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第28話 夫婦の日に託児所

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私自身は、領地に行く準備を着々としている。いつ領地に帰るのかお父さまに聞かなくては、と思っているところに、お父さまとお母さまに呼ばれ、お父さまの執務室に行った。またですか?何かのイベントですか?

「アイリ、すまん。実はだな、カイルとレオンの誕生日会をしたじゃないか。参加した子供達が、また、遊びたいと言ってきたのだ。そしてだな、夫婦の日に合わせて両親たちがデートをしたいと言ってきたのだ。私たちも、その時にデートをしたいなぁと思ったのだが、ほら、アイリたちは、領地に行ってしまうだろ。だから、まぁ、その前にかあさまと、2人きりでデートをしたいかなぁと。アイリ、すまん、預かって子供たちと遊んでくれないか?」

なるほど、デートしたいのね。仲良しで良き良き。うちの両親は自分たちだけ楽しんで、子供たちを置いていくのは申し訳ないと、思っているのかしら。

まぁ、乳母たちに任せきりで、放置する親たちもいる中で、子供たちを置いていくのは申し訳ないと思ってくれるうちの両親だから、良しとしよう。

「お父さま、わかりました。預かり保育で良いのですよね。託児所みたいなものですね。夫婦の日というのがあるのですか、この国にも。では、その時に子供を預かりましょう。何歳から何歳までの子を何人預かるのか、名前や、好きなもの嫌いなものや、性格みたいな情報を得てください。そうすれば、預かって、扱いをどうするか対応できると思うのです。」

「預かり保育とはなんだね?」

「前世では、働く母親が多かったので、子供達を預かる保育園や託児施設があったのです。子供達を預かるために、専門の学校に行き知識を得て、資格をとり、子供たちの面倒を見る人たちを保育士さんと言います。子供達の面倒を見るプロです。そこで、子供達は、歌を歌ったり、字の勉強や、絵を描いたり、庭で遊んだりと色々面倒を見てくれます。お遊戯会や運動会、遠足などさまざま行事を子供達のために企画、実施してくれるのです」

「前の世界は女性も働いていたのか?子供を出産した後も働くのかい?すごいな」

「そうですね。両親共働きは多くなってきていましたね。子供達を預ける保育所があって、安心して仕事に専念できるのです。今回は、その託児所みたいなことをしますね。預かる子供達の情報を教えてください、お父さま」

「すまんな、アイリ。そうだな。聞いてみるよ。」

「あと、それに伴って侍女や乳母や護衛騎士が来るのかも確認し、合計人数を教えてください。料理、おやつ、飲み物や遊ぶものなど考えないといけないので、お願いします」

「そんなに多くないと思うから大丈夫だ」
 
「夫婦の日というのは、祝日なのですか?」

「そうだよ、その日は休みで、男性から女性へ労りの言葉やプレゼントをすることもする。ただ、愛人などいる奴らは、本妻ではなく愛人に行く奴らもいる。夫婦の日など関係ない奴らもいる、様々だ。まったく」

うちは仲がいい夫婦だから、よかった。冷え冷えな関係は、夫婦の日など関係がないのだろうなぁ。私は結婚できないだろうから、まぁ、いいか。
それよりも、夫婦の日に託児所か。料理も考えないと。小さい子には、のどに詰まるようなものはダメだし、おやつも考えないと。いろいろ考えることが多い。

最終的に、7組のご夫婦がデートに行くので、その子達を預かることになった。子供の人数12人。

また、多いのですが。お父さまが派閥のお友達と職場の人たちに言い、そこから広がった7組のご夫婦と12人の子供達。うちのカイルとレオンを入れると14人。あちゃー。女の子5人に男の子9人。下は2歳か。乳母も来るので大丈夫かな。
護衛騎士、乳母、侍女、子供たち、総勢50人。なんでこんなことになった。侍女、護衛騎士が多いだろう。
さてさて、楽しいことも考えないとね。

子供たちと護衛騎士との触れ合いで、お馬さん競走するか?おんぶ紐を作って護衛騎士に走らせて競争?貴族はダメかな。うーん。対抗戦で何かさせるのはダメかな。せっかく、護衛騎士が集まるのなら、対抗戦するのも面白いのではないか。

お兄さまが夫婦の日に手伝ってくれることになった。ありがたい。人手が必要だし、貴族の常識を知らない私はやらかす方が多いだろうと、お父さまがお兄さまに相談し、OKがでたら、実行しようとなったらしい。

で、お兄さまも手伝うので、夫婦の日実行となった。

 そして、また、とんでもないことに、第二王子殿下と婚約者レティシア・ロマルフ・フォン・アラベルト公爵令嬢様、ロベルト様と婚約者マリアナ様、この方々は妹や弟たちを預けるのでお手伝いしたいということになった。

第3王子フェルナンド様もいらっしゃることになったので、結界魔法を使える魔導士アグリさまが来るということだ。安全は確保できたよ。これだけは嬉しい。これだけは。

夫婦の日の数週間前に初めてレティシア・ロマルフ・フォン・アラベルト公爵令嬢様とマリアナ・コルフィ・ドランタール侯爵令嬢様と打ち合わせを兼ねてお茶会をした。その時はマリアナ様に今までの嫌がせなどを謝った。それはもう土下座をするかのような誤り具合で、若干引かれていた。

男性陣も隣のテーブルにいる。

会の打ち合わせと、その時に使うおもちゃなどをみてた。
「これはアイリ様がお作りになったのでしょうか」

「そうです。これがタレ耳ウサギとクマとネコのぬいぐるみに着せ替えの洋服。ドラゴンや剣のぬいぐるみ。
こちらが乗り物。あとあの垂れ幕の向こうにアスレチックの遊具があります。」

「「アスレチック??」」

「体を動かす遊具です。楽しく遊んで、昼寝をしてもらうためです」

「ふふふっ、昼寝をたっぷりさせようとする作戦ですか」

「そうです、昼寝は大事」

「あとは、お家対抗の競争をさせようかと」

「??お家対抗ってなんですの」

「うちの敷地は無駄に広いので、護衛騎士が子供達を背中に乗せて,走る競争です。ちょうど7組にお家には男の子がいるので、男の子をおんぶして走ってもらいます。あとはパン食い競争かしら」

「そ,それは大丈夫なのかしら、アレクセイ様には仰ったのかしら」

「お兄さま?にはまだですよ。楽しいかなぁと思いました。あはは」

「アイリ様、あの、だいぶ雰囲気が変わりましたわね」
と、マリアナ様。そうだよね、ロベルト君を追いかけ回していた時と大違いだよね。

「ほほほほほ、あの時のことが恥ずかしくて、本当にみなさまにご迷惑をおかけしたことが申し訳なくて」

「その話をまずアレクセイ様に相談してからの方がよろしいかと思います」
あれ、この案、ダメな案件ですか?ゲッ、またお兄さまにアホな子と思われるだろうな。トホホホッ

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