脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

ブラウン

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258 やっちまったな

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 俺は帰ろうとした。それなのに待ったがかかった。

「ノーマンどうしたの?帰って父様に報告して施設を作らなければ。ダンジョンに行く日まで時間がないと思うんだ」

「いえ、施設に頼るよりまずはケビン様の太刀や体力の限界を知りたいと思いました。ここで打ち合いを致しましょう。大丈夫です、我々は本気などは出しませんので、ケビン様の全力をぶつけてください」

 えー、先ほど俺は最弱と伝えたのだけど、実践でも最弱さを表さないと納得してくれないのか!

「うん、わかった。全力でノーマンを倒すよ」

 ぶふっ、ぐっ、ノーマンを倒すってどうやって、などなど言われているようだ。良いのだ、良いのだ。ノーマンの胸を借りるつもりで頑張るよ。やる時はやるケビン君なのである。

「ノーマン、吠え面をかかないでね」

 エルビスの笑い声が聞こえる。みんなの失笑とルーアンのため息が聞こえた。

「いくよ」

「いつでもどうぞ、ケビン様」

「えーい。キエー、トーッ」

 カチャン、カチャン、ペチャン。お分かりだろうか、この音。濁音ではないのだよ。しかし伊達に毎日ラジオ体操、剣の素振り、だいぶ前のゼーファン義兄様との鍛錬の賜物を披露した。程なくして息が上がってきた。

「ケビン様、まだまだですぞ。剣を振り下ろす時は腕の力だけではなく体を使って、はい体を使って振り下ろす」

「えい、えい」

「まだまだ、体を使われていないですぞ。はい、体を使って振り下ろす」

「はぁ、はぁ」

 ひえー、キツイよ。ずっとノーマンと打ち合い?している。チャンバラのような感じもするが、周りを見るとみんなはそれぞれ手合わせをしている。

「今度は私がケビン様と手合わせいたしましょう。ノーマン、まったく疲れていないようだな。今度はルーアンや他の者達をしごいてくれ」

 エルビスが何故かやる気満々だ。ノーマンという凄腕元騎士に触発されたか?でも手合わせは俺だよ。そんなに意気込んでも高が知れているよ。

「さあケビン様、今度は槍の鍛錬ですぞ。弓の鍛錬はサンディが得意ということですからそれぞれ得意分野をお教えいたします。私は槍と盾を教えます。さあ、頑張りましょう」

「みんな、ちょっと待ったー。僕は一人しかいないんだよ。そんな矢継ぎ早に教えられても体力持たないよ」

「ケビン様、追い込むことこそ上達の一歩ですぞ」

 それは脳筋の考えではないのか?追い込んで追い込んで達成感を味わっているうちの騎士団達。本当についていけないよ、もう。それでも俺は頑張った。基礎構えから始まり、重心をブレさせない体の使い方、足捌き、槍の突きなどなど基礎を教え込まれた。そして盾使い。もうトホホだよ。

 そこへ天の声が。

「皆さん、ケビン様がかなりお疲れですよ。これ以上やると鍛錬自体イヤになってしまわれます。徐々に徐々にグレードを上げて行く方がいいのではないの?小さいケビン様が可哀想ですよ」

 小さいは余計だ、サンディ。しかし今の実力に合わせた鍛錬方法がありがたいよ。

「そうですね、ケビン様はやればできる子なのでいきなりハイグレードは良くなかったですね。大体のケビン様の弱点がわかりました。ケビン様はまず足腰を鍛えて、基礎強化が先ですね。それから生き物に対して殺傷するということが嫌いなようですね。いいことですが、時と場合により致命傷になります。いざという時のために鍛錬してください、ケビン様」

 ノーマンよ。わかっているんだよ。そう、殺すという行為が気持ち的に難しいのだよ。でも、守るためには強くならなければいけない。そして俺を守るために人が死んでもイヤだ。だから頑張るしかないんだよね、はぁ。ケビンくんはできる子、ケビンくんはできる子なんだ!

「ありがとう!ノーマン。頑張るよ。僕のために人が死んでしまうのはイヤだし、誰かを守るために強くなるよ」

「「「「「ケビン様!」」」」」

 みんな俺の一言で感謝感激雨あられ状態だ。

 こうして俺は剣術をノーマン、槍をエルビス、弓をサンディに教えてもらうことになった。その他に隠密や範囲検索、察知能力、暗器、音を出さずに走るなどなど様々なことを教えてくれるらしい。

 音を出さずに走るなんて忍者か?隠遁の術なども覚えるの。ドロンって消えるの?楽しみでもあるなぁ。

「明日から基礎体力作りをしましょうね。元影の我々が体力面を全面的に請け負いますわ」

「はぁい。みんな、僕のレベルに合わせて考えてね。いきなりみんなのレベルは無理だからね。そこはよーくよーく考えて。さあ、これから魚釣りをしよう。そうだ、湖の精霊さん達に挨拶していかなければ。湖近くに行くよ」

 みんなを引き連れて湖にやって来た。キラキラ水面が光り、水が澄んでいる。そしてどこか厳かな雰囲気の湖になった?あれ前来た時はこんな感じだったかな。雰囲気が違うぞ。

「湖の精霊さんたちー。遊びに行っちゃったかな?」

 大声で呼んでみた。湖のキラキラさが増しまぶしいっ。そしてバサッて出てきた。何がって精霊達が。

「んちゃ!ケビンちゃん。あそびにきてくれたんだ。きいてきいてー。ぼくたちね、じょういせいれいにもうすぐなれるんだって。ここはまりょくがみちあふれているから、じょういせいれいにうまれかわるんだって。ふふん。そのときはおなまえつけてね」

「うん、名前つけるね。どんなのがいいかな。女の子もいるの?」

「いるよー、でもね、たかび、げふんげふん、きひんあふれるのかな?」

 だいぶ言葉を選んでいるし、たかび、お途中まで言ったよね、高飛車なかんじなのか。バラの精霊のように気品あふれる、はっ!同じ言葉を俺言っている。そういうことだな。へたな名前を考えたら怒られる案件だ。気をつけよう。

「名前考えておくね。ここに食べられるお魚いないの?」

「いるよー、くねくね、ぬるぬるのウナーギン、アユユン、イワーナ、コエービ、ニジマッスンなどがいるよ。たべる?とってくるね」

 ウナーギンはうなぎ、アユユンはあゆ、イワーナは岩魚、コエービは小海老、ニジマッスンはニジマスだよね。全部好き。今獲ってきてくれるのか、ありがたい。

「ケビン様、あの方々が湖の精霊様ですか?かわいいですね。しかし精霊様方が魚を獲ってきていただけるのですか?」

 ノーマンたちは初めて見る湖の精霊にびっくりしていた。他の精霊達はある程度大きいと言ってもペットボトル300ぐらいの小さい姿。それよりももっと小さいのが湖の精霊達だ。本当に上位種になるの?小さいけど。

 しばらくするとまたバサッって出てきたと思ったら、大量の魚たちが降ってきた。

「ケビンちゃん、とってきたよ」

「こ、これは」

「どうしますか?ケビン様」

 生きているから収納に入らない。困った。それなら厨房に送ってもらってしまえばいいか。

「ねえ、屋敷の厨房に届けてくれないかな」

「ん?いいよ。転送しておくね」

 転送?どうやって、と考えるまでもなく消えた魚たち。厨房は大丈夫だろうか?まあ、その時はその時だ。

「ありがとう、上位精霊になったら言ってね。名前を付けるからね」

 しばらく精霊達と遊んで帰路に着いた。はあ、楽しかった。でもこれから鍛錬か。それが気が重いよ。

 門のところで俺達が帰ったことを知らせに慌ただしく行ってしまった。どうしたのだ?

「ケビン、どういうことだ!」

 父様と料理長が家の前で仁王立ち。はてどうした?

「ノーマン、どうしたんだろうね?」

「えっ!それはあの魚たちではないですか?」

 消えた魚!マジですか。
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