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第1話 ハーレムだらけの諏知仁玖凛高校
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「はぁーっ……、今日も絶望しか無かったぜー……。なぁ悟ー」
「気持ちはわかるが、俺の机を涙と鼻水で汚すなよ」
「そんな情けない事はしないけどさー……。毎日こんな空気じゃ嫌になるぜ」
放課後になった教室を見渡すと、男子一人に対して女子が数名で囲んでいるという状態がいくつも出来上がっており、男子が何か発言をするたびに、そこかしこで黄色い声が響き渡っている。いつも余ったるすぎて耳を塞ぎたくなるレベルだった。
ここ諏知仁玖凛高校には、複数のヒロインに囲まれて幸せそうにしている男、所謂ハーレム系主人公がいた。しかも学校の三分の一ぐらいがそれに該当するという恐ろしい事態である。入学してから二年目になるのだが、ハーレムの力は強く勢いが収まる様子は全く見られない。
普通ハーレム系主人公なんて存在は学校に一人か二人ぐらいのものだと思うのだが、ここではどうやら違うらしい。今日も今日とて男子を囲む女子の輪が学校中に咲き乱れていた。
「おかしくないか!? フリーな女子が校内で一人もいないなんてありえるのかよ!?」
「ありえない、とは思うが実際にそうなってるからな……。二年生になった今でも理解に苦しんでるぞ」
「入学初日から十人ぐらいの美女に囲まれてるやつもいたし、やっぱここ異常だろ……」
モテ体質という物は少なからずあるとは思うが、目の前で咽び泣く友人の言う通り諏知仁玖凛高校では体質とかの域を逸脱している。モテるハーレム男子、ハーレムに加わる女子、それ以外の男子と完全に三分されるという異常事態によって、それ以外の男子達は苦痛の学園生活を送る事となってしまっているのだ。
嘆きが止まらない高知と適当に聞き流している俺が席でため息をついていると、そこに場違いとも思えそうな華やかなギャルが乱入してきた。
「まーたあんたら非モテだからって落ち込んでんのー?」
「……桂木か」
「か、桂木さんっ!?」
「もー高知ー、何度も話しかけたことあんのにビビりすぎっしょー! ウケるー!」
キラキラとした金髪を腰まで靡かせ、校則で本来禁止されているメイクをバッチリ決めている彼女は桂木由美。彼女は柳田武という三年生のハーレムに加わっていて、同じく彼にアプローチをしている四人よりも関係は一歩リードしている、らしい。
「柳田先輩の所に行かなくていいのか?」
「ずっと付きまとう女は嫌われるっしょー? だから一旦離れてんの! 駆け引きってやつよ!」
「あーはいはい。それで、わざわざ隣の教室から俺の所に来たのは何か理由があるのか?」
「それはねー……、一応幼馴染であるあんたに、愚痴をプレゼント!」
「プレゼントの意味をご存じない?」
彼女はずっとこんな調子で、物心ついた頃から家が近いという理由で何かと俺に話しかけてきた。当時はギャルの要素は全く無い地味目な黒髪女子だったのだが、諏知仁玖凛高校に入学した直後いきなり金髪ギャルへと変貌を遂げたのである。彼女曰く、『あたし運命の出会いしちゃったの! 絶対彼好みの女になってやるし!』らしい。
桂木に対して男女の意識を特に持っていなかった俺は、彼女の恋を純粋に応援している。容姿をガラッと変えた事には違和感を感じたが、彼女がそうしたいと言うので俺が止める義理は無い。
「あ、ぼ、僕はちょっとトイレに……」
「お前女子が来たら即ヘタレるのどうにかならないのか……?」
「うるさい! いざ女子が来たらやっぱりビビっちゃうもんなんだよ! お前はいーよな! 桂木さんという幼馴染がいるから女子への免疫があってよぉー!」
「免疫って、ウイルスじゃねえんだから……」
「つーかキョドりすぎだしー、高知って本当にチキンだよねー」
「その渾名は止めてくれー! チクショー!」
そう叫んで彼、高知金児は走り去っていった。チキンとは、桂木が酷い名前の縮め方をしたせいで誕生した蔑称である。哀れだと思うが、あいつが本当にチキンなので桂木を止めずにいる俺なのだった。
「……さて。さっきはああ言ったけどさー、今回はちょーっとだけ真面目な話したいんだよね」
「真面目、だと?」
「あたしだって真面目な話ぐらいするし! ほら唯!」
「う、うん……」
桂木の背で身を隠していた女子が横からひょっこりと顔を出した。ショートボブよりもやや長い髪で、目が隠れている彼女は、おずおずと俺の前に立つ。彼女を連れての真面目な話とは、一体何なのだろうか。
「気持ちはわかるが、俺の机を涙と鼻水で汚すなよ」
「そんな情けない事はしないけどさー……。毎日こんな空気じゃ嫌になるぜ」
放課後になった教室を見渡すと、男子一人に対して女子が数名で囲んでいるという状態がいくつも出来上がっており、男子が何か発言をするたびに、そこかしこで黄色い声が響き渡っている。いつも余ったるすぎて耳を塞ぎたくなるレベルだった。
ここ諏知仁玖凛高校には、複数のヒロインに囲まれて幸せそうにしている男、所謂ハーレム系主人公がいた。しかも学校の三分の一ぐらいがそれに該当するという恐ろしい事態である。入学してから二年目になるのだが、ハーレムの力は強く勢いが収まる様子は全く見られない。
普通ハーレム系主人公なんて存在は学校に一人か二人ぐらいのものだと思うのだが、ここではどうやら違うらしい。今日も今日とて男子を囲む女子の輪が学校中に咲き乱れていた。
「おかしくないか!? フリーな女子が校内で一人もいないなんてありえるのかよ!?」
「ありえない、とは思うが実際にそうなってるからな……。二年生になった今でも理解に苦しんでるぞ」
「入学初日から十人ぐらいの美女に囲まれてるやつもいたし、やっぱここ異常だろ……」
モテ体質という物は少なからずあるとは思うが、目の前で咽び泣く友人の言う通り諏知仁玖凛高校では体質とかの域を逸脱している。モテるハーレム男子、ハーレムに加わる女子、それ以外の男子と完全に三分されるという異常事態によって、それ以外の男子達は苦痛の学園生活を送る事となってしまっているのだ。
嘆きが止まらない高知と適当に聞き流している俺が席でため息をついていると、そこに場違いとも思えそうな華やかなギャルが乱入してきた。
「まーたあんたら非モテだからって落ち込んでんのー?」
「……桂木か」
「か、桂木さんっ!?」
「もー高知ー、何度も話しかけたことあんのにビビりすぎっしょー! ウケるー!」
キラキラとした金髪を腰まで靡かせ、校則で本来禁止されているメイクをバッチリ決めている彼女は桂木由美。彼女は柳田武という三年生のハーレムに加わっていて、同じく彼にアプローチをしている四人よりも関係は一歩リードしている、らしい。
「柳田先輩の所に行かなくていいのか?」
「ずっと付きまとう女は嫌われるっしょー? だから一旦離れてんの! 駆け引きってやつよ!」
「あーはいはい。それで、わざわざ隣の教室から俺の所に来たのは何か理由があるのか?」
「それはねー……、一応幼馴染であるあんたに、愚痴をプレゼント!」
「プレゼントの意味をご存じない?」
彼女はずっとこんな調子で、物心ついた頃から家が近いという理由で何かと俺に話しかけてきた。当時はギャルの要素は全く無い地味目な黒髪女子だったのだが、諏知仁玖凛高校に入学した直後いきなり金髪ギャルへと変貌を遂げたのである。彼女曰く、『あたし運命の出会いしちゃったの! 絶対彼好みの女になってやるし!』らしい。
桂木に対して男女の意識を特に持っていなかった俺は、彼女の恋を純粋に応援している。容姿をガラッと変えた事には違和感を感じたが、彼女がそうしたいと言うので俺が止める義理は無い。
「あ、ぼ、僕はちょっとトイレに……」
「お前女子が来たら即ヘタレるのどうにかならないのか……?」
「うるさい! いざ女子が来たらやっぱりビビっちゃうもんなんだよ! お前はいーよな! 桂木さんという幼馴染がいるから女子への免疫があってよぉー!」
「免疫って、ウイルスじゃねえんだから……」
「つーかキョドりすぎだしー、高知って本当にチキンだよねー」
「その渾名は止めてくれー! チクショー!」
そう叫んで彼、高知金児は走り去っていった。チキンとは、桂木が酷い名前の縮め方をしたせいで誕生した蔑称である。哀れだと思うが、あいつが本当にチキンなので桂木を止めずにいる俺なのだった。
「……さて。さっきはああ言ったけどさー、今回はちょーっとだけ真面目な話したいんだよね」
「真面目、だと?」
「あたしだって真面目な話ぐらいするし! ほら唯!」
「う、うん……」
桂木の背で身を隠していた女子が横からひょっこりと顔を出した。ショートボブよりもやや長い髪で、目が隠れている彼女は、おずおずと俺の前に立つ。彼女を連れての真面目な話とは、一体何なのだろうか。
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