転生令嬢は江戸っ子娘、悪役令嬢には程遠いのですが〜なぜか婚約者が溺愛してくるのです

ブラウン

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久しぶりのウィルと会う

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 久しぶりにウィルとウィルの家族に会える。ルイス君、セーラちゃん、見ない間に大きくなったかなぁ(まだ2週間ぐらいしか経っていないが)メイサ様も1人で悩みを抱え込まずに旦那様に相談しているかしら?

 ウィルの乗った馬車が到着した。久しぶりのウィルだ。ここはお母さまの鬼の特訓で習得したカーテシーだ。

「お久しぶりでございます。ウィリアム様。お迎えいただきありがとうございます」

「えっ!ホ、ホワイティス?え?ど、どうしたんだ。記憶が戻ったのか?」

 顔をあげて、舌を出した。てへぺろ。お母さまに怒られる案件よ。

「ウィル、どう?カーテシー上手に出来ていた?お母さまの鬼の、あっ、愛ある特訓の賜物よ」

「鬼って何?」

「鬼はうーん、この世界ではオーガみたいなものかな。でも、ダメよ、ウィル。大きな声で言っては、どこで聞かれているかわからないじゃないの。壁に耳あり、障子に目ありよ。気をつけて!」

「??かべに?みみ?何それ?」

「どこで誰が見たり聞いたりしているかわからないということよ。お母さまに巡り巡って話が筒抜けになるってことよ」

「えっ、だって、ホワイティスのうしろに」

「こほん、ウィリアム様ごきげんよう。この前はホワイティスを助けていただいてありがとうございます。本日もお宅に訪問するということでご迷惑をおかけしますがよろしくお願いしますね。ところで、ホワイティス、何がオーガなのですか?そして、先ほど舌を出していたわね?」

「へっ?空耳ではないですか、お母さま。オーガは怖いなぁという話です。決してお母さまのことを言ったのではないです」

「ホワイティス、まだ淑女としての教育が足りないようですね。明日から頑張りましょうね、わかりましたか、ホワイティス」

「は、はい、お母さま」

ビシッと敬礼をする勢いで返事をした。背筋ピーンです。

「で、では行って参ります、お母さま」

 私たちは馬車に乗り込んだ。

「ごめん、ホワイティス。鬼が何?って聞かなければ良かったな」

「いやー、まさかお母さまが後ろにいたなんて気づかなかったわ。でも、カーテシー、うまく出来ていた?」

「カーテシーがうまくて、びっくりしたよ。記憶が戻ったのか?と思ったよ」

「とりあえずはカーテシーでの挨拶は大丈夫ね。あとはこの言葉遣いよね」

「そうだね、俺と2人きりの時は砕けた口調で平気だけど、令嬢同士の会話や親がいるお茶会や夜会ではどんな教育されているかしら?と言われるレベルのダメな言葉遣いだね」

「はぁ、やっぱり。教育的指導なのね。両親にも迷惑がかかる言葉遣いなのね。はぁ、気をつけないと。無口で押し通そうかしら。ニコニコして頷いていれば良いと思わない ?」

「ぶふっ、ずっと無口でニコニコ頷いていられるのか?いつも喋っていそうだけど」

「うーん、少し喋りたいわね」

「少し?」

「私、自分ではお淑やかの方だと思っているけど」

「お淑やか?うーん、ホワイティスの中でのお淑やかの基準がわからないよ」

「ウィル、ひどーい。どこをどう見ても、しゅ・く・じょよ」

「ぶふっ、まぁ、今はそういうことにしておくよ。学園行くとわかると思うけど、高位令嬢は所作が違うんだよ」
貴族の令嬢ってどんな感じなのよ?怖いわ。私、大丈夫?
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