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婚約解消できませんでした
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「それなら残念かもしれないけど、婚約解消する気はないよ。」
ファムシームはホッとした顔をして、キッパリと言い切った。
そんなファムシームに私は困惑したが、そうかと納得する。
私はキープしておけば、もし本当に愛する人から振られても何とかなると言うことだろうか?
それとも婚約解消された私を哀れに思って、解消しないでいてくれるのか。
よく分からないけれど、とりあえず解消はしないみたい。
「...わかったわ。いまは解消しない。ただ、覚えておいて。いつでも婚約解消出来るから、したくなったら言ってね。」
目に力を込めて、はっきりと伝える。
ファムシームが頷いてくれたことに安堵し、私は紅茶とお菓子を再び食べ始めた。
...その後、数日経ってから学園に入学したり、学園生活を過ごしてきたがファムシームから婚約解消してほしいと言ってきたことはない。
私は度々不安になって、ファムシームに婚約解消しないかどうか訊ねるようになってしまった。
そんな私達を周りはいつものことだと思うぐらいに。
「ねぇ、ファム...。」
「どうしたの?」
ファムシームは柔らかい微笑みを浮かべてこっちを見てくる。
私は胸元で祈るように手を握り、決意を込めた表情で言う。
「こ...。」
「しない」
即答だった。
まだ一文字しか言ってないのに。
「まだ一言も言えていませんわ!」
「ごめんね。」
ニコニコ笑いながら謝られても、全然誠意を感じません!
全く...。
落ち着かなきゃ...深呼吸、深呼吸...。
すーはー...すーはー...ごほん。
「では、改めて...。」
「しないからね?」
「...もうっ!」
今回も一言も言えずに終わってしまいましたわ...。
前までは「婚約解消」まで言えてたのに、最近は「こ」までしか言えてません!
私は思わずぷくーと頬を膨らませ、ファムシームを睨む。
だが、ファムシームは椅子から立ち上がったあと、私の頬を軽くツンツンとつついてくる。
しかも、とろけているぐらいのデレッとした微笑みで。
「アリア...可愛い。」
うぬぬぬぬ...。
そんな表情されたら...勘違いしてしまいそうになる。
「ずるいですわ...。」
そう呟いて、ツンツンしてくるファムシームの手から逃れ、その場を去った。
------
その後、何事もなく...婚約解消できずに卒業した。
あんなに婚約解消するかどうか聞いたのに...。
「おや、僕の可愛い婚約者さんはどうやらご機嫌斜めのようだ。慰めてあげよう。」
そう聞こえた途端にグイッと顔を持ち上げられ、唇にキスをされた。
思わず顔が赤くなる。
「ファ...ファムッ!」
抗議を込めて名前を呼ぶが、ファムシームは微笑みを崩さなかった。
「アリア、疑う余地がないほど...愛してあげるね。」
そう言ったファムシームは笑顔なのにゾクッとするような恐怖を感じた。
ファムシームはホッとした顔をして、キッパリと言い切った。
そんなファムシームに私は困惑したが、そうかと納得する。
私はキープしておけば、もし本当に愛する人から振られても何とかなると言うことだろうか?
それとも婚約解消された私を哀れに思って、解消しないでいてくれるのか。
よく分からないけれど、とりあえず解消はしないみたい。
「...わかったわ。いまは解消しない。ただ、覚えておいて。いつでも婚約解消出来るから、したくなったら言ってね。」
目に力を込めて、はっきりと伝える。
ファムシームが頷いてくれたことに安堵し、私は紅茶とお菓子を再び食べ始めた。
...その後、数日経ってから学園に入学したり、学園生活を過ごしてきたがファムシームから婚約解消してほしいと言ってきたことはない。
私は度々不安になって、ファムシームに婚約解消しないかどうか訊ねるようになってしまった。
そんな私達を周りはいつものことだと思うぐらいに。
「ねぇ、ファム...。」
「どうしたの?」
ファムシームは柔らかい微笑みを浮かべてこっちを見てくる。
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「こ...。」
「しない」
即答だった。
まだ一文字しか言ってないのに。
「まだ一言も言えていませんわ!」
「ごめんね。」
ニコニコ笑いながら謝られても、全然誠意を感じません!
全く...。
落ち着かなきゃ...深呼吸、深呼吸...。
すーはー...すーはー...ごほん。
「では、改めて...。」
「しないからね?」
「...もうっ!」
今回も一言も言えずに終わってしまいましたわ...。
前までは「婚約解消」まで言えてたのに、最近は「こ」までしか言えてません!
私は思わずぷくーと頬を膨らませ、ファムシームを睨む。
だが、ファムシームは椅子から立ち上がったあと、私の頬を軽くツンツンとつついてくる。
しかも、とろけているぐらいのデレッとした微笑みで。
「アリア...可愛い。」
うぬぬぬぬ...。
そんな表情されたら...勘違いしてしまいそうになる。
「ずるいですわ...。」
そう呟いて、ツンツンしてくるファムシームの手から逃れ、その場を去った。
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その後、何事もなく...婚約解消できずに卒業した。
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「おや、僕の可愛い婚約者さんはどうやらご機嫌斜めのようだ。慰めてあげよう。」
そう聞こえた途端にグイッと顔を持ち上げられ、唇にキスをされた。
思わず顔が赤くなる。
「ファ...ファムッ!」
抗議を込めて名前を呼ぶが、ファムシームは微笑みを崩さなかった。
「アリア、疑う余地がないほど...愛してあげるね。」
そう言ったファムシームは笑顔なのにゾクッとするような恐怖を感じた。
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