【本編完結】転生令嬢、目指すはスローライフ〜イベント企画担当者ではないのよ!

ブラウン

文字の大きさ
100 / 141
本編

第93話 ジェイシス様と久しぶりに会う

しおりを挟む
 入学式から始まり、コーヒー、チョコ作りが軌道に乗ろうとしている。お父さまとお兄さまには本当に頭が上がらない。こういうものが欲しい、絵とどういった製品にするかを事細かく教えると、それ以上の精巧なものを作り出す。

 今度の夜会のドレスができたので試着にきて欲しいと手紙に書いてあったので、そうだ、ついでにジェイシス様にコーヒーとチョコを渡そう。まだ、試作段階ということを理解してもらって飲んでもらおう。
 サイフォン型とペーパードリップタイプ両方試してもらおう。チョコはナッツ入りと、チョコフォンデュができるような道具を持っていこう。

 そして、ジェイシス様のお宅訪問です。

 馬車がお迎えに来ました。もちろんジェイシス様同乗。

「お久しぶりです。ジェイシス様。お迎えに来ていただきありがとうございます」

「会いたかったよ。アイリ。さあ、早く馬車に」
 エスコートされ、馬車の中に入った途端抱きしめられた。

「本当に会いたかった。会えない時間が長すぎる」
 強く抱きしめられ、口づけを落とされる。一気に馬車内が熱を帯びる。

 額、頬、耳、首筋あらゆるところに口づけされる。そしてまた、口づけが落とされた。
「あぁ、学園に入ってから会う時間が少なくなってしまった。学園に私の屋敷から通わないか?週末あたりからでもいい、私のところに来て欲しい。ダメかな?」
 こんな甘々な雰囲気が毎回あると身がもたない。

「あ、あの、今新たな試みをしているので、それが軌道にのったらどうかなぁと思っているのですが、今日、ジェイシス様に持ってきたのです。感想を聞かせて欲しいです」
 ジェイシス様の膝の上、横抱きにされて会話をする。

「また新たなものを作ったのか?アイリはいつも何かしら新たなものを考えつくね。それが前世の記憶なのかい?」

「そうです。今回、ザッカリー商会が輸入したもので、私がずっと欲しかったものなのです。好みは人それぞれなので感想をお聞かせください」

「そうなのか。アイリは一生懸命なのはわかっているが私との時間もとって欲しいな。はぁ、もう着いてしまったか。髪の毛は乱れていないから安心して」
 また、軽い口づけをした。

「もう、口紅が取れてしまいました。ジェイシス様の口に口紅がついているので拭いてください」
 私 はハンカチでジェイシスの口を拭いた。また、口づけを落とされた。

「もう、ダメです。もう着きましたので、ダメです」

「そうか、残念だな」
 もう油断も隙もない。

 玄関先には、イーサン様とマーガレット様がニコニコしながら待っていた。恥ずかしい。何していたかわかっているような、そんな雰囲気だった。

「アイリちゃん、ようこそ。素敵なドレスが出来たのよ。アイリちゃんが試着するの楽しみだわ」

「マーガレット様、ありがとうございます。今日はお土産を持ってまいりました。先に説明させていただいてもよろしいでしょうか?

「あら、ジェイシスはアイリちゃんが忙しいから会えないと言っていたけど、新しいものを作り出したのかしら?」

「あははは、すみません。色々と作っていたので本当にすみませんでした」

「フフフッ、いつも冷静沈着なジェイシスの焦っている姿を見られたからいいわよ。新しく作ったものなの?楽しみだわ。では、先に見せていただける?」

「はい」

「母上、アイリ、ふぅ、では新しく作ったというものを見せてもらいましょうか。さぁ、エスコートさせていただきますよ」
 ジェイシス様に手を差し出され、エスコートされた。

 それから、執事ファーガソンと侍女長 メリンダに使い方を教えた。特にファーガソンが興味を示したので、きっと美味しいコーヒーを淹れてくれるだろう。

 メリンダはチョコフォンデュに興味津々。やり方と溶けたチョコをかけても美味しいことを教えた。おやつに何が出るかしら楽しみ。料理長へはレシピ集を渡した。喜んでくれるといいな。

 夜会のドレスも試着。ジェイシス様の色です。そうなりますよね。

「アイリちゃん、数日前からこちらの公爵邸に泊まりにきてね。準備があるので泊まりにきてね」

「準備ですか?」

「そうよ、体を磨かなくてはね。準備は怠ってはいけないわよ」

「身体を磨くのは大丈夫ではないですか?」

「アイリちゃん、何を言っているの?数日前から、体磨きは大事よ。2週間前からこちらに来てもいいわね」
 マーガレット様の圧がすごい。はいとしか言えない。

「マーガレット様、2週間前は早すぎるので3日前ぐらいは」
「アイリちゃん、前から磨かないどダメなのよ。ここから学園に行けば大丈夫よ」
 話を遮られ、有無を言わせぬ圧でした。
 断りきれず2週間前からこちらへ滞在となりました。

「アイリ、こちらから学園に行くのだね。朝、送っていけるから嬉しい。帰りはなるべく早く仕事を切り上げてきます」
 あれよあれよという間に決まってしまった。

 お茶の時間、コーヒーの試飲。ファーガソンの入れるコーヒーは美味しい。もう習得している。これが出来る執事。

「これは、はじめ苦いと感じたがクセになるな。苦味が強い方がいいな」
 ジェイシス様もお父さま、お兄さまと同じ深煎り。イーサン様は浅煎り。

 マーガレット様は紅茶派だった。女性は紅茶の方が好きよね。

「アイリちゃん、このチョコというの?美味しいわ。太りやすいと聞いてはいるけど、美味しくてついつい食べてしまうわ。このチョコをクッキーに入れたり、ケーキにしたりするのね。デザートのレパートリーが増えるのね。まだ、大量生産できないの?」

「また、そこまでは量産しないです」

「すごく貴重な食べ物になるわね」
 マーガレット様はチョコにハマってしまったらしい。  

 イーサン様はコーヒーについて色々質問してきた。

「これは、君たちの商会で売り出すのかい?」

「そうですね」
 ザッカリー商会から卸しているとは言わない。すみません、これは商売なので言えません。

「これはいい。レストランなどに下さないのか?」

「まだ量産できないので、そこまでは考えていないです」
 イーサン様も商売に長けた人だ。どう考えているのだろう。でも、今はまだ何も言わない。向こうもこれ以上聞かないだろう。

 こうして、ジェイシス様のご両親とのお茶会は終わった。が、ジェイシス様と私の部屋について話をするため、ジェイシス様の部屋に行った。2人きり?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

処理中です...