脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

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291 パパママ教室でみんなでレッツダンス

 レッツ、レッツ、ダンシング。

「子供たちも起きたことだし、みんなで体を使って楽しく遊ぼう。イザーク、ビオラード、タンバリンと鈴付きのリストバンドを配って。それからカチューシャも」

 子供達に配るとみんな思い思いに手を動かして鈴やタンバリンを鳴らしていた。音が鳴ることに驚いている。

「さぁ、みんな、ここにいるお姉さんとお兄さんが音楽と踊りを教えてくれるよ。一緒に歌って踊ろう」

 そこにリルとバルスが現れた。ん?なんでまたいるんだ?

「ケビン、手伝いにきたよ。兄様も一緒だよ」

 目や髪の毛を変えてきているので、王族とはわからないだろう。

「レオン、アルお兄ちゃん、きてくれたの?みんなで歌って踊ろう」

「すまない、ケビン。南地域のスタンピードの復興活動が遅れてしまったために被害が広がってしまったのだ。第二騎士団長アースレイドの実家や寄親のフィヨルドール侯爵家が陣頭指揮をとっているのだ。王都は避難してきた人も多いのだな」

 やはり王都の方が職が多く、余所者を寄せ付けないという雰囲気がないと思いがちかもしれないが、逆に言えば、他者のことを気遣えないのではないかとも思う。まぁ、それは人それぞれの思いだからどちらがいいかはっきりとは言えない。

「アルお兄ちゃん、レオン、みんなで一緒に踊ろう」

 子供達は食べて寝たので、少しは元気になったかな。ニコニコ笑顔でジャンプしたり動き回っている。

 始めは『むすんでひらいて』だ。はじめに音楽と歌を聴き、慣れてもらう。体を揺らしたり、それだけでもいいのだ。もちろんリルとクルのパペットを渡して『リルさんとクルさんのさんぽ』も踊るよ。

「おかあさん、たのしいね」

 よかった、楽しんでもらえている。さてとひとりひとりの意向を聞いてみよう。アルお兄ちゃんは俺と一緒に話を聞くことになった。レオンはリル、バルス、クル、イムくんと一緒に子供達と遊んでくれる。

「えーと、カレナさんとお子さんのピケットくんですね。カレナさんは調香師ですね。良いスキルですね」

「あ、あのケビン様。ちょうこうしとは何でしょうか?どんなスキルかもわからず、両親には役立たずと言われ蔑ろにされてきました。幼馴染の夫と結婚し子供のピケットと三人で畑を作り生計を立てておりました。しかし、あのスタンピードで夫は、ううぅぅ、畑が心配で見に行ったところ魔獣に殺されました。私達は命からがら逃げました。あの人が盾になってくれたから。私達の地域は全滅でした。生き残った者たちでボロレス公爵様のところに嘆願に伺いましたが、全く話を着てもらえませんでした。そこで実家を頼りに帰ってみたのですが、そこでも門前払いでした。頼るあてもなく、王都に行くと言う人達と一緒にやってまいりましたが、現実は生活が難しかったです。すみません、私が手紙を書きました。まさか話を聞いていただけるなんて思ってもいませんでした。私のスキルは役に立つのでしょうか?」

「役に立つどころではないよ。いろいろ香りを作ってほしいのです。今、南地域に行く予定があるのです。そこには虫を寄せ付けない植物があると。その植物の香りはスッとする匂いだと、アースレイド様が言っていたので、それを使って香りを作ってほしいのです。その他にも植物や花で香りを作ってほしいのです。楽しみでしょうがないです」

「わ、私のスキルで香りを?」

「そうです。調香師は香りを作るスキルです。人には匂いの好みは様々です。その人に合った香りを引き出してほしいのです。うちの商会は化粧品などを売り出しています。試供品でこの練り香水を渡しました。これは僕が作った香りです。でも今は僕しかできないのです。だからカレナさんの調香師は僕にとってありがたいスキルです。一緒にこの商会で働いてもらえないでしょうか?もちろん、従業員特典で、社員寮、食堂が使えます。飲兵衛のおっさんたちもいるけど気にしないでください。して託児所もあります。託児所では読み書きを教えるのでピケットくんの将来に役に立つと思うのです。どうでしょう?」

 カレナさんが泣き出してしまった。

「あ、ありがとうございます、ありがとうございます。ケビン様」

「カレナさんを蔑ろにしたご両親達をギャフンとさせましょう」

「ぎゃふん?」

「すみません、カレナさんに優しくしなかった、手を差し伸べなかったことへの後悔をさせましょうという意味です。そして、まだつらいと思いますが未来に向けて、幸せになる一歩を踏み出しましょう。ピケットくんと頑張ってください」

「はい!」

 この後、子育てに対して不安なこと、ピケットくんへの悩みを聞いて、対処法をベテランおばちゃん達や子育てスキルがある人の話を聞き、フォーゲリア商会の従業員特典の説明を頼んだ。

「アルお兄ちゃん、スキルによって差別されてしまうなんて。それも実の親に。僕は父様と母様が差別することなく、受け入れてくれたから今の僕がいるんだ。他の貴族の家なら僕はポイっとされるのでしょうね」

「スキルが大したことがないと冷遇されている貴族家がいることは事実だ。王族もそうだ。過去にはケビンに申し訳ないが生産スキルの王子が冷遇されて、養子に出されたことがあった。嘆かわしいことだ。しかし、ケビンは未来に向けて明るい兆しを与えることができるのだな。みんな暗い顔だったのが今や明るい顔だよ。さて続けようか」

「こんにちは、ゲインさんですね。スキルは設計士ですね。奥様が病気がちでお子様がいるのですね」

 子供の俺にお子様がいるのですね、なんて言われるのはおかしいよね。はぁ、と不審がっている。

「そ、そうです。私はせっけいしというスキルですがどんなスキルかはわかりませんでした。モノを作って生計を立てていましたが、私は作ることは不得意なようです。鍛冶や大工のようなものはつくれないのです。妻は不甲斐ない私以上に仕事をしていましたが、そのせいで体を壊してしまいました。子供を産んですぐ仕事に出てしまったため体を壊してしまったのです。あぁ、私が不甲斐ないせいで」

「ゲインさんは設計士のスキルですね。これからボールドウェッジ公爵領で競馬祭りがあります。そこで作ってほしいものがあり、その設計図を描いて欲しいのです。安全性や快適さを考えた乗り物を考えてほしいのです。作るのは鍛冶、木工、魔道具士が作りますので大丈夫です。設計士とはそういうものですよ。鍛治、木工スキル持ちたちをこき使いましょう。うちのフォーゲリア領地にいる鍛治職人、木工職人は凄腕ですのでどんな設計図でも作れると思います、たぶん。ゲインさんは安全を考慮した物を作ってほしいです。奥様もいるので一軒家の家族領にしましょう。うちの領地の方に来ないですか?温泉もあり、奥様の体調が良くなるかもしれないですよ?」

「あの、フォーゲリア伯爵家には本当に精霊様や妖精様がいらっしゃるのですか?そういう噂を聞きました」

「大きな声で言えないけどいるよー。あの子達が気を許した人は見えてくるよ。温泉もあり、育児には最適な領地にしたと思っているけど、田舎が嫌だという人もいるから王都でも大丈夫だよ。同じように従業員特典はあるから安心して」

 ここでも泣き出してしまった。

「ありがとうございます。妻と相談します。妻はあまり王都のようなザワザワしたところは好きではなかったのです。王都に来て、空気の悪く余計伏せがちになってしまいました。子供のロッドとレッドは遊ぶところがなく、いつも家で遊んでいました。広い土地で過ごしたいです」

「うん、わかった。一応王都で何を作っているか見てほしい。職人たちの腕を見てほしい。そして自分の設計図を委ねる職人たちを信じて描いて欲しい」

「かしこまりました。王都にしばらくいます」

「それでは奥様の容態も見るようにするね。子供達は託児所気に入ってくれればいいなぁ」

「ありがとうございます、ケビン様。妻のスキルはこうじしょくにん?というわからないスキルなのです。しかしわからないスキルのためかお互い周りの者達に冷遇されておりました。冷遇されている者同士だったので助け合い、そのうち愛し合うようになりました。しかし、妻は泣き言も言わずどんな仕事でも受けているうちに体が弱ってきてしまったのです」

 んんんんん?麹、麹職人?俺は前のめりになり聞いた。

「奥様は麹職人?本当に?キターーーー!醤油、味噌が作れるよ。やったー、やったー。奥様をぜひ健康にさせましょう」

 俺はゲインさんの手を握り、圧を感じるのかゲインさんは引いていた。温度差の違う俺たち。

「ケビン、ゲインの奥様を治してコキ使う気か?」

「アルお兄ちゃん、人聞きの悪いなぁ。僕は真面目に、純粋にゲインさんの奥様を治して、醤油と味噌を作って欲しいだけですよ。麹はニホン酒にも使われるので、より良い麹ができればもっと美味しいニホン酒ができるのではないですか?」

「そうなのか!これはお祖父様たちに聞かせられないよ」

「ですよねー」

「あの、ケビン様。うちの妻のスキルがわかるのですか?」

「うん、多分、ニホン酒やショーチュー飲んだことある」

「は、はい、実はチョコっとお酒で少し飲ませていただきました。美味しいです」

「その工程で使う材料が美味しければ美味しいほど、あのお酒がもっと美味しくなるんだ。それが作れるのが奥様だよ。それに僕が作って欲しい調味料があるんだ。絶対作れる人だよ。元気になってもらおうね」

「は、はい!」

 ゲインさん、また泣いちゃった。おばちゃんたちにゲインさん宅に手伝いに行くことをお願いした。

「くくくくっ、ケビンはやはりすごいな。みんなを幸せに導いていけるのだな」

「やはり僕の背中に羽が生えてませんか?」

「ないよ」

 何言ってんだ、的な横目にバッサリ回答。アルお兄ちゃん、すみません。聞き流してください。

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