CHANGE syndrome

臨界点

白くて大きな病室の中ではザワザワとした不穏な空気が流れていた。

石川「いつまで待たせるんかね？あの先生方は？」

山崎「...たぶん、もう少しで帰ってくるんじゃないですかね？」

石川「ん？なんでそんな事がいいきれる？」

山崎「いえ...なんとなくで...すみません。」

観月「別にいいんじゃない、この状況で、待つしか選択肢がないんだから。」

山崎「ですよねぇ？」

山村「でも少し心配ではあります。」

山崎「流石に娘さん心配ですよね。」

山村「あの子おっちょこちょいだから足をひっぱってないかしら…。」

山崎「あ、そっちの心配ですか？大丈夫ですよ…たぶん。」

観月「バカね、安否の心配に決まってるじゃない。」

山崎「え...そうなんですか？」

石川「はぁ...デリカシーのないポリスメンだな。」

山崎「な、なんですかそれ？石川さんに言われるのはちょっと...心外ですね。」

石川「なんだよそれ？差別だ差別！差別ポリスメン！」

山崎「そのポリスメンっていうのやめません？全然しっくりこない。」

石川「あーめんどくせー逃げちゃおっかなー」

山崎「それはないでしょ」

石川「できないとおもうか？」

観月「やれるもんならやってみなさいよ。」

観月がものすごい目で睨んだ。

山村「ま、まぁまぁ皆さん！落ち着きましょう！なにか飲み物でも持ってきますね？」

石川「...あ、じゃあ珈琲でたのむ。」

山崎「あ、すみません山村さん気を使わせてしまって...僕はココアで。」

観月「あんたら、図々しいわね…じゃあついでで良いので私もお水を貰えるかしら...出来れば冷たくも熱くもないもの。」

石川「あんたの注文が一番ややこしいじゃねーか？」

山村「はいはい、皆さんのご注文聞きましたよ、少々お待ちくださいね。」

そういうと、山村ゆり子はいそいそと飲み物を配っている係の所に向かった。

しかし、部屋全体には待たされている人々の不満の声の様なものが悪い空気の様に蔓延しつつあった。

警備責任者の海野は人々の不満が臨界点に達するのを恐れながら博士らの帰りを待っていた。