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必要な犠牲 1

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 後日、日を改めて坑道の地図について調査を進めることにした。
 ここからは自分では無くクレアさんが進めていくということなので、自分は後ろから見ているだけだ。
 幸いにも観察力には優れているので、後はクレアさんの行動を見てどういう意図があるのかを推察する、つまりは洞察力を磨くチャンスだ。
 この村には図書館のようなものは無く、聞き込みによる調査となった。
 だが、クレアさんは村の中心部ではなく村の外れの人たちに聞き込みを続けていた。
 ここまで来ると隣の家までの距離が離れてくるので、調査としては非合理的だ。
 しかし、簡単に答えを聞いてしまっては面白くないので静かに観察していた。
 因みに警察の応援があと1日で到着するということが分かった。
 引き渡しの際に事情聴取を行いたいとのことなので現場にいてほしいと言っていた。
 自分達は了解し、調査を続けたがめぼしい情報は無かった。
 なので、今度は東隣の村へと向かい坑道についての調査を行うことになった。
 向こうの村はまだ奴等の息がかかっていないから活動しやすいということだろうか。
 自分達はその日の内に東の村へと向かった。
 やはりクレアさんはバテていたが、体に鞭を打って何とか到着する事が出来たのだった。
「……。」
「生きてます?」
 質問すると静かに頷き肯定を示してきた。
 だが、膝に手をつき疲労困憊であることは確かだ。
「じゃあ、もう日も落ちてますし、宿に泊まりましょう。」
 この近辺の村はそれぞれの距離が離れているので各村に小さな宿泊所がある。
 決して豪華な物ではないがこれには助かっている。
 クレアさんは無言でついてきて、チェックインは全て自分が手続きをした。
 部屋が決まると自分に引きずられていたクレアさんはベッドにダイブして、すぐに眠りについていた。
 凄まじい早さである。
 布団もかけずに寝ていたので布団をかけておく。
 明日の行動について話そうと思っていたがこの調子では無理そうだ。
 念のため自分に割り当てられた部屋がわかるように自分の部屋の番号をメモに書いて机に起き、部屋を後にし、自分に割り当てられた部屋へと向かう。
 店主が自分達を兄妹のように見えたのか、同じ部屋にしようとしてきたが、全力で断った。
 何よりこの人と一緒にいたら面倒見るだけで大変だ。
 そして、こんな美人と同じ部屋で寝るなんて流石に心臓が持たない。
 まあ、同じ家でほんの少し一緒に暮らしていたのだが。
「……はぁ。」
 とはいえ、流石に自分も疲れた。
 荷物を置き、ベッドに座ると一気に眠気が襲ってきた。
 クレアさんの気持ちが理解できる。
「まぁ、いいか……。」
 そのままベッドに入る。
 今日の活動を日誌につけておこうかと思ったが、その気力が無い。
 いつもは日誌なんてつけていないのだが、クレアさんの助手(仮)をすることになってからはつけることにした。
 洞察力を磨くためでもある。
 明日は昼過ぎに警察の応援が来ると言っていたが、大丈夫なのだろうか。
 色々心配になって来るがなぜかクレアさんならば大丈夫だろうと安心できる。
 今は体を休めることに集中するとしよう。
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