6 / 6
光の闇
しおりを挟む
それより24時間前の出来事。
寝ている男がモニターに映されていてその横にはドクターの様な白衣を着た男が何やらその男に話しかけている。
『……はい、その女の子はとても美人です。あなたの好みの顔をしています。そして……お風呂に入りたいと言っています。さぁ、どうしますか?』
『お、お風呂……一緒に……はいろっか?』
『その女の子とお風呂に入りたいですか?』
『……はいり…たい』
「博士、もう大丈夫です」
『わかりました』
モニターを観ていた女性は中の男性に指示を出した。
男性は頷くとなんらかのスイッチをいれた、途端に寝ている男は何も喋らなくなった。
「はい、ここまでの様です」
赤のラインの入った白装束の女性がそう言って後ろで同じ様にモニターを観ていた男に向き直った。
「てことは……彼は…」
「もちろん不合格です」
「じゃあ…」
「はい、仕方ありませんね。脳を多少弄る事になります、勿論外からは殆どわかりません現代医学の最先端技術です」
女性は胸を張ってそう答えた。
「いわゆるロボトミー技術の最新版という風に聞いているが……しかしこんな簡単な検査で決定して良いのかね?」
「簡単と言われますが、一度こういう結果が出た受刑者はほぼ99%同じ結果しかでません、いわゆる催眠療法ですが……」
「しかし、彼が母親からメッセージを受け取った時涙を流してた様にみえたが……更生の可能性があるのでは?」
「いえ、そこが問題なんですよ。一度大きく更生する様に催眠誘導した後に、自身の欲求を抑える事が出来ればよかったんですけどね……彼は出来ませんでした」
「他の治療法などはないのかね?」
「これは、ちょっと言いづらいんですが……」
「なんだね?」
「厳密には小児性愛いうのは病気ではありません」
「……というと?」
「例えばホモセクシャルの方を病気と言ったらどう思います?」
「ん?それは違うだろ」
「どう違いますか?」
「それは性のマイノリティなだけで差別はダメだ、現代的ではない」
「ですね、しかし性同一性障害というまるで病名の様な呼び方をされてましたし、宗教的に異端としていた宗教もあります」
「それはそうだが、時代が変化している。より柔軟で多様な性が認められる時代になろうとしている」
「もちろんそうなのですが、そうであるならこの小児性愛も単なるマイノリティと言えなくもありませんよね?」
「君は……彼らのマイノリティも認めるべきだと?」
「いえ、あくまで彼らを治療するという事の難しさを言いたかっただけです。実際に社会に実害が出ている以上こうするしか方法がないと……ご納得されませんか?」
「なるほど、しかし……」
「なんでしょう?」
「こんな事が世にバレたら我々の信用も地に落ちる」
「ご安心ください、その為に宗教法人の形をとっているんです。ここで起きた受刑者の劇的な変化は全て信仰の賜物だと思われるでしょう」
「……よろしく頼むよ」
「お任せください、数年後には犯罪のない国、日本として世界から尊敬されるでしょう……総理」
寝ている男がモニターに映されていてその横にはドクターの様な白衣を着た男が何やらその男に話しかけている。
『……はい、その女の子はとても美人です。あなたの好みの顔をしています。そして……お風呂に入りたいと言っています。さぁ、どうしますか?』
『お、お風呂……一緒に……はいろっか?』
『その女の子とお風呂に入りたいですか?』
『……はいり…たい』
「博士、もう大丈夫です」
『わかりました』
モニターを観ていた女性は中の男性に指示を出した。
男性は頷くとなんらかのスイッチをいれた、途端に寝ている男は何も喋らなくなった。
「はい、ここまでの様です」
赤のラインの入った白装束の女性がそう言って後ろで同じ様にモニターを観ていた男に向き直った。
「てことは……彼は…」
「もちろん不合格です」
「じゃあ…」
「はい、仕方ありませんね。脳を多少弄る事になります、勿論外からは殆どわかりません現代医学の最先端技術です」
女性は胸を張ってそう答えた。
「いわゆるロボトミー技術の最新版という風に聞いているが……しかしこんな簡単な検査で決定して良いのかね?」
「簡単と言われますが、一度こういう結果が出た受刑者はほぼ99%同じ結果しかでません、いわゆる催眠療法ですが……」
「しかし、彼が母親からメッセージを受け取った時涙を流してた様にみえたが……更生の可能性があるのでは?」
「いえ、そこが問題なんですよ。一度大きく更生する様に催眠誘導した後に、自身の欲求を抑える事が出来ればよかったんですけどね……彼は出来ませんでした」
「他の治療法などはないのかね?」
「これは、ちょっと言いづらいんですが……」
「なんだね?」
「厳密には小児性愛いうのは病気ではありません」
「……というと?」
「例えばホモセクシャルの方を病気と言ったらどう思います?」
「ん?それは違うだろ」
「どう違いますか?」
「それは性のマイノリティなだけで差別はダメだ、現代的ではない」
「ですね、しかし性同一性障害というまるで病名の様な呼び方をされてましたし、宗教的に異端としていた宗教もあります」
「それはそうだが、時代が変化している。より柔軟で多様な性が認められる時代になろうとしている」
「もちろんそうなのですが、そうであるならこの小児性愛も単なるマイノリティと言えなくもありませんよね?」
「君は……彼らのマイノリティも認めるべきだと?」
「いえ、あくまで彼らを治療するという事の難しさを言いたかっただけです。実際に社会に実害が出ている以上こうするしか方法がないと……ご納得されませんか?」
「なるほど、しかし……」
「なんでしょう?」
「こんな事が世にバレたら我々の信用も地に落ちる」
「ご安心ください、その為に宗教法人の形をとっているんです。ここで起きた受刑者の劇的な変化は全て信仰の賜物だと思われるでしょう」
「……よろしく頼むよ」
「お任せください、数年後には犯罪のない国、日本として世界から尊敬されるでしょう……総理」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる