脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

ブラウン

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286 目指せ、第一声、仕込みはOK

 スティングレイ領に戻ってきた。ゼーファン義兄様と姉様を送ってきたのだ。姉様も一旦辺境伯領に戻り、赤ちゃんが授かったことを報告することになるそうだ。

「父様、ただいま戻りました。そして王都に帰りましょう。ケンおじちゃんが話があるそうです」

「ケビン、何をやらかしたのだ?」

「やらかしてません」

「本当か?」

「本当です。ただ、南地域に遊びに行くだけです」

「なぜ行くのだ?ケビンから何か話を持ちかけたということではないのだな?ん?」

「えーと、アースレイド様と領地に遊びに行く、観光をしに行くと約束しただけですよ。でも、ケンおじちゃんとあアルお兄ちゃんが視察って言ってます。僕は観光ですよ、

「ではなぜ王城に行くのだ?」

「うーん、父様も視察に行くのですかね?」

「お前は観光なんだよな?」

「僕はです」

 2人で押し問答をしていると辺境伯当主、ゼーファン義兄さまのお父様、セネラル様が笑いながら間に入ってきた。

「ケビン、ケビンは観光と思いたいだろうがどう考えても視察に同行だろう。ケビンが行くからルークも保護者同行となるのだろう?」

 父様はうんうん頷いているけど、俺は本当に観光なんだよぉ~。

「ケビン、君の観光に行くという言葉がみんなの視察になったのだな。ルーク、頑張って同行するように」

 父様ががっくしと肩を落として、ボソリと言った。

 "何がやらかしてないだよ、やらかし放題ではないか"

 俺は聞かなかったことにする。しれっと、ソファに座りお菓子を食べようとしたところ、ゴツンと父様の拳骨炸裂。

「いたーいよぉ、父様、またダンジョンで強くなったのではないですか?クソ痛いです」

「何がだ。なんだその言葉は。全く10歳になってから余計酷くなったように感じる。ケビンの行動が広がるとそれだけ厄介なことが起こるのはなぜだろうなぁ。ケビン、自重しろ」

「酷いよ、父様。僕は何もしていないですよ。何も。ただ、アースレイド様と話をして、アースレイド様の領地に行こうとしていただけです。見たことがない果実や食べ物、温泉があればいいなぁと思っていただけです。もうそれなのにみんなが一緒に行くと言ってくるから、大事になっているのです。僕のせいではないです。ぜったい」

「まぁ、もう話が進んでしまったのだろう。一旦王都に行くか。メルシーやルーナ達はタウンハウスにいるのだろう?」

「今フランソワ様とジェフおじちゃんが一緒にタウンハウスの敷地の屋敷で生活してます」

「なに?ジェファーソン様までがうちのタウンハウスにいるのか?」

 あれ?フランソワ様も赤ちゃんができたことは言ったけど、そのあとの状況は報告していなかったなぁ。

「フランソワ様も赤ちゃんができたので、安静にするためにうちのタウンハウスにいます。それを心配するジェフおじちゃんがもれなく付いてきた、という図式です」

「そ、そうなのか。フランソワ様は安静にした方がいいな」。ジェファーソン様も心配だから一緒にいたいのだろうな」

「ジェフおじちゃんに快適馬車をプレゼントしたので、王城に通ってます。そして定時に帰ってフランソワ様とお腹の赤ちゃんとの時間を大切にしているようです」

「そうなのか。まぁ、うちのタウンハウスには精霊様や妖精様がいらっしゃるから気分的にいいだろう」

「温泉も引いたのでジェフおじちゃんに取っても快適だと思います。よく寝られた、なんて言ってますからね。フランソワ様も妊婦に優しい水質なので大丈夫です」

 色々とフランソワ様が快適に過ごしてもらうように頑張ったのだ。最初の赤ちゃんの時の暗い気持ちを払拭させ、未来に向けて気持ちを切り替えて欲しいと思ったのだ。

「一旦、タウンハウスに戻ろう。それから王城から呼び出しが来たら行こう。セネラル様、中途半端になってしまい申し訳ございません。落ち着いたらまた手伝いに参ります」

「そうだな、ルーク。王宮の騎士団達が研修に来る時にまた応援を頼む。ケビンもだよ。それまでは我々で対応する。ルーク、ケビン手伝ってくれてありがとう」

 こうして俺たちは王都タウンハウスにクルさんの転移で戻った。

 父様も真っ先にルーナのところに行きあやしていた。つかまり立ちを一生懸命している姿は可愛い、本当に可愛いんだ。

 この世界になかった子供用の肌着、ロンパースはもちろん作ったよ。そしてあれも作ったのだ。

 ベビー用手押し車。ベビー用カタカタ。リル、クル、パルスのアニメ顔がぴょこぴょこと出てくる手押し車。今がちょうど使いどき。イム君に出会う前に作ったのでイム君が寂しがっていた。ごめんね。

 イム君をモチーフにしたおもちゃはバランスボールだ。イム君のようにボヨンボヨンとしていた。一緒にバランスボールに乗り体幹を鍛えるんだ。座っているだけでいいのだから楽なものだ。

 ルーナがカタカタ押しながらやってきた。にぃにだよ。1番の言葉は"にぃ"か"にぃに"と言ってもらうのだ。パパやママではない。しかし伏兵がいるのだ。ジーやバーと呼ばせたい人達がいるのだ。それらに負けないぞ。

「ルーナ、が帰ってきたよ。カタカタを押しているんだね。えらいえらい、1人で押してきたんだね」

 目線は子供目線で、スキンシップを甘々に、これぞ必殺、にぃに大好き作戦だ。まだ言葉にならないアグアク言っているルーナだが、俺が南地域に行っている間にもしかして第一声を発してしまうか?にぃにと言ったら南地域に行こうかな。これはまいった。この大事な時期にまだ行けないよ。

「父様、南地域にはルーナが言葉を発してから行きましょうか。ルーナの大事な時期に離れられませんね」

「そうだな、"とー"、とはじめに言って欲しいからなぁ」

「いえ、最初の言葉は"にー"でしょう」

 またここで押し問答勃発。

「あなた達は何やっているの。ルーナが1人で遊んでいるではないの。もう男達は」

 伏兵お祖母様がルーナをあやす。何気にお祖母様とルーナの時間は多いのだ。まずい。

「お祖母様、そろそろ王城に戻った方がいいのではないですか?お祖父様は戻りましたのでお祖母様も戻った方がいいですよ」

「あらケビン、お祖母様を追い出そうとするの?」

「追い出しではないです。王城の王妃の仕事があるのかなぁと、心配しているだけです」

「大丈夫よ、私の仕事はジェファーソンがマジックバッグに入れて持ってきてくれるのよ。仕事はきちんとしているわよ」

 えー、いつのまに。お祖母様もできる女性だ。しかしこのやり方をジェファーソン様はお祖父様にしないのだな。お祖父様に甘い顔はしないのだ。さすがだ。

 王城に呼び出されるまでルーナとの時間に費やそう。目指せ、第一声、"にぃに"。




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