CHANGE syndrome

ハイブリッジ万生

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ジャックと未有の気

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一般病棟から特別病棟へ繋がる長い廊下を車椅子に乗って移動している1人の少女がいた。

両親と別れて1人で病棟に帰る途中の五十嵐未有である。

会話は少し前に遡る...

未知子「本当に大丈夫なの?」

未有「本当の本当に大丈夫だから!発作は一回来たらしばらく来ないから、たまにはお父さんと食事でも行ってきたら?せっかく早く仕事が終わったんだし...ね?お父さん?」

順次「ん?...あー、そーね...うん、そうかもね…うん」

未知子「なに、その生返事?別にいいのよ無理しなくても!...そんな事より未有をひとりでほっとけないわ、外出許可とりましょう!」

未有「それは、嬉しいけど多分おりないと思う...それに、ひとりじゃないし!」

そういうと、未有は半透明の玉の様に具現化したジャックの方を見た。

ジャック(お?...おう、まかしとき!いつまで居られるかわからへんけど、居られるまでは居るから飯でもどこでもいっときーな)

未知子は本当に大丈夫?という目線を未有に送ると、その横にフワフワと浮いているジャックに話しかけた。

未知子「ジャックさん、未有をよろしくお願いしますね」

そういうと未知子はペコリと頭をさげた。
あわてて順次も頭を下げた。

ジャック(かまへんかまへん、どうせ暇やし…あんたらも、どうするのかわからんけど、寿命縮める覚悟があるんやったら、楽しいことしといたほうがええで)

ジャックは未有に睨まれたがそれには気が付かないフリをして続けた。

(まぁ、このお嬢ちゃんの事はまかしとき、なにせ高次元思念体やさかいなぁ)

未知子「そうですね、お願いします、じゃあ未有!なにかあったらすぐに呼ぶ事!了解?」

未有「わかったから、了解了解!」

そういって未有は敬礼した。

2人が部屋を出ていくと未有はジャックに言った。

未有「あの...わかってるとおもうけど…2人の寿命と引き換えにっていうのはないから...」

ジャック(わかってるて)

ジャックはそれだけ言うとしばらく未有の頭の上をくるくると回ってから呟いた...

ジャック(...でも...どうするつもりや?このまま苦痛に耐え続けるつもりもないみたいやけど...)

未有「ジャック...質問があるの」









ジャック(なんや...あらたまって...金ならあらへんぞ)

未有「そんなこと言うわけないじゃない!バカなの?」

ジャック(じょ、冗談やがな!場を和まそうとする冗談やがな!察しが悪いわぁ...で?なんなん?)

未有「苦痛を人に代わってもらえるって言ったけど、それは別に肉親でなくても大丈夫なのよね?」

ジャック(まぁな、あの医者が代われるくらいやからなぁ)

未有「じゃあ、仮にもっと大勢の人に代わってもらえる事ができたら寿命とかどうなるの?」

ジャック(そりゃあ…多ければ多いほど、縮む寿命は短くてすむけども...ある程度以上の関わりがないと厳しいで、最低でもあの医者くらいは、あんたの事知ってないと、苦痛の受け渡しはでけんなぁ)

未有「そうなんだ…」

未有はがっくりと肩を落とした。

ジャックは言おうかどうか迷ったが結局言うことにした。

ジャック(いや、そんなに繋がりがなくても受け渡しできる場合もあるで)

未有「本当に?」

ジャック(せや、例えばもともと、幽体離脱するような体質の人とかやな…)

未有「そんな体質の人なんて...」

ジャック(まぁ、普通はそうそうおらへんやろなぁ...)

未有「あの...例えばだけど...例のチェンジシンドロームとかで1回入れ替わった人達とかは?」

ジャック(あ...やっぱり気がついた?せやな、一回でも入れ替わった人達なら、苦痛の受け渡しも可能っちゃあ可能や)

未有「だったら!今がまさにチャンスなんじゃない?不特定多数の幽体離脱体質の人達が1箇所に集められているんだから!」

ジャック(ま、まぁまぁ待ちぃな...理屈はそうなんやけどな)

未有「やけど...なによ?」

ジャック(せやけど、要はその人たちも赤の他人なわけやろ?かなり苦しむと思うで...受け渡すときに)

未有「それは...説得するわ!」

ジャック(説得?できるんかいな)

未有「できるかどうかじゃないわ...やるの!」

ジャック(まぁ、せやな、やってみない事にはなんとも言えんなぁ)

未有「だって、私みたいな可愛い女の子が苦しんでたら、同情しないほうがおかしいでしょ?」

ジャック(それ自分で言う?)







そんな会話をしながら未有とジャックは一般病棟から特別病棟へと移動していた。
しかし、傍目には1人の車椅子の女の子が独り言を言っているようにしか見えなかった。

すると、廊下の先の方からたくさんの人の話し声が聞こえてきた。

百樹「なるほど、そこまではなんとかわかりました…しかし...」

統(言いたいことはわかります…つまり、その前にずっと一緒に居たのではないか?って事ですね?)

優「たしかに、言われてみればそうですね?」

統(つまり、それまでは大丈夫だったという事は何らかの変化を我々にあたえるような事を例の女の人がしたという事ではないかと思ってます)

百樹「なるほど...その何らかのと言うものの見当は、ついてないんだね?」

統(残念ながら...)

優「とりあえず、状況はつかめたので...もどりませんか?博士」

百樹「そうだな…早く帰らないと、また暴動が起きかねない、いくとしようか...おっと、その前に」

百樹は統に向き直ると

「統くん...いやそれに護くん、そして鏡さん、雫ちゃん...是非協力してほしい」

そういって頭をさげた。

雫「よ、よして下さい!協力しますから!」

場に和やかな空気が生まれた...ひとりを除いて...
凶(おい!だから俺にも聞けよ!)


ジャック(なんか、けったいな事になってるな...とくに、あの子!不思議やわ...不思議少女やわ!)

未有「え?どういうこと?」

ジャック(あの女の子、中に5人おるで、賑やかやなぁ)

未有「中に?5人?多重人格とか?」

ジャック(いや、そうやなさそうやな…もともと5人おるみたいやな…いや、もともとは6人か...)

未有「なにそれ...羨ましい」

ジャック(え?羨ましい?)

未有「だってどんな時でもひとりじゃないんでしょ?羨ましい」

ジャック(さよか?俺にはようわからんわ...それにしても、どうする?みんなのところに戻るみたいやけど?)

未有「ついていくわ」

ジャック(え?尾行するんかいな?)

未有「人聞きが悪いわね...たまたま、同じ道を帰って行くだけよ」

ジャック(はぁ...左様ですか?まぁ、なんでもええけど)

2人は静かにみんなの後をつけた。












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