安瀬乃片敷六丁目六番地六号より

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第六十七話 煤けた額縁_9

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 翌日、ようやく俺は病室を出て転院手続きを申し出た。担当医は文句を言うことも無く、手早く紹介状を書き渡してくれた。
 ネットで検索して新しい病院への連絡もつけたところで、俺は仁藤さんのところに顔を出すことにした。

「よう」

 仁藤さんは、相変わらず不景気そうな顔でこちらをねめつける。俺はぺこりと、小さく会釈した。

「お前のことはこちらで上手く誤魔化しておいた。ま、今後ここと関わろうと思うな。命が惜しければ、な」

 そういう仁藤さんだったが、すぐに顔をしかめた。

「…おい、まさか」

 俺は、黙って深くうなずく。

 恐らく…もう、遅いのだろう。

 あの後…また夢をみた。

 熱風が激しく吹き付け、蒸せるような抹香の匂いが立ち込める。息苦しい。
 ここ数日で何度も訪れた廊下に立ち尽くす俺は、周囲の額縁たちから噴き出した熾火たちに囲まれていた。
 夕真の死にざまを思い出し、身動きが取れず呆然と立ち尽くす俺の眼前で、重い扉がゆっくりと音もなく開かれていく。
 その中から…野球帽の燃えかすを頭に残した少年が、傾ぐように半身を乗り出すと無言のまま真っ黒に炭化した腕だけをぎこちなく動かしてゆっくり手招きする。その都度、炭化した指先がぼろぼろと崩れ、床に落ちては形を喪うのがはっきりと見えた。唯一、白い光を放つ目だけが、俺だけをじっと見つめている。
 新たな仲間を迎えようと悦ぶように、周囲で吹き上げる炎が轟と勢いを増した。

 俺は、そんな彼に向かい、一歩足を踏み出したところで目を覚ましたのだった。

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 ツギハ5ニチ19ジ
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