、攻めることはせず、待機してると。……恐らく、宇喜多様と通じているのでしょう。」
「……してやられましたな。」
三郎は文を閉じ、虎助に返す。
「黒田の調略がここまで来ているとは……。四国の西、加藤嘉明や藤堂高虎も危ないやもしれませぬ。」
「既に黒田勢が四国に来ていると?島津も片付いておらぬのにそこまで手は回らんだろう。」
「小早川様。楽観は危険です。確証はありませぬが、警戒はしておいたほうが。」
三郎の言葉に皆が頷く。
「……こうなった以上、方針を考え直す必要がありそうですな。」
「そうじゃな、今一度話し合おう。」
黒田討伐は初戦から難航する気配が満ちていた。
四国攻め初戦。
東軍に味方した讃岐の蜂須賀を長宗我部、島津らが先鋒を務め、蜂須賀至鎮||《よししげ》が籠もる勝幡城を包囲。
関ヶ原本戦で東軍に与した蜂須賀至鎮は敗走後、自国に戻り、徹底抗戦の備えをしていた。
父である蜂須賀家政は西軍に与し、この戦もこちらについていた。
「総攻めですか……。」
「うむ、時はかけたくない。それに、長宗我部が武功を上げるよい機会だ。」
長宗我部盛親はそう言い、総攻めを続けた。
しかし、城兵の士気は高く、中々攻め落とせず、数週間が経過する。
「……くそっ!手強い!流石は蜂須賀よ。」
「しぶといですな。長宗我部殿のお気持ちも分かります。我等島津も早う先へ行きたいのだが……。」
すると、三郎が立ち上がる。
「某に考えがありまする。」
「……三郎殿。お聞きしても良いか?」
長宗我部の問いに頷く。
「勝幡城に籠もる蜂須賀至鎮殿の父、蜂須賀家政殿に説得して貰うのは如何ですか?」
「やはり、それしか無いか……。だが、向こうもそれは分かっているはず。そう簡単に下るかの……。」
「そこは考えがありまする。」
どうやら長宗我部は武功を上げたかったらしいが、それでは時間がかかりすぎると、三郎は考えた。
相手も自分の父が相手ならば話を聞くだろうと思ったのだ。
それに加え、策もある。
「では、小早川殿。」
「うむ。任せる。」
小早川から一任された三郎はすぐさま取り掛かる。
「虎助。頼む。」
「は!」
文を虎助に渡し、自分は軍議の場に戻った。
「三郎殿、すまぬな。お主の手を借りるつもりは無かったのだが……。」
「いえ、蜂須賀家は豊臣に長く仕える家系で武勇に優れておりまする。だからこそ、豊臣の名を出せば簡単に降ってくれるやもしれませぬ。それに、大事なのは九州についてからですぞ。」
長宗我部は頷く。
「うむ、そうだな。三郎殿の言うとおりじゃ!気を取り直して生駒への対策を講じるとするか!」
形式上は小早川が四国方面を進む軍の大将だが、戦の指揮は長宗我部が取り仕切っていた。
小早川は九州で指揮を執る予定であった。
「申し上げます!」
「どうした!?」
「生駒一正様、ご降伏との事にございます!」
「何!?」
三郎は長宗我部に軽く頭を下げる。
「申し訳ありませぬ。勝手ながら生駒は我が織田家と関わりの深い家。使者を出してみたのですが、良い返事を頂けたようですな。それに、生駒家と蜂須賀家も繋がりが深い。これで蜂須賀も無事に降ってくれるでしょう。」
「それが策か……はは。凄いな、三朗殿は。」
すると、また伝令が駆け込んでくる。
「も、申し上げます!」
「なんだ?また三郎殿がなにか……。」
「いえ、もう何も無いのですが……。」
「宇喜多秀家様、黒田方へ寝返り!」
その報告に場がざわめく。
「宇喜多殿が!?何故じゃ!?」
「ま、まだ仔細は分かりませぬ!」
「長宗我部殿。落ち着かれよ。これが黒田の流した嘘と言う可能性もありまする。」
慌てる長宗我部を小早川が諌める。
「殿。」
「虎助か。……ん?」
虎助から文を渡される。
三朗はすぐさまそれを読んだ。
「……皆様方。どうやら、真のように御座います。」
「文には、何と書いてあるのだ!?」
「は。宇喜多様は毛利様の後方を進んでいたとの事に御座います。ですが、自領に入ってから出て来ず、突如として毛利勢の背後を奇襲。それに合わせて黒田勢が中国地方へ攻め込んで来たとの事に御座います。」
その報告に小早川は目をそらす。
ある程度予測していたのだろう。
「小西殿はどうした!?」
長宗我部が動揺を隠さず聞く。
「宇喜多様の後方を進んでいたようですが、攻めることはせず、待機してると。……恐らく、宇喜多様と通じているのでしょう。」
「……してやられましたな。」
三郎は文を閉じ、虎助に返す。
「黒田の調略がここまで来ているとは……。四国の西、加藤嘉明や藤堂高虎も危ないやもしれませぬ。」
「既に黒田勢が四国に来ていると?島津も片付いておらぬのにそこまで手は回らんだろう。」
「小早川様。楽観は危険です。確証はありませぬが、警戒はしておいたほうが。」
三郎の言葉に皆が頷く。
「……こうなった以上、方針を考え直す必要がありそうですな。」
「そうじゃな、今一度話し合おう。」
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