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車椅子の少女
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みすずはその雫という少女に食い入るような視線を向けていた
みすず「あ、あなた...。」
雫「な...なんでしょう?」
雫はものすごい視線に圧倒されるように体を硬直させていた
百樹「どうしたんだね?みすずくん」
みすず「それが...。」
プルルルルルルルルルルル
突然廊下の奥のこちらからは死角になっている方から携帯の呼び出し音がなった
「ひぃ!」
同時にだれかが叫び声をあげた
優「誰だ!」
一斉にみんなが今度は声のした方に注意をむけた。
するとゆっくりと車椅子に乗った少女が観念したように姿を現した。
「ご、ごめんなさい...覗き見していた訳じゃないんだけど...。」
車椅子の少女は声の感じなどから雫と同じくらいの年齢に思われた
百樹「君は...もしかして、入れ替わりをした経験がある子?」
車椅子の少女「入れ替わり?なんのですか?」
これは...全く知らない人の反応だ
百樹「いや、なんでもない...知らないならいいんだ、一般病棟の子だね?なんでこんなところまで?」
車椅子の少女「私の病室...その奥なんで」
百樹「この......奥?」
そう言いながら百樹は今来た道を振り返った
この奥には我々の為に解放してもらっている大きな病室(普段は内密の会合などに使っているらしいが)しかないと思ったが...。
百樹「あ、違うな...そういえば、本当の難病指定の病室があった」
車椅子の少女「本当の?」
百樹「い、いや...なんでもないよハハハハ...」
車椅子の少女「......」
百樹(つい口が滑ってしまった、難病ではなく隔離が必要な人々を難病と偽って集めてるなんて言えないからな)
コホン
百樹はわざとらしく咳払いすると言った。「我々も訳あって治療の為にこの奥の部屋を借りてるんだよ、ちょっと騒がしい連中も居るので迷惑をかけるかもしれないが、そんなに長い期間ではないはずなので、よろしくたのむよ。」
車椅子の少女は無言でコクリと頷いた
車椅子の少女「そこ...通ってもいいですか?」
百樹「あ...ああ、もちろんだ!気が付かなくてすまないね、どーぞどーぞ!」
百樹は大袈裟(おおげさ)なゼスチャーで通って良いことをアピールした。
高級な車椅子なんだろうか...電動らしいが動いている時もほとんど音がしなかった。
車椅子の少女は綺麗に揃えられたボブカットの長い前髪のせいでどこを見ているかわからなかったが、雫の近くを通ろうとした時ピタッと止まった
車椅子の少女「...あなたも、難病なんですか?」
雫「い、いえ...違います。」
車椅子の少女「...そうですか。」
雫「...あ、でも、良かったら話し相手くらいにはなれるかも?」
車椅子の少女「ほ、ほんとう?...ありがとう。でも...よく私の気持ちがわかったわね...顔にでてたかな?」
雫「え?あ...そうね、なんとなく、昔からカンが鋭いねっていわれるの...。」
車椅子の少女「そうなんだ...私と同い年くらいの子ってそうそう居ないから...もし暇なら来てね。」
雫「うん、わかった...あの...。」
車椅子の少女「あぁ...名前ね?誰かわからないんじゃ来れないもんね?私はみう。五十嵐未有。」
雫「みう?」
未有「そう、未曾有(みぞう)って言葉知ってる?その真ん中が抜けた未有。あなたは?」
雫「そうなんだ。わたしは...しずく、天之雫。」
未有「しずくちゃん...かわいい名前ね。」
雫「そ、そう?」
2人が照れながら自己紹介をしていると、一般病棟の方からバタバタと女の人が走ってきた
「未有!こんなところにいたの?いま、おばあちゃん着いたのよ」
その女の人は未有しか見えないと言った感じで話し出した。
未有「...会いたくない。」
女の人「そんな...わがまま言わないで、おばあちゃんだって遠くからわざわざ見えてるのよ?」
未有「...来てくれとは言ってない。」
女の人「未有!」
未有「いいからほっといてよ。」
女の人「未有...お願い、お母さんの顔を立てると思って。」
未有「......。」
未有のお母さん「...ほんの少しの間でいいから。」
未有「...どのくらい?」
未有のお母さん「5分」
未有「長い」
未有のお母さん「3分」
未有「...わかった3分ね...カラータイマーは3分。」
五十嵐未有は渋々という形で承諾した。
未有のお母さん「未有ごめんね、皆さんすみませんお騒がせして、さぁ、行きましょ。」
未有のお母さんは気が変わらない様にしたいのか、車椅子の後ろを持って急がせた(電動なのでほとんど意味はない)
未有と未有のお母さんは一般病棟の方へ今来た道を戻って行った。
去り際に雫の方をみて
未有「じゃ...後でね。来なかったらこっちから行くかもよ?」
そう言って微笑んだ。
みすず「あ、あなた...。」
雫「な...なんでしょう?」
雫はものすごい視線に圧倒されるように体を硬直させていた
百樹「どうしたんだね?みすずくん」
みすず「それが...。」
プルルルルルルルルルルル
突然廊下の奥のこちらからは死角になっている方から携帯の呼び出し音がなった
「ひぃ!」
同時にだれかが叫び声をあげた
優「誰だ!」
一斉にみんなが今度は声のした方に注意をむけた。
するとゆっくりと車椅子に乗った少女が観念したように姿を現した。
「ご、ごめんなさい...覗き見していた訳じゃないんだけど...。」
車椅子の少女は声の感じなどから雫と同じくらいの年齢に思われた
百樹「君は...もしかして、入れ替わりをした経験がある子?」
車椅子の少女「入れ替わり?なんのですか?」
これは...全く知らない人の反応だ
百樹「いや、なんでもない...知らないならいいんだ、一般病棟の子だね?なんでこんなところまで?」
車椅子の少女「私の病室...その奥なんで」
百樹「この......奥?」
そう言いながら百樹は今来た道を振り返った
この奥には我々の為に解放してもらっている大きな病室(普段は内密の会合などに使っているらしいが)しかないと思ったが...。
百樹「あ、違うな...そういえば、本当の難病指定の病室があった」
車椅子の少女「本当の?」
百樹「い、いや...なんでもないよハハハハ...」
車椅子の少女「......」
百樹(つい口が滑ってしまった、難病ではなく隔離が必要な人々を難病と偽って集めてるなんて言えないからな)
コホン
百樹はわざとらしく咳払いすると言った。「我々も訳あって治療の為にこの奥の部屋を借りてるんだよ、ちょっと騒がしい連中も居るので迷惑をかけるかもしれないが、そんなに長い期間ではないはずなので、よろしくたのむよ。」
車椅子の少女は無言でコクリと頷いた
車椅子の少女「そこ...通ってもいいですか?」
百樹「あ...ああ、もちろんだ!気が付かなくてすまないね、どーぞどーぞ!」
百樹は大袈裟(おおげさ)なゼスチャーで通って良いことをアピールした。
高級な車椅子なんだろうか...電動らしいが動いている時もほとんど音がしなかった。
車椅子の少女は綺麗に揃えられたボブカットの長い前髪のせいでどこを見ているかわからなかったが、雫の近くを通ろうとした時ピタッと止まった
車椅子の少女「...あなたも、難病なんですか?」
雫「い、いえ...違います。」
車椅子の少女「...そうですか。」
雫「...あ、でも、良かったら話し相手くらいにはなれるかも?」
車椅子の少女「ほ、ほんとう?...ありがとう。でも...よく私の気持ちがわかったわね...顔にでてたかな?」
雫「え?あ...そうね、なんとなく、昔からカンが鋭いねっていわれるの...。」
車椅子の少女「そうなんだ...私と同い年くらいの子ってそうそう居ないから...もし暇なら来てね。」
雫「うん、わかった...あの...。」
車椅子の少女「あぁ...名前ね?誰かわからないんじゃ来れないもんね?私はみう。五十嵐未有。」
雫「みう?」
未有「そう、未曾有(みぞう)って言葉知ってる?その真ん中が抜けた未有。あなたは?」
雫「そうなんだ。わたしは...しずく、天之雫。」
未有「しずくちゃん...かわいい名前ね。」
雫「そ、そう?」
2人が照れながら自己紹介をしていると、一般病棟の方からバタバタと女の人が走ってきた
「未有!こんなところにいたの?いま、おばあちゃん着いたのよ」
その女の人は未有しか見えないと言った感じで話し出した。
未有「...会いたくない。」
女の人「そんな...わがまま言わないで、おばあちゃんだって遠くからわざわざ見えてるのよ?」
未有「...来てくれとは言ってない。」
女の人「未有!」
未有「いいからほっといてよ。」
女の人「未有...お願い、お母さんの顔を立てると思って。」
未有「......。」
未有のお母さん「...ほんの少しの間でいいから。」
未有「...どのくらい?」
未有のお母さん「5分」
未有「長い」
未有のお母さん「3分」
未有「...わかった3分ね...カラータイマーは3分。」
五十嵐未有は渋々という形で承諾した。
未有のお母さん「未有ごめんね、皆さんすみませんお騒がせして、さぁ、行きましょ。」
未有のお母さんは気が変わらない様にしたいのか、車椅子の後ろを持って急がせた(電動なのでほとんど意味はない)
未有と未有のお母さんは一般病棟の方へ今来た道を戻って行った。
去り際に雫の方をみて
未有「じゃ...後でね。来なかったらこっちから行くかもよ?」
そう言って微笑んだ。
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