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友田、苦難の3か月
第8話 優紀との初対面 1
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あの日から友人たちの頭上に、数字が現れるようになった。一度帰って、一晩寝ても、数字が消える事は無かった。
そして、やはり俺以外には見えていないらしい。数字が出ている親しい友人たちも、特に人の頭上を気にするような素振りは無い。
そもそも、こんな話をしても信じてもらえる自身が無かった。こんなへんてこな能力が突然身についただなんて、俺自身も未だに信じられないのだ。
そして、憂いていることがもう1つある。
「はぁ……本当にやらなきゃならないのか」
俺は何故、青野とあんな約束をしてしまったのだろう。ヒロインたちの、好感度を伝える役だなんて。昨日のやり取りは、まるで自分ではないみたいだった。
「けど、引き受けちゃったものはやるしかないよな……」
不本意とはいえ、約束は約束だ。どうにかしないといけない。
「おっす友田!」
「ああ、青野か。おはよう」
悩みのタネが満面の笑みで教室に入ってきた。少し後ろに付いてきた女子は、初めて見る顔だ。少なくとも同じクラスではなかったはず。少し身長が小さめで、癖っけのある茶髪。ぱっちりとした目元から明るさがにじみ出ている彼女の姿を見たのは、これが初めてだったからだ。
なるほど、確かにヒロインと呼べるほどの可愛さだと納得していると、青野が俺と彼女の紹介をするために立ち上がった。最初の挨拶は、その後の関係性に明暗が分かれるため、とても重要である。慎重かつ丁寧に挨拶をしたい所なのだけれど――。
「優紀、こいつは友田。昨日友人になった! 友田、こいつが幼馴染の優紀な!」
……え、終わり?
説明があまりにも簡単すぎる。彼女も小さな口を開けてぽかんとしている。その紹介だけじゃ、多分あ、そうで終わってしまうだろう。一足先に我へ返った彼女は、俺の事を観察し始めた。
「……ふーん、春吉の友達かー。よろしく」
「うん、よろしく」
彼女は青野が1人目のヒロインだと言っていた、名波優紀だった。確か、幼稚園時代からの幼馴染だと言っていた。
彼女の表情の硬さから、まだ気を許してくれているわけでは無さそうだ。その証拠に、好感度の数字はまだ影も形もない。
俺の容姿や表情などを見まわしてから、名波さんは信じられない、という顔をしていた。
「まさか、初日から春吉に友達ができるなんて思わなかったわ……」
「おい、どういう意味だ」
「だってあんた、中学まで私以外に友達ゼロだったじゃない」
名波さんの言葉に、青野は苦い顔になる。確かに昨日、彼はクラスに馴染むどころか、一人で妄想の世界に入り浸っていた。俺が話しかけなかったら、多分一言も会話せずに初日が終わっていただろう。
「友田だっけ、よくこいつに話しかけようと思ったわね?」
「まあ、同じクラスだから一応ね」
「変わってるわねー。私もできるだけ仲良くはしたいけど、全員は無理よ」
特に春吉みたいな奴には話しかけに行かないわ、と青野の肩に肘を置きながら言う名波さん。流石にちょっとひどくないか、と思ったが当の本人は全然気にしていない。寧ろヒロインからの接触にソワソワしていてちょっと引いた。
「俺は一世一代の大恋愛が出来たらそれで満足だぜ……」
「ねえ友田、悪いことは言わないからこいつの友達止めた方がいいわよ」
「さっきから俺の扱いがひどいぞ!?」
青野の反論も、だって事実じゃない、と名波さんは切り捨てる。……なんだか、この遠慮の無さはちょっと羨ましい。別に俺に聞かなくても、好感度はかなり高いんじゃないだろうか。
「それじゃ、私は教室に戻るからね」
「へーい」
「うん、それじゃあ」
名波さんが小走りで自分のクラスに戻っていく。そこで気づいた。彼女の頭上には、うっすらと数字が見え始めていた。きっと俺の事を認知してくれたのだろう。俺はあまり深く考えず、そう思うことにした。
しかし、肝心の数字が何かわからない。じっくり見ようとしても、全くピントが合わないようなもどかしさに襲われる。話した時の硬さから察するに、彼女からはまだ距離を置かれているのだろう。もう少し、打ち解けてもらう必要がありそうだ。これからの期待と不安に、心が揺れ動くのを感じた。
そして、やはり俺以外には見えていないらしい。数字が出ている親しい友人たちも、特に人の頭上を気にするような素振りは無い。
そもそも、こんな話をしても信じてもらえる自身が無かった。こんなへんてこな能力が突然身についただなんて、俺自身も未だに信じられないのだ。
そして、憂いていることがもう1つある。
「はぁ……本当にやらなきゃならないのか」
俺は何故、青野とあんな約束をしてしまったのだろう。ヒロインたちの、好感度を伝える役だなんて。昨日のやり取りは、まるで自分ではないみたいだった。
「けど、引き受けちゃったものはやるしかないよな……」
不本意とはいえ、約束は約束だ。どうにかしないといけない。
「おっす友田!」
「ああ、青野か。おはよう」
悩みのタネが満面の笑みで教室に入ってきた。少し後ろに付いてきた女子は、初めて見る顔だ。少なくとも同じクラスではなかったはず。少し身長が小さめで、癖っけのある茶髪。ぱっちりとした目元から明るさがにじみ出ている彼女の姿を見たのは、これが初めてだったからだ。
なるほど、確かにヒロインと呼べるほどの可愛さだと納得していると、青野が俺と彼女の紹介をするために立ち上がった。最初の挨拶は、その後の関係性に明暗が分かれるため、とても重要である。慎重かつ丁寧に挨拶をしたい所なのだけれど――。
「優紀、こいつは友田。昨日友人になった! 友田、こいつが幼馴染の優紀な!」
……え、終わり?
説明があまりにも簡単すぎる。彼女も小さな口を開けてぽかんとしている。その紹介だけじゃ、多分あ、そうで終わってしまうだろう。一足先に我へ返った彼女は、俺の事を観察し始めた。
「……ふーん、春吉の友達かー。よろしく」
「うん、よろしく」
彼女は青野が1人目のヒロインだと言っていた、名波優紀だった。確か、幼稚園時代からの幼馴染だと言っていた。
彼女の表情の硬さから、まだ気を許してくれているわけでは無さそうだ。その証拠に、好感度の数字はまだ影も形もない。
俺の容姿や表情などを見まわしてから、名波さんは信じられない、という顔をしていた。
「まさか、初日から春吉に友達ができるなんて思わなかったわ……」
「おい、どういう意味だ」
「だってあんた、中学まで私以外に友達ゼロだったじゃない」
名波さんの言葉に、青野は苦い顔になる。確かに昨日、彼はクラスに馴染むどころか、一人で妄想の世界に入り浸っていた。俺が話しかけなかったら、多分一言も会話せずに初日が終わっていただろう。
「友田だっけ、よくこいつに話しかけようと思ったわね?」
「まあ、同じクラスだから一応ね」
「変わってるわねー。私もできるだけ仲良くはしたいけど、全員は無理よ」
特に春吉みたいな奴には話しかけに行かないわ、と青野の肩に肘を置きながら言う名波さん。流石にちょっとひどくないか、と思ったが当の本人は全然気にしていない。寧ろヒロインからの接触にソワソワしていてちょっと引いた。
「俺は一世一代の大恋愛が出来たらそれで満足だぜ……」
「ねえ友田、悪いことは言わないからこいつの友達止めた方がいいわよ」
「さっきから俺の扱いがひどいぞ!?」
青野の反論も、だって事実じゃない、と名波さんは切り捨てる。……なんだか、この遠慮の無さはちょっと羨ましい。別に俺に聞かなくても、好感度はかなり高いんじゃないだろうか。
「それじゃ、私は教室に戻るからね」
「へーい」
「うん、それじゃあ」
名波さんが小走りで自分のクラスに戻っていく。そこで気づいた。彼女の頭上には、うっすらと数字が見え始めていた。きっと俺の事を認知してくれたのだろう。俺はあまり深く考えず、そう思うことにした。
しかし、肝心の数字が何かわからない。じっくり見ようとしても、全くピントが合わないようなもどかしさに襲われる。話した時の硬さから察するに、彼女からはまだ距離を置かれているのだろう。もう少し、打ち解けてもらう必要がありそうだ。これからの期待と不安に、心が揺れ動くのを感じた。
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