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本編
間話 ジェイシスの憂い
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我が番のアイリ嬢が学園に入学した。喜ばしいことなのだが、寂しさが溢れ出る。
「ジェイシス、どうした?元気がないな?番殿と喧嘩でもしたのか?喧嘩したなら、早めにこちらから謝った方がいいぞ。捲れている姿もかわいいのだが、構いたい気持ちが強いから、私などすぐ謝ってしまうぞ」
国王陛下である叔父もまた番の王妃様を愛しているので、威厳が感じられない。
「いえ、叔父上、喧嘩はしていないのですが、最近会える時間がなく寂しさを感じているのです」
「あはははっ、お前もそういう感情が出てくるなんて、そうかそうか寂しさが募っているのか。仕事一辺倒だったお前がなぁ。まぁ、番を持つ我々は始終一緒にいたいという思いが強いからなぁ。王妃には、たまには離れてっと言われているがな、はははは」
「叔父上。思ったのですが、アイリ嬢はうちから通った方が学園に近いと思うのです。朝は私が学園に送っていけますし、花嫁修行としてうちに来てもいいのではないですか?」
「ジェイシス、お前なぁ。アイリ嬢の気持ちを急かさずゆっくり関係を進めていくのではなかったのか?」
「えっ、まぁそうですが・・」
「お前,焦るあまり無体なことはしてないだろうなぉ?」
「無体なことはしてませんけど・・、抱きしめたり、口付けぐらいは、まぁ」
真っ赤な顔をしたジェイシスを見るのは楽しいなぁ。自然と笑いが込み上げてくる。
「くくくくっ。お前がなぁ、翻弄されているなんて。アイリ嬢は、学園で楽しそうなのか?」
「そうですね、新入生歓迎パーティで今回ドレススーツの出張レンタルサービスというものを始めるみたいで忙しいと手紙には書いてありましたが、ふぅ」
「なんだ、そのレンタルサービス?というのは」
興味津々の国王陛下だ。
「いつも新入生歓迎パーティは、貴族はドレスなど、平民は制服が常だったので、今回平民や下位貴族の人でドレスやスーツなど貸して欲しい人を募り、どれだけ需要があるか試すみたいです。それで忙しいと手紙に書いてありました。母上や姉上も協力すると言って、着ることがなくなったドレスをアイリ嬢のところに送ってましたよ。ですが、いい素材は勿体無いということで、デザインを変えて母上と姉上の所に戻ってくるものもあり、大変喜ばれてましたね。母上と姉上の方が私よりアイリ嬢と会う機会が多いのですよ」
「ほぉ、また面白いことをしているのだな。ではジェイシス、お前が着られなくなった学園時のスーツや騎士服など渡せば喜ばれるのではないか?」
「えっ、叔父上!さ、早速、執事や侍女長に聞いてみます。そうですね、何か必要なものがあるか聞いてみます。ありがとうございます」
まったく、ジェイシスも変わったな。堅物かと思っていたが、人間味が出てきたではないか。さぁ、私も王妃のところに行こう。部屋で寛いでいるところかな。
ジェイシスは帰るなり、執事、侍女長を呼んだ。
「すまん、いきなり呼び出して。私が国立学園の時などで着ていたスーツや騎士服などはあるか?」
「ございます。あの頃よりも大きくおなりになられておりますから、処分することを考えておりましたが捨てるに捨てられず残してあります」
「出しておいてくれるか?」
「かしこまりました。これをどのようにお使いですか?」
ぼっちゃまには珍しく顔を赤くしていたのを見て、執事のファーガソンと一緒にびっくりしてしまいました。
「ごほん、今、私の番のアイリ嬢が学園で新入生歓迎パーティで平民や下位貴族に対してドレススーツを貸し出すサービスをするらしい。それで女性のドレスは母上や姉上も協力しているらしいのだ。男性のものを協力できないかと思ったのだ」
侍女長がウルウルさせていた。
「まぁ、素晴らしい考えですね。私もそういったサービスがあれば使いたかったです。私はお祖母様のお古を直して着用しましたが、大事な思い出のドレスなのですが、周りが煌びやかすぎて、見劣りがして恥ずかしかったです。私たちの時にあればパーティも楽しめたのに。番さまのアイリ様に協力させていただきます」
「ありがとう、メリンダ。今度この家に呼ぼうかな。スーツや騎士服を用意してもらえるかな」
「もちろんです。我々も番様にお会いできるのですね。楽しみです」
「まずは、誘わないといけないな」
「何をぼっちゃまはそんなに弱気なのですか?絶対お誘いしてくださいね。お菓子やケーキなども我々は用意いたしますので、そうですよね、そうですよ、お部屋も用意しますので絶対お誘いしてください」
メリンダの圧が強い。隣では執事のファーガソンが肩を震わせて笑っている。部屋を用意するって?えっ?泊まりにこないだろう。泊まって欲しいが。
さて、来てくれるだろうか?不安だ。
どのように誘えば良いのだ?そうだ、まずは自分が学園の時のスーツや騎士服を寄付し、協力したい。できれば、屋敷の方は見に来てほしいことを手紙に書いた。
早速返信で、お礼といつ伺えば良いか?と書いてあった。胸がドキドキしてきた。この家に来てくれるのだ。いつがいいのだ?早い方がいいだろう。
父上?母上?に相談した方がいいのか?母上はアイリ嬢にすでにドレスの件で会っている。女性のことは女性に聞いた方がいいだろう。
「母上、あの、相談いいだろうか?アイリ嬢が私の学園時のスーツと騎士服を見に、この屋敷にくることになった。何を用意すれば喜ぶかな」
「まぁ、まぁ、アイリちゃんが来るの?楽しみだわ。そうね、まずは軽くお茶をするでしょう。それからスーツと騎士服をよく見てもらえるように配置して、ジェイシスもそのスーツを着た時の出来事とか話せばいいのではないの?」
「いつどんな時に着たか覚えていませんね」
「だめだわ、あなた話がふくまらないわね。本当に顔だけ男ね。ジェイシス」
母上にダメ出しされた。顔だけって、私だってアイリ嬢と楽しく話がしたいが、話を聞いていることが多いか?俺は顔だけ男なのか?
馬車で迎えに行き、久しぶりに会ったアイリ嬢。キラキラしているが目の錯覚か?なんだこの胸がギュッとするのは。病気か?
「ジェイシス様?大丈夫ですか?調子が悪いなら無理しなくて大丈夫です。別の日に変更いたしましょう」
「いえ、違うのです。アイリ嬢に久しぶりにお会いできて嬉しいのです。さぁ、我が家に行きましょう」
「ジェイシス、どうした?元気がないな?番殿と喧嘩でもしたのか?喧嘩したなら、早めにこちらから謝った方がいいぞ。捲れている姿もかわいいのだが、構いたい気持ちが強いから、私などすぐ謝ってしまうぞ」
国王陛下である叔父もまた番の王妃様を愛しているので、威厳が感じられない。
「いえ、叔父上、喧嘩はしていないのですが、最近会える時間がなく寂しさを感じているのです」
「あはははっ、お前もそういう感情が出てくるなんて、そうかそうか寂しさが募っているのか。仕事一辺倒だったお前がなぁ。まぁ、番を持つ我々は始終一緒にいたいという思いが強いからなぁ。王妃には、たまには離れてっと言われているがな、はははは」
「叔父上。思ったのですが、アイリ嬢はうちから通った方が学園に近いと思うのです。朝は私が学園に送っていけますし、花嫁修行としてうちに来てもいいのではないですか?」
「ジェイシス、お前なぁ。アイリ嬢の気持ちを急かさずゆっくり関係を進めていくのではなかったのか?」
「えっ、まぁそうですが・・」
「お前,焦るあまり無体なことはしてないだろうなぉ?」
「無体なことはしてませんけど・・、抱きしめたり、口付けぐらいは、まぁ」
真っ赤な顔をしたジェイシスを見るのは楽しいなぁ。自然と笑いが込み上げてくる。
「くくくくっ。お前がなぁ、翻弄されているなんて。アイリ嬢は、学園で楽しそうなのか?」
「そうですね、新入生歓迎パーティで今回ドレススーツの出張レンタルサービスというものを始めるみたいで忙しいと手紙には書いてありましたが、ふぅ」
「なんだ、そのレンタルサービス?というのは」
興味津々の国王陛下だ。
「いつも新入生歓迎パーティは、貴族はドレスなど、平民は制服が常だったので、今回平民や下位貴族の人でドレスやスーツなど貸して欲しい人を募り、どれだけ需要があるか試すみたいです。それで忙しいと手紙に書いてありました。母上や姉上も協力すると言って、着ることがなくなったドレスをアイリ嬢のところに送ってましたよ。ですが、いい素材は勿体無いということで、デザインを変えて母上と姉上の所に戻ってくるものもあり、大変喜ばれてましたね。母上と姉上の方が私よりアイリ嬢と会う機会が多いのですよ」
「ほぉ、また面白いことをしているのだな。ではジェイシス、お前が着られなくなった学園時のスーツや騎士服など渡せば喜ばれるのではないか?」
「えっ、叔父上!さ、早速、執事や侍女長に聞いてみます。そうですね、何か必要なものがあるか聞いてみます。ありがとうございます」
まったく、ジェイシスも変わったな。堅物かと思っていたが、人間味が出てきたではないか。さぁ、私も王妃のところに行こう。部屋で寛いでいるところかな。
ジェイシスは帰るなり、執事、侍女長を呼んだ。
「すまん、いきなり呼び出して。私が国立学園の時などで着ていたスーツや騎士服などはあるか?」
「ございます。あの頃よりも大きくおなりになられておりますから、処分することを考えておりましたが捨てるに捨てられず残してあります」
「出しておいてくれるか?」
「かしこまりました。これをどのようにお使いですか?」
ぼっちゃまには珍しく顔を赤くしていたのを見て、執事のファーガソンと一緒にびっくりしてしまいました。
「ごほん、今、私の番のアイリ嬢が学園で新入生歓迎パーティで平民や下位貴族に対してドレススーツを貸し出すサービスをするらしい。それで女性のドレスは母上や姉上も協力しているらしいのだ。男性のものを協力できないかと思ったのだ」
侍女長がウルウルさせていた。
「まぁ、素晴らしい考えですね。私もそういったサービスがあれば使いたかったです。私はお祖母様のお古を直して着用しましたが、大事な思い出のドレスなのですが、周りが煌びやかすぎて、見劣りがして恥ずかしかったです。私たちの時にあればパーティも楽しめたのに。番さまのアイリ様に協力させていただきます」
「ありがとう、メリンダ。今度この家に呼ぼうかな。スーツや騎士服を用意してもらえるかな」
「もちろんです。我々も番様にお会いできるのですね。楽しみです」
「まずは、誘わないといけないな」
「何をぼっちゃまはそんなに弱気なのですか?絶対お誘いしてくださいね。お菓子やケーキなども我々は用意いたしますので、そうですよね、そうですよ、お部屋も用意しますので絶対お誘いしてください」
メリンダの圧が強い。隣では執事のファーガソンが肩を震わせて笑っている。部屋を用意するって?えっ?泊まりにこないだろう。泊まって欲しいが。
さて、来てくれるだろうか?不安だ。
どのように誘えば良いのだ?そうだ、まずは自分が学園の時のスーツや騎士服を寄付し、協力したい。できれば、屋敷の方は見に来てほしいことを手紙に書いた。
早速返信で、お礼といつ伺えば良いか?と書いてあった。胸がドキドキしてきた。この家に来てくれるのだ。いつがいいのだ?早い方がいいだろう。
父上?母上?に相談した方がいいのか?母上はアイリ嬢にすでにドレスの件で会っている。女性のことは女性に聞いた方がいいだろう。
「母上、あの、相談いいだろうか?アイリ嬢が私の学園時のスーツと騎士服を見に、この屋敷にくることになった。何を用意すれば喜ぶかな」
「まぁ、まぁ、アイリちゃんが来るの?楽しみだわ。そうね、まずは軽くお茶をするでしょう。それからスーツと騎士服をよく見てもらえるように配置して、ジェイシスもそのスーツを着た時の出来事とか話せばいいのではないの?」
「いつどんな時に着たか覚えていませんね」
「だめだわ、あなた話がふくまらないわね。本当に顔だけ男ね。ジェイシス」
母上にダメ出しされた。顔だけって、私だってアイリ嬢と楽しく話がしたいが、話を聞いていることが多いか?俺は顔だけ男なのか?
馬車で迎えに行き、久しぶりに会ったアイリ嬢。キラキラしているが目の錯覚か?なんだこの胸がギュッとするのは。病気か?
「ジェイシス様?大丈夫ですか?調子が悪いなら無理しなくて大丈夫です。別の日に変更いたしましょう」
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