脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

ブラウン

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301 タンスにアレを始動開始

 タンスにアレアレ、タンスにアレ。さて命名はどうしようか。

 "マモラレール"
 全くセンスがない。

 "ムシガード"
 なんだいそれは!まんま。

 "防虫ポプリ"
 はぁ、だんだん嫌気がさしてくる。なんでオシャンティな名前が思い浮かばないのだろう。センスなし男。

 エルベというのはイタリア語のハーブ。
 エルベ ノワール ローズ。
 エルベ ノワール シトラス。
 
 エルベシリーズで香りを調合するのはどうだろう。エルベ ノワールの後に何を配合したかわかるようにすればどうだろう。俺って天才!

 今度はキャッチコピーだ。

 "大切な一着に、やさしいお守り"
 "服にも、想いにも、香りのケア"
 "防虫も、香りも、これひとつ"

 もう俺には考えられない。

 "防虫も、香りも、これひとつ"

 これでいいや!製品のわかりやすさでいいだろう。はははっ。

 貴族は生活魔法でクリーンをしているからいらないかもしれないが庶民に向けて作る方がいいのだろうか?貴族の需要はあるのか?俺自体が貴族よりも庶民寄りの考えだからなぁ、庶民に向けて作りたい。ほのかに香る程度でいいのだ。ハーブは精神的にリラックスできるから虫除け、香り、リラックス効果、おー、いいんじゃないか。

 カレナさんに作ってもらった試作品を手に取りながら考えているとドアをノックする音が聞こえた。

「ケビン、いるかしら?フランソワ様が一緒にお茶をしましょうって。ケビンもどう?」

「母様、はい、ご一緒します」

「あら?それはなぁに」

「これはですね、アースレイド第二騎士団長のご実家で大量に生息している草木で、虫が寄らない草木なのです。これをクローゼットやタンスの洋服など穴を開ける虫に効果がないか試そうとしているのです」

「まぁ、確かに何故か洋服に穴が空いていることがあるわね。大切にしていたものでも穴が空いたら捨ててしまっていたわね。それが虫だったの?」

 確か、ウール、シルク、カシミヤなどの動物性繊維に多いと聞く。シルクなんて高級なものだよ。

「香水ではないのですが、服自体から匂いがふんわりと香ればいいかなぁと思ったのです」

「それが試作品なの?」

「そうです。調香師のカレナに調合してもらったのです。僕は柑橘系のこの匂いが好きです。母様はお花の方がいいかなぁ。これはうちで作ったバラです。それともリラックス効果のラベンダーなどがいいかなぁ。どうですか?」

 母様は試作品を手に取り、香りでうっとりしていた。

「とても癒されている感じの香りね。香水のような強さではなく、ふんわりと香るのね」

「もちろん無臭で効果が出るものも作りますが香りがあってもいいかなぁとも思っているのです」

 名称ムシューデス、なんじゃそれ!

「フランソワ様やクラウディアにも話してみましょう。もうつわりもなくなってきたから」

「ダメです、母様。ハーブでも妊婦さんによくないハーブがあるのですよ。レモングラスやローズマリー、ジャスミン、ハトムギなどは赤ちゃんを包んでいる子宮を収縮させる作用があるのでダメですよ!ハーブだからといって安心するのはダメです」

「そうなのね、知らなかったわ」

「いえ、母様が仰ってくれなかったら、それらを考慮せずに作ってしまったかもしれないです。気づかせてくれて、母様、ありがとう」

 俺は母様をぎゅっと抱きしめた。母様の匂いもいい香りなのだ。ふふふ!安心する。

「まぁまぁ、この子ったら。甘えん坊さんになったのかしら」

 抱きしめ返し抱っこしてくれた。ん?抱っこされている10歳の俺。

「最近ジュリがずっしりと重いのよ。大きくなってしまったわ。それに比べてケビンは軽くて母様、まだ抱っこできるわよ、うふふ」

 母様、それは俺に対して失礼ではないか!ジュリは体格ががっしりタイプになってしまった。鍛錬場を作ってしまったのが原因だ。俺が悪いのではないかーい。俺はほどほどの鍛錬しかしないから、がっしりタイプにはなっていない。

「でも、このエルベ ノワール ローズとエルベ ノワール シトラスは大丈夫です」

 タウンハウスのガゼボに行き、姉様とフランソワ様と一緒にお茶をした。

「ケビンはまた忙しそうねぇ。ルーアンが愚痴を言っていたわよ。仕事が増えていくって。今はキャメロンの教育も忙しいから大変だって。色々遊びに行ってしまうのは子供らしいのかしら?」

「クラウディア、なんだか意味が違うような気がするわ。ケビンちゃんは確かにフラフラどこかに遊びに行ってしまうけど、何故だかみんなの為に仕事を作ってくるわよね」

 クラウディア姉様とフランソワ様の会話で何度かよからぬことを言っているような?

「姉様、フランソワ様、僕はふらふら遊びに行っているわけではないんですよ。呼ばれたから行くだけですよ。僕の意思ではないです。そこをお間違えなく!」

「だってこの前は海精霊様に会いに行って魚介類をもらってきていたわよね。この敷地に似合わない、あの今干しているスルメ?ヒモノ?アレを作る為に素材をもらいに行っていたわよね。アレってお父様やお祖父様達男性陣の酒の肴になっているものよね」

「あのスルメは噛めば噛むほど味が出て、そして顎の発達にいいのですよ。噛むほどボケません!」

 ボケって何?って感じだよな。説明としては歳をとって物忘れなどと説明しておいた。

「干物やスルメは何故か売れるのですよ。スルメなんて炙って醤油を塗っていると匂いに釣られてやってくる人がいます。スルメというかイカ?クラーケンの一夜干しが大人気です。王都のおっちゃんがまた隣に飲み屋を開いて、スルメや一夜干しを出すから繁盛しているみたいです」

「あなたとおっちゃんではなくガーデルさんは仲良しよね」

 王都の肉屋のおっちゃんことガーデルはどんどん店を拡張している。その店は俺が貢献しているんだけど、父様達には内緒にしている。バレているかもしれないけどね。今度は2階3階を宿屋にするなんて言っている。家族総出で働いているんだ。ブラック企業にならないように!

「ところでこの匂い袋、この前ケビンちゃんが作ってくれた手提げポーチに入れてもいいかしら。ふとした時に香りがあっていいと思う」

 匂い袋?今お手元のは防虫なんだよ。防虫用。そうか、匂い袋としてもいいんだ。

「フランソワ様、ナイスアイディア!匂い袋としても売り出せばいいのですね」

「これは匂い袋ではないの?」

「オナジヨウナモノデス」

 母様は防虫用と知っているのでニマニマしていた。

「フランソワ様と姉様ならどんな匂いが好きですか?僕はこの柑橘系です。これは南地域にオレンジやレモンが豊富にあるらしいです。うちにも母様に作ってもらったので似たようなものがありますが、それが南にあるのです。アースレイド様のお母様のご実家にあるそうなのです。今度紹介していただけることになったので楽しみです」

「ケビンは今度は南地域を助けるのね。南地域から避難してきたカレナ達や孤児の子達を助けたけど、南地域全域を助けるのかしらね」

 母様はそれはフラグというのかな。別に全域は助けないと思うよ。でもいい素材があれば見に行くけど。

「気候など南とフォーゲリア領は違いますから、知らない植物や果実があると思うのです。これもアースレイド様のお母様の実家にあるパイナポーです。そして隣国のジェラルディン様のところにあるココヤシもあるのです。これを自国で見つかるなんてラッキーです」

「まぁ、ココヤシは美白の化粧品ね。この国にもあったのね」

 女性陣が頷き合っている。怖いぞ。美にかける情熱。ついていけず。

「そうだわ、ジェフと最近会っていないでしょ?ケンドリックお兄様とアリステリアお義姉様が南地域にバルス様のお嫁様を見つけに行くのに、ジェフも同行することが決まったのよ。ゴリ押ししたようよ。あの人はいつも置いていかれることが多いから今回は一緒に同行すると押し切ったようよ。楽しみにしているのよ」

「フランソワ様、楽しみにしていても、何もないと思いますよ」

「そうかしらねぇ?」

 深みのある微笑みはやめて。本当に何もないから。バルスの嫁を探しに行くだけなんだよ。

「私も行きたかったけど、この子の方が優先だから、また時に同行したいわ」

「そんなホイホイと出来事は起こらないです」

 そうか、ジェフおじちゃんもくるのか。今回のお嫁さんはケンおじちゃんの魔力が適合していると言っていたし、アリステリア様も一緒に魔力を流すとより良い、夫婦共同体ということだな。

 とうとうバルスの嫁探しだな。バルスの嫁待っていてね。





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