脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

ブラウン

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283 またここでもか!

 俺は今、王都商会を拡張すべく考案を練っている。俺が運営している音楽が聴ける喫茶店兼雑貨店でパンケーキとコーヒーラテアート付きを頼み、考えていた。

「ケビン様、このラテアート、大人気です。芸術スキル持ちなのにコーヒーを入れてもらうなんて贅沢ですよね。いいんですかね?」

 この喫茶店を任せているおっちゃんの一番末の息子オルフェさんは芸術スキル持ちのキアリーさんのことで悩んでいた。キアリーさんはカフェオレとプリンにハマり、ここに通っていた女性だった。絵を得意としていて、絵を描いていたキアリーさんに俺は声をかけ、子供向けの絵本の制作を頼んでいた。ついでにラテアートを伝授した。キアリーさんは自分のためにラテアートしていたところ、貴族のご令嬢達や奥様方がそれをみて自分にもやって欲しいと頼み、徐々に広がりを見せたのだ。

「うーん!本人がここで働いて、ラテアートやデザートアート、雑貨や本のデザインをしたいと言っているのだからいいんじゃないの。お互い協力して、楽しく働いてよ」

 オルフェさんは真っ赤な顔をしてモゴモゴ言っていた。

「で、ですが、その、その、キアリーさんはかわいい女性ですから、ここに来ている変な輩に付き纏われてはかわいそうです。もっとキチンとしたお店で働いた方がいいのではないですか」

 ん?キチンとした店?俺の喫茶店はキチンとしてないのか?雰囲気的には少しトーンを落とした落ち着いた店だよ。それに悪意ある者はここには入れないんだよ。変な輩はいないはず!これは!

「オルフェ、もしかして」

「やめてください、ケビン様。俺がキアリーさんを好きになってしまったなんて言わないでください。キアリーさんの姿を見ていると癒されて、でもドキドキしてしまうなんて言わないでください」

 自分から暴露しているよ。後ろでガタッと聞こえたので振り返るとキアリーさんが真っ赤な顔をして立っていた。

 2人は小さい俺の頭の上で見つめ合っているようだ。俺、いる?いていいのか?俺はオルフェさんを見上げて自分の存在をアピールした。キアリーさんも顔を真っ赤にさせ、目が潤んでいるところを見ると満更でもないのかな。

「あのー、ここはお若いお二人でお話をどうぞ。まだ開店前だから。仕込みは僕がしておくよ」

「いえ、ケビン様。ケビン様に仕込みをさせるなんてできません」

「いえいえいえ、今ここで雰囲気と流れに乗って頑張りましょう」

「な、何を頑張るのですか!ケビン様」

「ではあとは若いお二人に任せて!年寄りは散歩でも行ってきますよ、ふぉっふぉっふぉっ」

「ケビン様は子供ですよ。何お爺さんみたいな会話をしているのですか」

「もう、2人は邪魔!2人で散歩してきて!」

 俺は2人を追い出した。ふぅ、ここでもまた春が来たのか。くそぉ。アルお兄ちゃん、ダニーお兄ちゃん、その他あのお茶会会場でのカップル。イーサン兄様やロナウド兄様も着々と結婚式と婚約式に向けて準備を進めている。そして赤ちゃん誕生。

 しかしこう考えると俺は天使なのか?キューピッドなのか?護衛騎士のクールとスピアーに尋ねた。

「僕の背中に羽が付いている?」

 2人は怪訝な顔をしてきっぱり言った。

「なんですかそれ?」
「ついているわけないじゃないですか。変な物食べましたか?まさか道端で拾い物をして食べたのですか?それとも毒を間違って食べたのですか!」

 うちの護衛騎士達は俺を敬うということを知らない。

「違うよ、もういいよ。さぁ、みんな仕込みをするよ。手伝って」

 俺の護衛騎士団は護衛もするが大体が助手扱いだ。この2人も料理が得意だというか包丁、ナイフさばきすごいのだ。今度はフルーツポンチをスイカの器で作ってみよう。スイカの器もデザインしてもらおう。あとはパフェをアート的に出せば女性と子供が喜ぶかな。キアリーさんも芸術スキルで絵画も描けるし、アートギャラリーも併設しよう。うんうん、いい考え。

「ケビン様、本日は何をお作りになられるのですか?」

「今日はカレー、ボアカツカレーを食べたくなった。演奏会が今日はない日だから匂いがあっても大丈夫と思ったんだ」

「カレーはあの隣国のスパイスで作られた黄色の辛い食べ物でしたよね?あれは美味しいです。しかし匂いが大丈夫ですか?」

「それは、つい最近売り出したこの強力消臭スプレー。昨今のお茶会でも使用済み。効果覿面だったよ。これを帰り際にスプレーすればあら不思議、匂いがない、そしてこれ買おうかしらって流れになるんだよ、チミ達ー」

 これぞ商人。

「はぁ、そうですか。ボアカツカレーとあとは通常メニューですか?」

「見本のサンプルを置くのはカツカレー、グラタン、ラザニア、オムライスかな。セットメニュでサラダ、ドリンク、デザートをつけよう。よし、サンプル作ろう」

 まだ、お店でカレーは出していないから今季初!注文があるかなぁ。見た目あれだからどうだろう。

 さてさて、サンプルを置いて、そうだ、キアリーさんに看板アートをしてもらおう。

「け、ケビン様。何をされているのですか?」

 おっ、戻ってきたね。それも手を繋いでいるよ。恋人繋ぎかよ!けっ!けっ!

「うまくいったようで何より」

 2人は顔を真っ赤にして、それでいて幸せオーラだよ。ふんだっ!

「今、カレーを作っているから、オルフェにはボアカツ揚げて欲しい。あとはトッピングにチーズなども用意しよう」

 そして開店。はじめはみんなオムライスやグラタンなど無難なものを頼んでいたが、チャレンジャーがここにもいる。そこからカツカレーが売れ始めた。

「ケビン様、まだまだ長蛇の列です。カレーが間に合いますか?」

「まだ大丈夫だよ。辛さが違うカレーを何種類か作っているから大丈夫だよ。でも、まだ並んでいるよね?ちょっと見てくるね」

 俺はどのくらい並んでいるか様子を見に行った。ん?セドリック、ルーティ、ラトルなど魔道具施設の人たちや王都施設食堂長コッペルが並んでいる。

「みんな、並んでいるの?」

「ケビン様、カレーを作るなんてなぜ言っていただけなかったのですか?新しい料理を作るときは言ってください」

 コッペル、ごめん、食堂でも出せばよかったね。

「ごめん、ごめん。今度はこの施設食堂で作るよ。イーサン兄様達何か言っていた?」

「イーサン達も後から来るよ」

「え?じゃー、食堂に持って行くよ。施設職員達が並んでいるのは申し訳ないから、食堂で待っていてよ」

「我々はもうすぐ順番が回ってくるのでこのまま食べていきます。食べたら、すみません、職員達の分をよろしくお願いします」

「じゃー、みんなに食堂で待つように伝令しておくね」

 俺はいそいそと食堂用のカレーを持って行った。副食堂長のナックルが仁王立ちしていた。

「ナックルどうしたの?」

「コッペルはさっさとケビン様の喫茶店に行ってしまって、全くあいつは」

「ごめんね、ナックル。こっちで先に出せばよかった。今回は作ってあるものを持ってきたから、次回からはここでオリジナルのカレーを作ろうね」

「はい、ケビン様、楽しみにしています。では、職員のためにカレーの用意をいたしましょう」

 イーサン兄様やフレッド様がやってきてカレーを堪能していた。2人は食べたことがあるので、3辛を食べていた。俺の作るカレーは5辛まで。もっと辛いカレーが欲しい人は申告するように伝えた。辛すぎてお残しは絶対ダメ!自分の好みに合った辛さで食べることをお勧めした。

 喫茶店で食べ終わったコッペルが帰ってきた。

「いやー、ケビン様、美味しかったです。セットはいいですね。プリンアラモードが芸術的ですごいです。見た目が華やかだと余計美味しく感じられますね。崩すのが勿体無かったです。いやー、満足です」

 ダメだよ、コッペルさん。ナックルさんが怒っちゃうよ。

「コッペル、今度は俺が喫茶店に行く!文句はないよな」

 お互い高め合う料理魂。仲良くやってね。

 教訓、全て食堂から始めよう。単なるカツカレーが食べたかっただけなんだけどなぁ。

 はぁ、それにしても俺の春はいつくるんだよぉ。






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