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長政の調略
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「長政殿。何か策があるとか?」
「左様にございまする」
戦が始まる直前。
長政が策があると進言した。
信康の言葉に、長政は頷く。
「敵の東北勢は仲が悪く、連携が中々取れていないように見えまする。あの布陣に落ち着くのも、我等がここに布陣してから」
「成る程……流石は長政殿。鋭いですな」
本多忠勝は口を開く。
「して、どのように致すのですかな?」
「そうですな……佐竹義宣殿がおられる故、それを上手く活用出来ぬかと考えておりまする」
「しかし、じきに戦は始まりまする。あまり悠長にはしてられませぬぞ」
細川忠興のその言葉に長政は頷く。
「無論に御座います。万事、お任せ下され。義宣殿、一つ頼まれてはくださらぬか」
「何でも申して下され。この義宣。出来ることならば何でも致す」
「利直殿! このような文を持った者を捕らえたと、家臣が申しておりましたぞ!」
数刻後
南部利直の陣に最上義光が入って来る。
「その話は知っておる!」
「どうするというのだ!? これでは味方同士で争うことになるぞ!」
義光はその文を机に叩きつける。
文の内容は、佐竹義重が佐竹義宣による調略を受け、豊臣方に寝返るというものであった。
豊臣方に寝返りを約束したのにまだ動かないからと、敵への攻撃を催促している内容であった。
「どうせ偽の書状だ。気にすることは無い」
「されど、兵はそうでは無いぞ」
その報は兵達にも既に知れ渡っていた。
黒田の兵が敵兵に紛れ、文の内容を大声で触れ回っていたのだった。
それにより、たった一通の手紙で敵を混乱させた。
「と、殿!」
「何事だ!?」
伝令が駆け込んでくる。
その様子はかなり慌てたものだった。
「も、最上様の兵が、佐竹義重様の軍に仕掛けました!」
「何だと!?」
「な、何やら佐竹様の陣の方から矢が放たれたそうにございます!」
その矢は、長政の手の者による物である。
しかし、それを知るすべは無い。
すると、南部の陣の周りも慌ただしくなる。
「何事だ!?」
「そ、それが……」
伝令は最上義光を見ながら、中々口を開こうとしない。
「早く申せ!」
南部利直の鬼気迫る勢いに押され、伝令は口を開く。
「南部様が佐竹様と共に豊臣方に寝返ったという話を信じた最上様の兵が、我等が陣に攻撃を仕掛けておりまする!」
「何!?」
その報告に最上義光が慌てる。
「儂はすぐに自陣に戻る! 南部殿! 落ち着いて事に当たられよ! 敵はこの機に乗じて攻めてくるぞ!」
「上手く行ったか……」
黒田長政は同士討ちを繰り広げる松尾山を見る。
「流石は如水殿の御子息ですな」
「細川殿。それほどではありませぬ。父上ならばもっと簡単に勝ちまする」
細川忠興が長政の隣で松尾山を見上げる。
「信康様は伊達政宗の勢いが凄まじいからと、そちらへ向かわれた」
「左様にございますか。ならば、我等は後始末をするのみですな」
長政は刀を抜く。
「かかれ! 一気に攻め滅ぼすのだ!」
黒田長政の号令で一気に黒田勢は松尾山の徳川方に攻めかかる。
混乱した敵兵は瞬く間に混乱し、潰走寸前にまで陥る。
一番前にいた最上の兵が、被害を被った。
が。
「怯むな! 敵の虚報に惑わされる! この最上義光に続け!」
松尾山の戦況は、最上義光の働きでなんとか持ち直した。
自ら先頭に立ち、味方を引き連れ豊臣方と当たることで、同士討ちをやめさせたのだった。
戦況は、未だにどちらが優勢とも言えなかった。
「左様にございまする」
戦が始まる直前。
長政が策があると進言した。
信康の言葉に、長政は頷く。
「敵の東北勢は仲が悪く、連携が中々取れていないように見えまする。あの布陣に落ち着くのも、我等がここに布陣してから」
「成る程……流石は長政殿。鋭いですな」
本多忠勝は口を開く。
「して、どのように致すのですかな?」
「そうですな……佐竹義宣殿がおられる故、それを上手く活用出来ぬかと考えておりまする」
「しかし、じきに戦は始まりまする。あまり悠長にはしてられませぬぞ」
細川忠興のその言葉に長政は頷く。
「無論に御座います。万事、お任せ下され。義宣殿、一つ頼まれてはくださらぬか」
「何でも申して下され。この義宣。出来ることならば何でも致す」
「利直殿! このような文を持った者を捕らえたと、家臣が申しておりましたぞ!」
数刻後
南部利直の陣に最上義光が入って来る。
「その話は知っておる!」
「どうするというのだ!? これでは味方同士で争うことになるぞ!」
義光はその文を机に叩きつける。
文の内容は、佐竹義重が佐竹義宣による調略を受け、豊臣方に寝返るというものであった。
豊臣方に寝返りを約束したのにまだ動かないからと、敵への攻撃を催促している内容であった。
「どうせ偽の書状だ。気にすることは無い」
「されど、兵はそうでは無いぞ」
その報は兵達にも既に知れ渡っていた。
黒田の兵が敵兵に紛れ、文の内容を大声で触れ回っていたのだった。
それにより、たった一通の手紙で敵を混乱させた。
「と、殿!」
「何事だ!?」
伝令が駆け込んでくる。
その様子はかなり慌てたものだった。
「も、最上様の兵が、佐竹義重様の軍に仕掛けました!」
「何だと!?」
「な、何やら佐竹様の陣の方から矢が放たれたそうにございます!」
その矢は、長政の手の者による物である。
しかし、それを知るすべは無い。
すると、南部の陣の周りも慌ただしくなる。
「何事だ!?」
「そ、それが……」
伝令は最上義光を見ながら、中々口を開こうとしない。
「早く申せ!」
南部利直の鬼気迫る勢いに押され、伝令は口を開く。
「南部様が佐竹様と共に豊臣方に寝返ったという話を信じた最上様の兵が、我等が陣に攻撃を仕掛けておりまする!」
「何!?」
その報告に最上義光が慌てる。
「儂はすぐに自陣に戻る! 南部殿! 落ち着いて事に当たられよ! 敵はこの機に乗じて攻めてくるぞ!」
「上手く行ったか……」
黒田長政は同士討ちを繰り広げる松尾山を見る。
「流石は如水殿の御子息ですな」
「細川殿。それほどではありませぬ。父上ならばもっと簡単に勝ちまする」
細川忠興が長政の隣で松尾山を見上げる。
「信康様は伊達政宗の勢いが凄まじいからと、そちらへ向かわれた」
「左様にございますか。ならば、我等は後始末をするのみですな」
長政は刀を抜く。
「かかれ! 一気に攻め滅ぼすのだ!」
黒田長政の号令で一気に黒田勢は松尾山の徳川方に攻めかかる。
混乱した敵兵は瞬く間に混乱し、潰走寸前にまで陥る。
一番前にいた最上の兵が、被害を被った。
が。
「怯むな! 敵の虚報に惑わされる! この最上義光に続け!」
松尾山の戦況は、最上義光の働きでなんとか持ち直した。
自ら先頭に立ち、味方を引き連れ豊臣方と当たることで、同士討ちをやめさせたのだった。
戦況は、未だにどちらが優勢とも言えなかった。
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