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ツバメゴロシの降る夜に
しおりを挟む少年は窓の外に一面の銀世界をみて歓声をあげそうになった。
しかし、まだ大勢の大人達が寝ている事を思い出して思いとどまるとそっと携帯を取り出して録画をはじめた。
しかし玄関を出ると漢数字のニの様な下駄の足跡らしきものが続いている。
下駄なんてものを履いているのはこの屋敷には一人しかおらず、その予想どうり彼の住居である離れの方に足跡は続いていた。
その足跡の上を少年は面白がる様に踏んでいくと案の定下駄の足跡は離れの玄関の前でプッツリと消えていた。
少年は離れの玄関まで辿り着くと扉を開けようとしたがピクリとも動かない様子であった。
後ろを振り向くと、下駄の足跡と少年の足跡が交わってキや干や士みたいな形が沢山できていた。
少年はその奇妙な足跡を満足そうに撮っていると突然静寂な朝をつん裂くような悲鳴が聴こえた。
少年は慌ててまた離れの玄関の方に向き直るとガタガタと扉が震えだし中からセーラー服姿の女子高生らしきショートヘアの女の子が飛び出して来た。
少女は少年を見るなりギョッとした表情で固まった。
「うわあ!」
少年は驚いてそのまままっしぐらに屋敷に逃げ帰って来た。
そのあと、屋敷に戻るとたまたま泊まっている客の一人の部屋を叩いた。
客は眠そうな目を擦った後、少年の話を二、三聞くとやおら起き上がって浴衣姿のまま外へと飛び出した。
なぜなら彼は刑事であったからだ。
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