【祝!完結!】第六天魔王、織田信長、再臨す 〜関ヶ原から始める織田家再興物語〜 

中村幸男

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征夷大将軍として

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 大阪城の広間には大坂の陣で戦った織田方の将が集まっていた。
 その中には、縛り上げられた上杉景勝や、伊達成実、片倉景綱等、伊達方の将もいた。
 更には津軽為信や水野勝成。
 京にて活動していた敵までもがここに集まっていた。
 すると、秀則が先に姿を現し、皆と同じように座る。
 それを合図に秀信が来ることを理解した皆は頭を下げた。
 
「皆様方。遅れて申し訳ありませぬ」
 
 そこに、秀信が現れる。
 皆の前に座ると、まずは感謝から入った。
 
「まずは、此度の戦、某に付き従って頂き、誠にありがとうこざいまする。どうか、お顔をお上げ下され」
 
 秀信がそう言うと、皆頭を上げる。
 
「秀信様。此度は大勝、おめでとうございまする」
 
 すると、真田昌幸が口を開く。
 
「先の戦、某の策のせいで秀信様のお命を危険に晒したこと、謝罪いたしまする」
 
 昌幸は頭を下げた。
 
「いや、昌幸殿の策が無ければ勝つことすら出来なかった。それに結果的に我々は勝てたのてす。謝る必要はありませぬ」
「は」
 
 昌幸は頭を上げる。
 そして、今度は安国寺恵瓊が口を開いた。
 
「織田様。今は亡き我が主、毛利輝元様の名代として申し上げまする。今、毛利家本領にいる跡継ぎは若く、輝元様を失い毛利領内は荒れておりまする。されど、輝元様は関ヶ原より織田様と共に戦っておりました。どうか、事が落ち着いた暁には寛大なるご処置をお願いいたしまする」
 
 毛利輝元の跡継ぎ、息子である秀就は関ヶ原の折、大阪城にいたが黒田征伐に際し毛利本領に帰還した。
 すると、秀信は頷く。
 
「無論に御座いまする。実はこの後、すぐに天下惣無事令を出すつもりにございまする。それならば内輪揉めで戦になる事は無いでしょう」
「は! ありがとうございまする!」
 
 そして、秀信は他に誰も口を開かない事を確認すると、秀信が口を開いた。
 
「しかし……毛利殿に寛大な処置を……と申されましたが、西国で様子見をしていた者達……島津殿や長宗我部、それに毛利殿等。兵を出せば確実に伊達政宗を抑えられた筈……なのに何もしなかったというのは、征夷大将軍として処罰を与えねばなりませぬ」
 
 その秀信の言葉に反論する者は居なかった。
 今反論すれば自分も処罰される可能性があったからである。
 当事者である島津や長宗我部こそ、発言できるはずが無かった。
 
「……と言いたいのですが、御三方は関ヶ原からずっと活躍されて来ておりました故、処罰したくはありませぬ……されど征夷大将軍として処罰しない訳には参りませぬ。それ故……」
 
 秀信の言葉に皆が耳を傾ける。
 
「島津、長宗我部、毛利の三家には金を献上して頂きまする。細かな量については後日追って知らせまする故、そのつもりでお願いいたしまする」
「ありがとうございまする!」
 
 安国寺恵瓊が深く頭を下げる。
 
「それならば、金が無くなる故、家督争いも起きませぬ。心より感謝致しまする」
 
 秀信は頷き、立ち上がる。
 
「さて、皆様方。伊達の将兵及びその親族からあらかじめの通告通りに金を徴収致しまする。それぞれ、兵を使って集めまする故、よろしくお願いいたしまする」
「……少々よろしいか」
 
 すると、加藤清正が口を開いた。
 
「この者達は、どうするおつもりか?」
 
 加藤清正は上杉景勝らへ目線を送る。
 
「……一度、腹を割って話をしたいと考えておりまする。それでもって処罰を決めまする故、ご心配召されるな」
「は」
 
 加藤清正は頷く。
 
「では、皆様方。後は小寺勘助と真田昌幸殿の指示の元動いて下され。某は天下惣無事令の為の準備を致しまする故、失礼致しまする」
 
 征夷大将軍としての初仕事を終えた秀信はその場をあとにする。
 この時、皆に征夷大将軍として、天下人としての権威を知らしめたのだった。
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