光の園

ハイブリッジ万生

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光の闇

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それより24時間前の出来事。

寝ている男がモニターに映されていてその横にはドクターの様な白衣を着た男が何やらその男に話しかけている。

『……はい、その女の子はとても美人です。あなたの好みの顔をしています。そして……お風呂に入りたいと言っています。さぁ、どうしますか?』

『お、お風呂……一緒に……はいろっか?』

『その女の子とお風呂に入りたいですか?』

『……はいり…たい』

「博士、もう大丈夫です」

『わかりました』

モニターを観ていた女性は中の男性に指示を出した。

男性は頷くとなんらかのスイッチをいれた、途端に寝ている男は何も喋らなくなった。

「はい、ここまでの様です」

赤のラインの入った白装束の女性がそう言って後ろで同じ様にモニターを観ていた男に向き直った。

「てことは……彼は…」

「もちろん不合格です」

「じゃあ…」

「はい、仕方ありませんね。脳を多少弄る事になります、勿論外からは殆どわかりません現代医学の最先端技術です」

女性は胸を張ってそう答えた。

「いわゆるロボトミー技術の最新版という風に聞いているが……しかしこんな簡単な検査で決定して良いのかね?」

「簡単と言われますが、一度こういう結果が出た受刑者はほぼ99%同じ結果しかでません、いわゆる催眠療法ですが……」

「しかし、彼が母親からメッセージを受け取った時涙を流してた様にみえたが……更生の可能性があるのでは?」

「いえ、そこが問題なんですよ。一度大きく更生する様に催眠誘導した後に、自身の欲求を抑える事が出来ればよかったんですけどね……彼は出来ませんでした」

「他の治療法などはないのかね?」

「これは、ちょっと言いづらいんですが……」

「なんだね?」

「厳密には小児性愛ペドフィリアいうのは病気ではありません」

「……というと?」

「例えばホモセクシャルの方を病気と言ったらどう思います?」

「ん?それは違うだろ」

「どう違いますか?」

「それは性のマイノリティなだけで差別はダメだ、現代的ではない」

「ですね、しかし性同一性障害というまるで病名の様な呼び方をされてましたし、宗教的に異端としていた宗教もあります」

「それはそうだが、時代が変化している。より柔軟で多様な性が認められる時代になろうとしている」

「もちろんそうなのですが、そうであるならこの小児性愛も単なるマイノリティと言えなくもありませんよね?」

「君は……彼らのマイノリティも認めるべきだと?」

「いえ、あくまで彼らを治療するという事の難しさを言いたかっただけです。実際に社会に実害が出ている以上こうするしか方法がないと……ご納得されませんか?」

「なるほど、しかし……」

「なんでしょう?」

「こんな事が世にバレたら我々の信用も地に落ちる」

「ご安心ください、その為に宗教法人の形をとっているんです。ここで起きた受刑者の劇的な変化は全て信仰の賜物だと思われるでしょう」

「……よろしく頼むよ」

「お任せください、数年後には犯罪のない国、日本として世界から尊敬されるでしょう……総理」

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