【本編完結】転生令嬢、目指すはスローライフ〜イベント企画担当者ではないのよ!

ブラウン

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本編

第123話 物事は進んでいくもの

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 今はジェイシス様の公爵領領地。

 王都から東の肥沃な領土。1年中農作物溢れている活気ある市場。豊かだなぁと感じる。
 人々が幸せそうだ。

 美味しそうな匂いに足を止めて、美味しそうな果物に目が行き、また足を止めてしまう。

 隣にいるジェイシス様は反対方向に顔を向け、肩が震えている。思いっきり笑われていますね。

「アイリ、食べたいものがあれば言って欲しい。食べたいのだろう?」

「串肉食べていいのですか。齧り付いていいのですか?」
 かなり引いてしまったかな。食べたいもんね。
 今の格好は街娘風の装いだけど、隣がジェイシス様だからバレバレなのよね。生温かい目で見られていた。

「もうみんなにバレているのだから、串肉食べてもいいだろうが、逆にいいのか?齧り付いて?」

「大丈夫よ。みんな見て見ぬふりをしてくれると思うわ」
 やはり大笑いされてしまった。

「見て見ぬ振りはしてくれるかなぁ?どうだろうなぁ。買いに行こう。あと何が食べたい?」

 それから食べたい者を並んで買った。串肉は塩加減が絶妙。美味しい。もちろん齧り付きましたよ。
 魔物の肉らしい。豚肉のようだから、オーク?鶏肉がコカトリスやうさぎ肉がホーンラビット。ファンタジーだ。

「アイリは躊躇なく食べるよね。魔物肉というと令嬢は嫌がるだろう」

「私は、前世の記憶持ちだから、ファンタジーの世界と思ってしまうのです。その作られた世界でもオーク、コカトリス、ミノタウロスなどの魔物肉を食べるとなっているので、私もファンタジーの世界を堪能しているのだ、という思いがあるのです」

「そうなのか、アイリは前世の記憶がある。その世界のことも聞きたいな」

「そうですね、大した生活はしてないですよ」
 それから家族構成、学校生活、バブル崩壊で生活が一変したこと、弟と妹たちとの生活、仕事生活のことを歩きながら話をした。そして文明のこと、これはこの世界とは全く異なった生活文化のことを伝えた。

「アイリはだからアレクセイ殿や御義父上に便利グッズの案をどんどん提供できるのだね」

「色々無理を言ってしまうのですが、お父さまもお兄さまも楽しんでいるのでいいのではないですか、ね」

 領都を見て回った。行く先々でおめでとうを言われ、番様に出逢われて良かった、など祝福された。

 今日は領都、後日農作業の方を案内すると言われたが、農作業の方はだいぶ遅くなってからの案内になってしまった。

 公爵領地の屋敷も大きい。イーサン様とマーガレット様はここより自然が多いところに籠られて?いる?らしい。お二人の時間を過ごしているらしい。マーガレット様も私に公爵夫人としての仕事をほとんど引き継いだので肩の荷が降りたのだろう。

 隣はジェイシス様の部屋。この部屋は寝室。市場から帰ってきてすぐ夕食。それから何怒涛の体磨き。そんなにしなくていいのではと思うぐらいの気合の入れよう。私の体は弛んでいたのか?と思うぐらいにグイグイされた。やっぱり弛んでいたのかしら?

 そして今寝室で待つ私。寝ていいかなぁ。前回も寝てしまったが、今回も寝ていいかなぁ。

 耳元でジェイシス様が囁いた。いつの間に部屋に入ってきたの?

「寝てはダメだよ」

 ひやー、耳元でやめて。

「寝てないですよ?」

「そうかな?目が眠そうだよ。でも寝かせてあげないけどね」

 それからはジェイシス様のされるがまま。最初に番としての寿命?の誓約で、ジェイシス様の龍人の証である鱗を口から体内に取り込んだ。甘い甘い飴のような、タブレットのような感じだった。

「ありがとう。これであなたの体は龍人の私と共に生きる体となる。これほど嬉しいことはない。ジェイシスではなくて、ジェイと呼んで欲しい」

 ジェイシス様は私の体を思いやりながら、それから長い長い夜を過ごした。それが昼なのか、夜なのかわからない。時々ご飯を食べさせてもらったり、お風呂に一緒に入ったりとジェイシス様に常にお世話をされた記憶がある。あの龍人の鱗は体の変化を伴うものなので、少しぼうっとしているところもある。
 体が慣れた頃にどれだけだったのだろう?

「ジェイ、あれからどのくらいだっのですか?私、このベットに寝ているだけで、外に出ていないのですが?」

「そうだな、ガゼボでお茶をするのもいいね。あまりベッドにアイリを縛り付けておくのも、嫌われてしまうのは嫌だから、外にたまには行こう」

 あれから5日が経っていた。マジですか?5日。そんなに?ジェイシス様あなたという人は!

「まだまだ足りないけど」
 耳元で囁かれた。そういえば王妃様が番は疲れるのよと言っていた。これかのことかしら?まだまだ足りないって、えー!おそろしい。

 ガゼボに、横抱きで連れていかれ、横抱きでクッキーなど食べています。これは息抜きになっているのかしら?どうなの?

「あ、あのー、ジェイ。普通に座ってお茶がしたいのですが、おろしてください」

「?いつも横抱きでお茶していたじゃないか、変わりはないよ」

 ここでも王都のタウンハウスでの侍女、メイドたちの私たちは一才見ていません、お二人の時間を邪魔しませんというような態度に恥ずかしさを感じてしまう。

 公爵領の屋敷の庭はとても広い。色とりどりの花が咲き、均整の取れた庭。

「アイリ、自分の好きな庭にしていいのだからね。あなたが公爵夫人だ。庭師などに伝えてある。気に入った庭に仕上げて欲しい」

「ありがとうございます。ジェイ。このままでも美しいです。あとは庭師とお話しして決めさせてもらいます。本当にありがとうございます」

 それからは言わずもがなです。ベッドの住人化となっています。
 結婚も早くしようという話も出てきました。ジェイシス様が早く結婚したいと言い出したからです。
 物事は急速に進んで行っています。

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