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砂漠の国
25話 静かな夜
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夜の王都は、昼とは違う顔をしていた。
港からの潮風が通りを抜け、遠くで波の音が響く。
街の灯りはまばらで、訓練場の外れにある小さな空き地だけが暖かく光っていた。
僕たちはそこに集まって、焚き火を囲んでいた。
焼いた干し肉の匂い、煮出した香草茶のほのかな苦味。
戦の緊張に包まれた日々の中で、それだけが心を落ち着かせてくれた。
「……にしても、明日は休みってのが信じらんねぇな。」
ガルドが火を見つめながら笑う。
「久々にまともな飯でも食うか。」
アリアはその隣で小さく頷いた。
「街の中央区に、星見の塔があるの。
旅人も登れるって聞いたわ。……そこから見た星、きっと綺麗よ。」
「へぇ、そんな場所があるんだ。」
僕は火の揺らぎの向こうに広がる夜空を見上げた。
星々は王都の煙を越えて、静かに瞬いている。
「ルミナ村の空もきれいだったけど……なんか違うね。」
「当たり前だ。ここは戦の匂いが混じってる。」
ガルドの言葉に、少しだけ笑ってしまう。
「それでも、きれいだよ。」
アリアがふっと微笑んだ。
「あなた、ほんとに不思議な人ね。怖くても、それでも前を見ようとする。」
「……怖くないわけじゃないよ。
でも、見ておかないと。見ないまま逃げたら、ずっと後悔しそうだから。」
火のはぜる音が響く。
それはどこか、遠い鼓動のようにも感じた。
⸻
その少し離れた場所。
ヴァルンは一人、街の外を見つめていた。
暗闇の彼方、海沿いの方角で何かが閃く。
光ではない。
炎のようでも、雷のようでもない──不気味な“赤”。
「……動き始めたか。」
低く呟く声が、夜風に溶けて消えた。
彼は腰の剣に手を添える。
まるで、心の奥に眠る過去の記憶を確かめるように。
その時、港の方角から微かに鐘が鳴った。
一度。二度。
そして──三度目には、重く長い音が王都の夜を震わせた。
ガルドが立ち上がり、空を見上げた。
「……非常鐘だ。」
火の明かりが揺れ、ノエルたちの影が長く伸びた。
風が変わる。
夜の静けさの中に、鉄の匂いが混じった。
戦の夜が、始まろうとしていた。
港からの潮風が通りを抜け、遠くで波の音が響く。
街の灯りはまばらで、訓練場の外れにある小さな空き地だけが暖かく光っていた。
僕たちはそこに集まって、焚き火を囲んでいた。
焼いた干し肉の匂い、煮出した香草茶のほのかな苦味。
戦の緊張に包まれた日々の中で、それだけが心を落ち着かせてくれた。
「……にしても、明日は休みってのが信じらんねぇな。」
ガルドが火を見つめながら笑う。
「久々にまともな飯でも食うか。」
アリアはその隣で小さく頷いた。
「街の中央区に、星見の塔があるの。
旅人も登れるって聞いたわ。……そこから見た星、きっと綺麗よ。」
「へぇ、そんな場所があるんだ。」
僕は火の揺らぎの向こうに広がる夜空を見上げた。
星々は王都の煙を越えて、静かに瞬いている。
「ルミナ村の空もきれいだったけど……なんか違うね。」
「当たり前だ。ここは戦の匂いが混じってる。」
ガルドの言葉に、少しだけ笑ってしまう。
「それでも、きれいだよ。」
アリアがふっと微笑んだ。
「あなた、ほんとに不思議な人ね。怖くても、それでも前を見ようとする。」
「……怖くないわけじゃないよ。
でも、見ておかないと。見ないまま逃げたら、ずっと後悔しそうだから。」
火のはぜる音が響く。
それはどこか、遠い鼓動のようにも感じた。
⸻
その少し離れた場所。
ヴァルンは一人、街の外を見つめていた。
暗闇の彼方、海沿いの方角で何かが閃く。
光ではない。
炎のようでも、雷のようでもない──不気味な“赤”。
「……動き始めたか。」
低く呟く声が、夜風に溶けて消えた。
彼は腰の剣に手を添える。
まるで、心の奥に眠る過去の記憶を確かめるように。
その時、港の方角から微かに鐘が鳴った。
一度。二度。
そして──三度目には、重く長い音が王都の夜を震わせた。
ガルドが立ち上がり、空を見上げた。
「……非常鐘だ。」
火の明かりが揺れ、ノエルたちの影が長く伸びた。
風が変わる。
夜の静けさの中に、鉄の匂いが混じった。
戦の夜が、始まろうとしていた。
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