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第1話
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「旦那様、離縁の申し出承りますわ。離縁いたしましょう」
私たちの結婚は私が旦那様との結婚をゴリ押して持ち込んだ結婚だった。私は伯爵家の生まれ。商業を生業にしている東の貴族、そして言葉にすると嫌味になるがお金持ちだ。対して旦那様の侯爵家は南にあり、台風、ハリケーンに似た気象状況で被害にあった。追い打ちをかけるように、旦那様のお父さまがそんな状況で亡くなり、急遽侯爵家当主となった。私はそんな状況の旦那様と旦那様の領地を助けたい一心で早く結婚を申し出た。損額が大きいためこの結婚を不服ながら受け入れた旦那様だった。
結婚して、旦那様に愛してもらえるよう、領地のことを義母である前侯爵夫人から教わり頑張っていた。侯爵家は貴族として領民を思いやる姿勢が素晴らしかった。まずは領民を1番に考えること、それがこの侯爵家のモットーであり、貴族の義務との教えだった。自分たちより領民を思う心。私はその侯爵家の教えを守りひたすら頑張った。大雨風(台風と命名します)被害の影響は大きく、尚且つ侯爵夫人が旦那様を亡くし、旦那様を亡くした寂しさを紛らわすために、そして領地の復興で心身ともに身を粉にして働いていたため体を壊し亡くなってしまった。
旦那様とは初夜以降も夫婦関係はあった。義務で夫婦関係を続けている状況だ。しかし旦那様は王都で平民のクララという女性に心の拠り所を求めてしまった。この国はルメニエール教という一夫一妻制であり、愛人や妾を許さない教えである。旦那様もクララという女性とは体の関係はないが、クララは自分のことを気遣い、頭がよく、できた女性だ、私はクララとこれから共に過ごしていきたいと離縁を申し出てきた。
私はなんとか修復しようと頑張ってみたが無駄だった。私が領地にいるから旦那様は王都に行ってしまい、領地に留まらない状態だった。領民からも不服の声が上がっている。旦那様のためにも、領民のためにもやはり私は離縁した方がいいのだろう。
今回も王都に行く旦那様を見送りそう思った。
「ねえ、ルーデンス、私は旦那様の申し出を受け、離縁をしようと思うの。領民からも旦那様への不服の思いを知って、私がここにいなければ、旦那様はここに帰って来れるでしょう?ここは旦那様の領地ですから。そして愛する人と領地復興をしていけばいいと思うのよ」
「いえ、奥様。あなたはこの領地にいなくてはならない人です。どれだけ領民のために身を粉にしてきたことか。先代の奥方様と一緒にここまで復興されたのは奥様の功績です。旦那様は学園があったので領地にお戻りになられたのは数少ないです。旦那様が災害に遭われたのは幼少の時です。実情を知りません。書類の中だけと実際に経験するのでは全く違います。そこをわかっておられないのです」
「ですが、旦那様が王都にばかりいるのは領民にとっても、領主が領民を蔑ろにしているという負の感情が強くなり、溝ができてしまいます。すでに隔たりができていると思うのです。あまり溝が深くならないよう、やはり離縁を考えなくては」
侍女長のダイナが涙ながらに訴えた。
「ケイトリン様、貴女様はどうしてそうも旦那様のことを考えるのですか。旦那様は夫婦としての義務は果たして、しばらくすると、領地のことはケイトリン様に任せ、王都に居る愛人のところに行ってしまわれるではないですか。これが領主だなんて、領民だって馬鹿ではありません。あんな領主では領民はついてきません。今はケイトリン様がいらっしゃるから、領民は穏やかに暮らしているのですよ。あんな旦那様に育つなんて、情けないです。代々の侯爵様方に顔向けができません。ケイトリン様本当に申し訳ございません」
ここにいる執事・侍女・メイド・従者一同が頭を下げた。
ああ、私はどうしたらいいの。旦那様の愛は、私には向けられていない。寂しい。
私たちの結婚は私が旦那様との結婚をゴリ押して持ち込んだ結婚だった。私は伯爵家の生まれ。商業を生業にしている東の貴族、そして言葉にすると嫌味になるがお金持ちだ。対して旦那様の侯爵家は南にあり、台風、ハリケーンに似た気象状況で被害にあった。追い打ちをかけるように、旦那様のお父さまがそんな状況で亡くなり、急遽侯爵家当主となった。私はそんな状況の旦那様と旦那様の領地を助けたい一心で早く結婚を申し出た。損額が大きいためこの結婚を不服ながら受け入れた旦那様だった。
結婚して、旦那様に愛してもらえるよう、領地のことを義母である前侯爵夫人から教わり頑張っていた。侯爵家は貴族として領民を思いやる姿勢が素晴らしかった。まずは領民を1番に考えること、それがこの侯爵家のモットーであり、貴族の義務との教えだった。自分たちより領民を思う心。私はその侯爵家の教えを守りひたすら頑張った。大雨風(台風と命名します)被害の影響は大きく、尚且つ侯爵夫人が旦那様を亡くし、旦那様を亡くした寂しさを紛らわすために、そして領地の復興で心身ともに身を粉にして働いていたため体を壊し亡くなってしまった。
旦那様とは初夜以降も夫婦関係はあった。義務で夫婦関係を続けている状況だ。しかし旦那様は王都で平民のクララという女性に心の拠り所を求めてしまった。この国はルメニエール教という一夫一妻制であり、愛人や妾を許さない教えである。旦那様もクララという女性とは体の関係はないが、クララは自分のことを気遣い、頭がよく、できた女性だ、私はクララとこれから共に過ごしていきたいと離縁を申し出てきた。
私はなんとか修復しようと頑張ってみたが無駄だった。私が領地にいるから旦那様は王都に行ってしまい、領地に留まらない状態だった。領民からも不服の声が上がっている。旦那様のためにも、領民のためにもやはり私は離縁した方がいいのだろう。
今回も王都に行く旦那様を見送りそう思った。
「ねえ、ルーデンス、私は旦那様の申し出を受け、離縁をしようと思うの。領民からも旦那様への不服の思いを知って、私がここにいなければ、旦那様はここに帰って来れるでしょう?ここは旦那様の領地ですから。そして愛する人と領地復興をしていけばいいと思うのよ」
「いえ、奥様。あなたはこの領地にいなくてはならない人です。どれだけ領民のために身を粉にしてきたことか。先代の奥方様と一緒にここまで復興されたのは奥様の功績です。旦那様は学園があったので領地にお戻りになられたのは数少ないです。旦那様が災害に遭われたのは幼少の時です。実情を知りません。書類の中だけと実際に経験するのでは全く違います。そこをわかっておられないのです」
「ですが、旦那様が王都にばかりいるのは領民にとっても、領主が領民を蔑ろにしているという負の感情が強くなり、溝ができてしまいます。すでに隔たりができていると思うのです。あまり溝が深くならないよう、やはり離縁を考えなくては」
侍女長のダイナが涙ながらに訴えた。
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ここにいる執事・侍女・メイド・従者一同が頭を下げた。
ああ、私はどうしたらいいの。旦那様の愛は、私には向けられていない。寂しい。
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