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政宗、動く
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「犬山は諦める」
「ですな。中山道の敵に合流された以上、犬山は捨てる他ありませぬ」
成実の言葉に政宗は頷く。
「そうだな。そして、次の策は……」
「最上義光様がお戻りになられました!」
すると、政宗の陣に義光が入ってくる。
「政宗殿。誠に申し訳無い」
「いや、無駄に兵を死なすこと無く帰ってきてくれただけでもとても大きい。良くぞやってくれましたな」
政宗は義光の肩に手を置く。
「ささ、お疲れでしょう」
「……かたじけない」
政宗に座るように促され、義光は座る。
「殿軍として最後方にいた津軽殿も間もなく参られるでしょう。されど……伊達殿が援軍を早く出してくれていれば、犬山は支えられたでしょうな」
「うむ……そこは申し訳無く思っておりまする。さて、次の策は……」
「徳川秀忠様がご到着なされました!」
政宗が策を語ろうとする度に遮られる。
が、立場的にも、そこに苛立ちを見せることは無い。
そして、秀忠と天海が入ってくる。
「政宗殿! 尾張を抑えて頂き、誠にありがとうございまする!」
「これはこれは秀忠様。ご無事で何よりにございまする。ご到着、お待ちしておりました」
政宗は総大将が座るべき場所を指し、案内する。
「ささ、どうぞこちらへ」
「うむ、かたじけない」
「さて秀忠様。某に策がございまする」
「おお! 聞かせて下され」
「政宗殿!」
すると、男が本陣に荒々しく入ってくる。
それは、島左近であった。
「織田が来たと、何故知らせてくれぬのですか!」
「……それを言えば、お主が何をしでかすか分からんかったからだ。それよりも……そろそろ策について話してもよいか?」
すると、島左近は辺りを見渡し状況を察する。
そして、頭を下げる。
「……これは、失礼致した」
「さて、政宗殿。策について聞かせてはくれぬか?」
「は」
政宗は机上に広げられた地図を指差しながら説明を続ける。
「現在、我等徳川方は約八万。対する豊臣方は、北陸の軍も合流すれば十万は軽く越すでしょうな」
「政宗殿。一体どうするというのだ?」
政宗は頷く。
「まず、全軍で大垣城の南部、佐竹を助け出しまする」
政宗は駒を動かしながら説明する。
「そして、そのまま美濃、赤坂に兵を進め、そこに布陣致しまする」
「美濃赤坂……それは……」
秀忠の言葉に政宗は頷く。
「恐らく、その通りにございまする。そして、そのまま西へ兵を進め、ここに陣を敷きまする」
政宗は地図上のとある地点を指差す。
「……関ヶ原」
政宗は駒を次々と動かす。
「そして、かつて石田三成殿のやった布陣と同じように陣を敷き、豊臣方を迎え討ちまする」
「成る程……」
すると、天海が口を開く。
「西へと兵を進めたのを見た豊臣方は追撃せざるを得ない……北陸の豊臣方の合流を待たず、出陣し、数的不利を多少は打ち消すことができまするな……これは言わば……」
天海はその布陣図を見ながら、言う。
「第二次関ヶ原の戦い、とでも言いましょうかな」
決戦の地は、決まった。
天下分け目の大戦は再度迫っていた。
しかし、徳川方も問題は山積みである。
(伊達政宗……)
最上義光は政宗を見ながら思う。
(先程から総大将にでもなったかのような振る舞い……気に入らぬな……恐らく、東北の諸将も同じ気持ちだろう……)
この不安要素が勝敗を大きく分けることになる事は、まだ誰も知らない。
「ですな。中山道の敵に合流された以上、犬山は捨てる他ありませぬ」
成実の言葉に政宗は頷く。
「そうだな。そして、次の策は……」
「最上義光様がお戻りになられました!」
すると、政宗の陣に義光が入ってくる。
「政宗殿。誠に申し訳無い」
「いや、無駄に兵を死なすこと無く帰ってきてくれただけでもとても大きい。良くぞやってくれましたな」
政宗は義光の肩に手を置く。
「ささ、お疲れでしょう」
「……かたじけない」
政宗に座るように促され、義光は座る。
「殿軍として最後方にいた津軽殿も間もなく参られるでしょう。されど……伊達殿が援軍を早く出してくれていれば、犬山は支えられたでしょうな」
「うむ……そこは申し訳無く思っておりまする。さて、次の策は……」
「徳川秀忠様がご到着なされました!」
政宗が策を語ろうとする度に遮られる。
が、立場的にも、そこに苛立ちを見せることは無い。
そして、秀忠と天海が入ってくる。
「政宗殿! 尾張を抑えて頂き、誠にありがとうございまする!」
「これはこれは秀忠様。ご無事で何よりにございまする。ご到着、お待ちしておりました」
政宗は総大将が座るべき場所を指し、案内する。
「ささ、どうぞこちらへ」
「うむ、かたじけない」
「さて秀忠様。某に策がございまする」
「おお! 聞かせて下され」
「政宗殿!」
すると、男が本陣に荒々しく入ってくる。
それは、島左近であった。
「織田が来たと、何故知らせてくれぬのですか!」
「……それを言えば、お主が何をしでかすか分からんかったからだ。それよりも……そろそろ策について話してもよいか?」
すると、島左近は辺りを見渡し状況を察する。
そして、頭を下げる。
「……これは、失礼致した」
「さて、政宗殿。策について聞かせてはくれぬか?」
「は」
政宗は机上に広げられた地図を指差しながら説明を続ける。
「現在、我等徳川方は約八万。対する豊臣方は、北陸の軍も合流すれば十万は軽く越すでしょうな」
「政宗殿。一体どうするというのだ?」
政宗は頷く。
「まず、全軍で大垣城の南部、佐竹を助け出しまする」
政宗は駒を動かしながら説明する。
「そして、そのまま美濃、赤坂に兵を進め、そこに布陣致しまする」
「美濃赤坂……それは……」
秀忠の言葉に政宗は頷く。
「恐らく、その通りにございまする。そして、そのまま西へ兵を進め、ここに陣を敷きまする」
政宗は地図上のとある地点を指差す。
「……関ヶ原」
政宗は駒を次々と動かす。
「そして、かつて石田三成殿のやった布陣と同じように陣を敷き、豊臣方を迎え討ちまする」
「成る程……」
すると、天海が口を開く。
「西へと兵を進めたのを見た豊臣方は追撃せざるを得ない……北陸の豊臣方の合流を待たず、出陣し、数的不利を多少は打ち消すことができまするな……これは言わば……」
天海はその布陣図を見ながら、言う。
「第二次関ヶ原の戦い、とでも言いましょうかな」
決戦の地は、決まった。
天下分け目の大戦は再度迫っていた。
しかし、徳川方も問題は山積みである。
(伊達政宗……)
最上義光は政宗を見ながら思う。
(先程から総大将にでもなったかのような振る舞い……気に入らぬな……恐らく、東北の諸将も同じ気持ちだろう……)
この不安要素が勝敗を大きく分けることになる事は、まだ誰も知らない。
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