93 / 294
間話 保育園
しおりを挟む着々と領土内が変化をしている今日この頃。
雇用も増え、働く女性も増えてきた。兼ねてから考えていた保育園に取り掛かろうと計画書を父様と母様、お祖母様に提出した。
「まぁ、子育てが終わったベテランのお母さんやお婆さん、お爺さん、子供好きの若い子を集めて仕事の合間見てもらうのね。食事の提供をすることで親達の負担がないわね」
「確かに頼る人がいない時にこの施設があれば一人で抱え込まなくても良くなるな」
「母様、お祖母様、あとは働く女性やベテランママさん達を集めて、僕が考えた案で改善できるところがないか意見が欲しいです」
俺の案は前世の保育園の見た感じしかわからない。実際問題育児に携わった人達が不安だったことやこういうものがあったらなど聞いて、開発できたらと考えている。
教会を巻き込み、領内みんなで子育てしていこうとなった。
場所はうちの敷地内と教会と領都、農村でも子供を見る人がいない人には領内馬車を作り、送り迎え付きにした。
食事はスープ、惣菜パン、サラダやフルーツなどを作り届けた。給食センターのようなものだ。そして簡易的な料理だ。
「ケビン、大人達もお金を出すので作って欲しいという要望が出ているぞ」
「本当ですか?大人では量が少ないのではないのですか?父様。お金を出すっていくら貰えばいいのですか?ワンコイン食事ですか?」
「ワンコイン?また変な言葉を使っているよ。ちょっとおやつ替わりや小腹がすいている量でいいらしい。コイン一枚か。それなら領民も負担がないか」
また敷地に建物が増えた。給食センターだ。マジックバッグに入れているので衛生面は大丈夫。これを朝、各施設へ届けにいく。
給食センターの料理人は見習いを多く集めた。ここで基礎から応用まで叩き込み、屋敷や施設の厨房に就職するようにする。各厨房に料理人が必要になってきたので、ここから巣立ってもらおうと計画している。
そして保育園施設は屋敷、魔道具施設、酒造施設、木工施設、錬金施設の働く女性のために一つ作った。もちろん教会内、街、農村にも作った。
今日は農村の保育園施設へ視察に行く。
今回は馬で移動している。馬に乗れない俺は父様の前に座る。
「父様、うちの領地は働く女性が多いのですね」
「そうだな、今までみんなで働きなんとか生活してきた状態だったのだよ。本当に余裕なんてない、辛い時期を過ごしてきたんだよ。お前のスキルが色々教えてくれ、作ってくれるおかげで領民の生活が改善していった。しかし、根底にある働くということが身についているから、やめることができないのだよ。保育園に預けると言っても短時間で、子供達の交流にもなり、本、遊び、運動、勉強と自分の好きなことができるから、親達はありがたいと言っていたよ。給食が出ることが一番良いと言って、子ども達も遊びとご飯を食べにきているよ」
「ご飯を食べに来るついでで良いのですよ。そこで色々なことに興味を持って欲しいです。将来に向けてこういうのを作りたい、やってみたいと思って欲しいです。子供の時はのびのびと生活してその中で学びを覚えて欲しいですね」
「ケビン、お前も子供なんだけどなぁ」
「そうですね、あれ?そういえば僕同年代の友達いないですね。僕、同年代な子供と合うかな?」
「ケビンの口から子供って。うーん、お前はしっかりしすぎているから無理かもしれないが、高位な貴族の子供なら既に嫡男としての教育をしているから、子供っぽさが少ないのでは?」
「それは嫌ですね。高位の貴族とは付き合いは遠慮したいです。やっぱり領地に引きこもりますね、父様」
「ケビン、お前は、はぁ」
農村の保育施設に到着した。
「領主様、ケビン様だ!」
子供達と園長先生が出迎えくれた。
「ナンシー、不便はないか?」
「皆楽しんでおります」
それから施設や子供達がここでどんな生活をしているか見て回った。
今はみんな思い思いのことをしている。剣術ブース、刺繍ブース、お絵かきブース、本のブースなど興味を持ちそうなもの置いている。読み書きと計算の勉強時間はこれからのようだ。勉強風景を見て、楽しそうか退屈そうか見てみよう。
「こちらが教室です。その後給食になります。みんな給食の時間が大好きなのですよ。先生達もみんな給食が楽しみなのです。子供達と勉強やふれあいそして給食など様々な経験できる機会を与えていただきありがとうございます。私も家庭教師しか道はないと思っておりましたが、なにぶん平民は貴族の家庭教師になれず、ましてや女というだけで断られることが多かったのです。そういう思いをしてきた者達が多いのです。大怪我をして騎士を辞めざるおえなかった方も剣術の先生が出来て喜んでおります。こちらの領地では私達の活躍の場を設けていただき感謝しかございません。美味しい料理もありますし、ふふっ。私達も楽しんで仕事をしております。ありがとうございました」
先生達はイーサン兄様やドバイン様、ウェルス様のおかげだ。こんな優秀な先生方を集めてくれるなんて。剣術は退役騎士や怪我を負った騎士達を集めた。これはこの領地に学校を建立する足掛かりとなるだろう。
でも、怪我をした騎士達は温泉に入り、怪我が治りうちの騎士団に入るルーティンができてしまった。だから騎士達の配属サイクルを子供達に剣術を教えることも入れておくことにした。子供達に基礎を教えることで自分自身の振り返りになっていいと言っていたからね。
まだまだ改善が必要だけど、これは子育て支援の第一歩だ。
651
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!
naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。
そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。
シオンの受難は続く。
ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。
あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。
恋人が聖女のものになりました
キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」
聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。
それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。
聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。
多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。
ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……?
慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。
従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。
菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる