転生令嬢は江戸っ子娘、悪役令嬢には程遠いのですが〜なぜか婚約者が溺愛してくるのです

ブラウン

文字の大きさ
22 / 24

久しぶりのウィルの家族に会う

しおりを挟む
 ウィルの辺境伯家タウンハウスに到着した。メイサ様がセーラちゃんを抱っこして、玄関でお出迎えをしてくれていた。セーラちゃんを抱っこしている姿は慣れた感じの安心できる抱え方だ。
 
 ウィルにエスコートされた。なかなか様になってますね。

「メイサ様、ご無沙汰しております」
 ここでも特訓の成果、カーテシーを披露。

「元気そうで何よりです。少しカーテシーがよろけましたよ、ホワイティス様」
 少し気を抜いてしまったことがバレてしまった。

 そこへルイス君が抱っこをしてもらおうと腕を大きく広げている。かわいい。

 私は屈んでルイス君を抱っこした。

「ごめんなさいね、ホワイティス様。ルイスが甘えて。もう、この子ったらホワイティス様が来るのを楽しみにしていたのよ」

 ニコニコして頷いていた。

「ルイス君、久しぶりね。大きくなったわね」

「ぼく、おおきくなった?」

「ええ、少し大きくなって、セーラちゃんのお兄ちゃまという感じだわ。セーラちゃんに優しくしているかしら?」

「あい、やさしくしています。セーラにいいこいいこしています」

 私もルイス君にいい子いい子と頭を撫でた。ルイス君もニコニコ笑顔だ。本当にかわいい。

「ホワイティス、俺がルイスを抱っこするよ。重いだろ」

「やだ、おねえちゃまがいい。おにいちゃまはいやっ」

「あらあら、ウィリアム、人気がないわね。ふふっ」
 ガーンとショックを受けているような表情のウィル。

「ウィル、ルイス君と遊んでないの?」

「学校があるし、あまり遊んでないなぁ」

「じゃぁ、今日はお兄ちゃまも一緒に、ルイス君いっぱい遊ぼうね」

「あい!」
 いいお返事をするルイス君。クスクス笑っているメイサ様。すごくいい関係が築けていることがわかる。

「ホワイティス様。セーラも抱っこしてみますか?」

「かあしゃま、おねえしゃまはルイスをだっこしているのでいまはだめです。せーらはあとでおにいしゃまがだっこします」

 あははは、ルイス君が答えている。

「あらあら、ルイスはホワイティスお姉さまに甘えているのね。久しぶりだから良かったわね」

「あい!」

 皆で応接室に移り、お茶をし近況報告をした。

「良かったな、ホワイティス。弟のリカルドと仲良くなったのか。今まで言葉も交わさない、目を合わせない仲だったからな。リカルドと街に遊びに行ったり、勉強を教わったのか?リカルド、頭がいいからな」

 ルイス君は私のお膝の上でクッキーを子リスのようにもぐもぐ齧っていてかわいい。

「ルイス君、クッキー美味しいね」
 ルイス君に一言かけてから、ウィルに話しかけた。

「そうなのよ、あの子は天才よ。でも、このホワイティスは本当に勉強していなかったのだなぁと改めて感じたわ。教科書が綺麗なのよ。とりあえず、算術や歴史などはなんとかできるけど、座学の魔法学が全くダメね。それをリカルドに教わっているのよ。今、学園復帰に向けて頑張っているのよ」

「そうだな、復学する準備か。ホワイティスは勉強嫌いだからな。そうなるよな。学園の教室などわからないだろうから学園の見取り図や1学年の先生の名前を書くよ。あとはホワイティスは誰と仲が良かったのだろう。仲が悪かったのはわかるけどなぁ」

「そうなのよ、私は誰と仲が良かったのかしら。多分ぼっちだったのだろうなぁ」

「ぼっち?ぼっちって何?」

「1人でいることよ。それはそれで1人でいることはいいのだけど、学園での青春を謳歌したいわよね」

「ぶふっ、青春を謳歌って。年寄りみたいなことを言っているよ」

「むっ!年寄りじゃないもん」

 顔の前にルイス君の顔が近づいた。

「おにいしゃまばかりとおはなししちゃだめ!ルイスとあそんでください」

 今は思いっきりルイス君と遊ぼう。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

処理中です...