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教授のサイコパス講義
しおりを挟む実はサイコパスは医学的には解明されつつあります。
え?意外ですか?
まぁ、聞いてください。
核磁気共鳴画像法によってサイコパスの脳を調べた結果、一般の人に比べて扁桃体《へんとうたい》と呼ばれる部分の活動が低い事が判明しました。
この扁桃体というのは、快感や不快感、恐怖といった基本的な情動を司る部位でしてこの機能が低下する事によって恐怖を感じにくくなるようです。
そうすると、近い将来サイコパス発見器みたいなものが作られるかもしれませんね?
怖い世の中です…
気をつけましょうね……お互いに。
ま、冗談はこれくらいにして。
ではこの、脳機能の低下が先天的なものか後天的なものかという事ですが……今のところハッキリとした結論は出ていません。
しかし、有名なサイコパスの中には幼少期に何らかの虐待を受けていた例も少なくないですね。
え?虐待されたから、やり返してる?
そんな単純な話ではないですよ。
つまり、虐待によって、扁桃体に負荷がかかりすぎて壊れてしまった事によって恐怖や良心を失ったある種のモンスターが創り出されたわけです。
もしも、そうならある意味後天的サイコパスは被害者と言えますね。
つまり、現代社会の犠牲者がサイコパスと考える事もできるわけです。
なんか、少し同情しますね。
ま、同情したところで、サイコパスにはその感情が理解できないのですけどね。
一方で先天的なサイコパスの場合もある特殊な状況下では活かされると考えた学者もおりました。
精神科学者のジェームス・ファロン教授がその人です。
ファロン教授はこの恐怖を感じ難く敵に対して容赦のないサイコパスの資質を戦士の遺伝子と呼んで、必要悪と捉えていた様です。
なぜなら、動乱の時代にあってはこのサイコパス的な考え方や心のあり方が、とても都合が良いわけです。
もしかすると、我々のよく知る英雄の中にもサイコパスがいるかもしれませんね?
え?そんな奴がいたら、敵だけでなく味方も殺しちゃわないかって?
もっともな意見ですね。
しかしながらジョナサン・ハイト氏による研究では
サイコパスといえども共同体への帰属心や忠誠心はあり、権威も尊重するし、神聖さを重んじるらしいです。
とすると、史実に登場する様な英雄の中にもサイコパスが居た可能性は高いと考えられませんか?
とは言え、あくまでも戦争や動乱の時代という特殊な環境での話ですけどね。
あ、そう言えば、現代社会でも戦争みたいな事はありますよね?
とにかく我慢が苦手なサイコパスは受験の様な地味な戦争は苦手でしょうけど、華々しい仕事とかは得意ではないかと思います。
プレゼンテーションとか、俳優とか舞台に立つ人や、スポーツ選手などでもよく名選手は緊張を楽しむ事ができるんです、なんて言ってますけどねぇ、そもそも緊張してないんじゃないの?って疑問も湧くわけです。
華々しいといえば、あれもそうですね。
アイドルとかもある意味戦争ですね。
やたら強いアイドルがいたら少し疑ってみる必要があるかもしれません。
戦士の遺伝子を受け継いでるかも知れないってね。
まあ、ファロン教授は自身も研究の中でサイコパスである事を認めざるおえなくなった稀有な人なので、戦士の遺伝子という言い方も幾分、サイコパスに対して擁護的な響きがありますけども。
私の見解は少し違いますね。
先天的にしろ後天的にしろ、サイコパスの脳の働きは動物的ではないかと考えます。
サイコパスは良心がない、と言いますが、単純に殺しを躊躇しない事で良心がないと言う事はできません。
なぜなら我々も肉を食べるために家畜を殺しますよね?
つまり、良心とは同じ種に対して危害を加えない心や同情する気持ちを持っている事ではないかと思われます。
しかし、動物は生きる為に同族を食べる事を躊躇しませんし、仮に、仲間がほかの強い種に殺されたとしても冷静さを失ったり敵討ちに向かう事はありません。
つまり、動物の世界では冷徹は当たり前であり、そうでなければ普通は生き残れない世界なのです。
もちろん、憐れみや同情心の強い個体も居たかもしれませんが恐らく淘汰されてしまったのではないかと考えられます。
ところが、圧倒的な知性で世界を支配してしまった人間には同種に対する憐れみや同情心をもったり様々なものを愛でたりする余裕ができました。
かくして脳の扁桃体は発達して文化を作り、その心のゆとりを人間性と呼んだり良心と言ったりしてるのではないでしょうか?
しかし、人間もそもそも動物ですので何かの弾みで扁桃体の機能が低下すると、途端に野生化するのではないでしょうかね……心の野生化です。
つまり、サイコパスとは知性という牙をもった獣、あるいは猛獣を心に飼っている表面上は良識人。
あるいは……そうならざる負えなくなる様な体験をした人……
と言えるのではないでしょうかねぇ。
ま、あくまで仮説ですけどね。
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