ハーレム男だらけの学校で俺はハーレムしない

こなひー

文字の大きさ
1 / 7

第1話 ハーレムだらけの諏知仁玖凛高校

しおりを挟む
「はぁーっ……、今日も絶望しか無かったぜー……。なぁ悟ー」
「気持ちはわかるが、俺の机を涙と鼻水で汚すなよ」
「そんな情けない事はしないけどさー……。毎日こんな空気じゃ嫌になるぜ」

 放課後になった教室を見渡すと、男子一人に対して女子が数名で囲んでいるという状態がいくつも出来上がっており、男子が何か発言をするたびに、そこかしこで黄色い声が響き渡っている。いつも余ったるすぎて耳を塞ぎたくなるレベルだった。

 ここ諏知仁玖凛高校には、複数のヒロインに囲まれて幸せそうにしている男、所謂ハーレム系主人公がいた。しかも学校の三分の一ぐらいがそれに該当するという恐ろしい事態である。入学してから二年目になるのだが、ハーレムの力は強く勢いが収まる様子は全く見られない。

 普通ハーレム系主人公なんて存在は学校に一人か二人ぐらいのものだと思うのだが、ここではどうやら違うらしい。今日も今日とて男子を囲む女子の輪が学校中に咲き乱れていた。

「おかしくないか!? フリーな女子が校内で一人もいないなんてありえるのかよ!?」
「ありえない、とは思うが実際にそうなってるからな……。二年生になった今でも理解に苦しんでるぞ」
「入学初日から十人ぐらいの美女に囲まれてるやつもいたし、やっぱここ異常だろ……」

 モテ体質という物は少なからずあるとは思うが、目の前で咽び泣く友人の言う通り諏知仁玖凛高校では体質とかの域を逸脱している。モテるハーレム男子、ハーレムに加わる女子、それ以外の男子と完全に三分されるという異常事態によって、それ以外の男子達は苦痛の学園生活を送る事となってしまっているのだ。

 嘆きが止まらない高知と適当に聞き流している俺が席でため息をついていると、そこに場違いとも思えそうな華やかなギャルが乱入してきた。

「まーたあんたら非モテだからって落ち込んでんのー?」
「……桂木か」
「か、桂木さんっ!?」
「もー高知ー、何度も話しかけたことあんのにビビりすぎっしょー! ウケるー!」

 キラキラとした金髪を腰まで靡かせ、校則で本来禁止されているメイクをバッチリ決めている彼女は桂木由美。彼女は柳田武という三年生のハーレムに加わっていて、同じく彼にアプローチをしている四人よりも関係は一歩リードしている、らしい。

「柳田先輩の所に行かなくていいのか?」
「ずっと付きまとう女は嫌われるっしょー? だから一旦離れてんの! 駆け引きってやつよ!」
「あーはいはい。それで、わざわざ隣の教室から俺の所に来たのは何か理由があるのか?」
「それはねー……、一応幼馴染であるあんたに、愚痴をプレゼント!」
「プレゼントの意味をご存じない?」

 彼女はずっとこんな調子で、物心ついた頃から家が近いという理由で何かと俺に話しかけてきた。当時はギャルの要素は全く無い地味目な黒髪女子だったのだが、諏知仁玖凛高校に入学した直後いきなり金髪ギャルへと変貌を遂げたのである。彼女曰く、『あたし運命の出会いしちゃったの! 絶対彼好みの女になってやるし!』らしい。

 桂木に対して男女の意識を特に持っていなかった俺は、彼女の恋を純粋に応援している。容姿をガラッと変えた事には違和感を感じたが、彼女がそうしたいと言うので俺が止める義理は無い。

「あ、ぼ、僕はちょっとトイレに……」
「お前女子が来たら即ヘタレるのどうにかならないのか……?」
「うるさい! いざ女子が来たらやっぱりビビっちゃうもんなんだよ! お前はいーよな! 桂木さんという幼馴染がいるから女子への免疫があってよぉー!」
「免疫って、ウイルスじゃねえんだから……」
「つーかキョドりすぎだしー、高知って本当にチキンだよねー」
「その渾名は止めてくれー! チクショー!」

 そう叫んで彼、高知金児は走り去っていった。チキンとは、桂木が酷い名前の縮め方をしたせいで誕生した蔑称である。哀れだと思うが、あいつが本当にチキンなので桂木を止めずにいる俺なのだった。

「……さて。さっきはああ言ったけどさー、今回はちょーっとだけ真面目な話したいんだよね」
「真面目、だと?」
「あたしだって真面目な話ぐらいするし! ほら唯!」
「う、うん……」

 桂木の背で身を隠していた女子が横からひょっこりと顔を出した。ショートボブよりもやや長い髪で、目が隠れている彼女は、おずおずと俺の前に立つ。彼女を連れての真面目な話とは、一体何なのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一
恋愛
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。 織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。 彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。 ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。 学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。 これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。 カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...