安瀬乃片敷六丁目六番地六号より

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第六十八話 談笑

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 先週のことだ。

 Yさんは友達と遊んでいてすっかり遅くなった帰り道を小走りで急いでいた。

 途中、我が家から数軒離れた先にある空き家の前を差し掛かった際、
「おや?」
 ふと、足を止めた。

 窓から灯りが漏れている。そして、複数人の話し声。
 楽しそうに談笑している。

(誰か引っ越してきたのかな?)

 そう思った。

 そしてすぐに、首をひねった。
 この家は割りときれいな見た目なのに、一年以上前から借り手がない。

 自慢にならないことだが、Yさんの母親は口から生まれたと揶揄されるくらい口が軽く、ちょっとした出来事でも大げさにして吹聴する悪癖がある。
 そんな彼女から、誰かが引っ越してきたという話はついぞ聞いていない。

 耳ざとい母親にも知らないことがあるとは珍しいこともあるもんだと、Yさんは得をしたような気分になりながら再び帰途についた。

 翌朝、Yさんは早速母親にそのことを伝えた。
 普段耳ざといことを自慢していた母に、知らないこともあるのだと突きつけてちょっとした優越感を味わいたかったからだ。

 案の定、母親は冷静を装っていながらも、その実悔しがっていたのがわかってYさんはその日一日ご機嫌だった。

「ちょっと、Y」

 しかし、昨日よりははやく帰宅できたYを待ち受けていた母親は不安げな顔をしている。

「あなた、本当に…みたの? 酔っ払ってみた気になってたんじゃなくて?」

 そんなに負けを認めるのが悔しいのか、とYさんはちょっと気分を害した。

「少しは酒を飲んだよ。けど、缶ビール二本程度、水みたいなもんだぜ。本当に見たし、聞いたよ」

 実際、酒好きのYにとってはその程度、飲んだうちには入らないことは母親も知っている。
 だが母親は逆に表情を険しくした。

「あのね、町内会の方にも聞いたんだけど。それが本当なら…あんた、警察にも言わないとならないわよ」

「はぁ? なんでだよ?」

「…ここしばらく、引越しなんてこの町内には無いって言われたの。それでね、不法侵入があったんじゃないかって、大家立会いのもとで見に行ってこられたそうなの」

「大げさだなぁ」

 Yさんは呆れたが、母親は首を横に振った。

「大事にもなるわよ。なんせ、死体が見つかったんだから」

「ええ?!」

 母親の言葉に、Yさんはいやな気分になる。
 が、つづく母親の言葉にそれはまだ序の口だと知った。

「しかも、その死体…死後、少なくとも半年は経過してたそうよ」

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ツギハ9ニチ19ジ
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