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風と共に来たりぬ
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突然扉がひらいて突風が吹いた。
そう感じて全員が扉の方を向いたが実際には風は吹いておらず、静かにそこに少女がたたんずんで居るだけであった。
五十嵐未有が車椅子に乗ってこちらを見ていた、静けさの中に強い意志を秘めた双眸は前髪に隠されていたが、その精神波は隠される術もなく全員が突風が吹いたと勘違いするほどであった。
雫「あ...。」
雫はその横で付かず離れずの不思議な思念体に気がついて、思わず声をあげてしまった。
未有「...ども。」
未有は雫を見て何か言いかけたがやめた。ここで、変に雫と仲良くなる訳にはいかない...なぜなら、もしかしたら、相手を傷つけてしまうかもしれないのだ...友達になる事はできない。
とりあえず、この〔作業〕が終わるまでは...。
未有「あの...突然なんですけど...お願いしたいことがあるんです。」
山崎「はい、なんでしょう?」
山崎のおっとりとした問いかけで緊張していた場の雰囲気が一瞬和らいだきがした。
この男は良きにつけ悪しきにつけ、空気を読まないところがある...もちろん悪気はないのだが。
未有「あの、簡単に言うと...私の痛みをあなた方に引き受けて欲しいの。」
山崎「えっ?」
石川「はぁ?」
観月「へ?」
みすず「なんと...」
ゆり子「まぁ...」
弥生「おぉ!」
優「おぉ!は可笑しいだろ。」
百樹「えぇーと、もっと詳しく説明してもらわないと...。」
未有は頷くと、いままであったことをかいつまんで話した。
しばらくして、部屋の中は騒然とした喧騒につつまれていった。
ジャックは言った。
(せやから、まんま言うのは賛成できんてゆうたろ?)
話は10分前に遡る...百樹の一行の後をバレないように付けてきた未有とジャックはどう話を切り出すかを話し合っていた。
ジャック(ほんまに、そのまんま言うつもりなん?)
未有「そりゃそうよ、下手に嘘をついても結局ばれるじゃない?」
ジャック(ま、まぁ、せやな、後でやいのやいの言われるか、今言われるかの違いかもしれんけど)
ジャックは良く探偵役の役者がやるように左手を顎の下にあてて、更にその左手の肘を右手で支えるような格好をすると未有の目の高さに浮いたまま、ゆっくりと水平に回転していた。
未有「あの、ジャック?」
ジャック(ん?なんやねん?今考え中やで?)
未有「そう、それはありがたいんだけど、身体が見えてきてるんだけど」
ジャック(え?ほんまに?)
ジャックはゆっくりした回転を止めて未有の方にピタッっと顔をむけた。
未有「う...うん、ちょっと前から見えるなぁ、とは思ってたんだけど」
ジャック(さよか、でも大丈夫や相変わらず他の人間には見えてないはずやで)
未有「え?そうなの?」
ジャック(あたりまえやん!高次元思念体がそうそう簡単に見えてたまるかいなぁ)
未有「でも、そうとうはっきり見えてるよ、その...まんまるいボディが」
ジャック(まんまるいて、もっと違う表現あるやろ?プリティ...とか?)
未有「他の表現?カブの頭に狐が乗ったみたいね」
ジャック(なんじゃそりゃ!)
未有「いや、回ってる時なんとなくおもった」
ジャック(カブ、せめて動物で例えてほしかったわ)
未有「ごめん...でも、見えても大丈夫なのね?」
ジャック(まぁ、見えたからどうって事はないで、相変わらず他の大多数には見えてない筈やからな...でも、あの雫って子には見えるかもしれんけど...)
未有「え?なんで?」
ジャック(理由は...ハッキリとは言えへんけど...同じ匂いがする)
未有「なによそれ...勘?」
ジャック(勘か...まぁ、そういうことにしとくは、もっと高次元の方の勘やけどな)
未有「なんなのよ高次元の勘て」
ジャック(まぁ、ええやん、とりあえずあの子は警戒が必要やで)
未有「わかった、他に名案がないなら行くわよ」
ジャック(え?もう?)
未有「もうって...遅いくらいよ」
そういうと未有は扉を開けた。
十分前の回想を終えたジャックはやはりこういう感じになったか、と思いながら事の成り行きを眺めていた。
話の中心は強硬に反対する石川という男と、とりあえず話を聞こうという人たちに分かれている様子だった。
石川「とりあえず俺はパス」
山崎「パスとかできるんですか?」
石川「出来ても出来なくてもパス!」
観月「なにそれ、あんた、それでも大人なの?」
石川「大人でも大人じゃなくてもパス!」
優「いや、そもそも、そんな事可能なんですか?」
百樹「いや、もちろん信じ難い...が、もう既に我々は信じ難い事を何度も経験している。」
優「たしかに...しかし、痛みだけを分けるなんて...。」
弥生「面白そうですよね?」
優「とりあえず黙ってくれるか?」
弥生「なんで?」
優「話がややこしくなるからだ。」
百樹「まぁまぁ、とりあえず、どういう仕組みなのかわからないが危険はないのかね?」
未有「危険は...ないとおもうんですが?」
百樹「ん?ないとおもう?曖昧だね...。」
未有「それよりも寿命がちょっと...。」
観月「え?寿命が?まさか縮むの?」
石川「ほらみろ!却下却下!そんなの飲めるわけないだろ?」
未有「あと、あなたの様に、非協力的だと...。」
石川「非協力的だとなんだって言うんだ?」
未有「苦しさが何倍にも膨れ上がりますよ?」
石川「なんだよ!脅しか?脅してるのか?非協力的もなにも、協力しないって言ってるんだよこっちは!」
未有「それはちょっと。」
石川「それはなんだよ?」
未有「公平さに欠けるというか...。」
石川「なんだよそれ、誰目線だよ!あんた神かなにかか?」
未有「神ではないけど。」
ジャック(神もどきやで)
未有「神もどき...。」
石川「な、なんだよそれ。」
みすず「もしかして、その横にいる狸がそうなの?」
ゆり子「狸?ちがうわよ、狐でしょ?」
みすず「狐がこんなにまんまるいわけないじゃない!狸よ!」
ゆり子「でも顔が尖ってるじゃない?」
百樹「ゆり子さんとみすずさんは何かしら見えてるんですか?」
雫「神もどき」
優「へ?かみもどき?」
雫「鏡(つまり高次元思念体の事ね)」
弥生「なるほど」
優「なるほどって...なんなんだ高次元思念体って?」
弥生「それは...これから解明されるわ」
優「......それはありがたいね。」
優は静かに腕を組みながら一瞬でも妹に期待した自分を恥じた。
そう感じて全員が扉の方を向いたが実際には風は吹いておらず、静かにそこに少女がたたんずんで居るだけであった。
五十嵐未有が車椅子に乗ってこちらを見ていた、静けさの中に強い意志を秘めた双眸は前髪に隠されていたが、その精神波は隠される術もなく全員が突風が吹いたと勘違いするほどであった。
雫「あ...。」
雫はその横で付かず離れずの不思議な思念体に気がついて、思わず声をあげてしまった。
未有「...ども。」
未有は雫を見て何か言いかけたがやめた。ここで、変に雫と仲良くなる訳にはいかない...なぜなら、もしかしたら、相手を傷つけてしまうかもしれないのだ...友達になる事はできない。
とりあえず、この〔作業〕が終わるまでは...。
未有「あの...突然なんですけど...お願いしたいことがあるんです。」
山崎「はい、なんでしょう?」
山崎のおっとりとした問いかけで緊張していた場の雰囲気が一瞬和らいだきがした。
この男は良きにつけ悪しきにつけ、空気を読まないところがある...もちろん悪気はないのだが。
未有「あの、簡単に言うと...私の痛みをあなた方に引き受けて欲しいの。」
山崎「えっ?」
石川「はぁ?」
観月「へ?」
みすず「なんと...」
ゆり子「まぁ...」
弥生「おぉ!」
優「おぉ!は可笑しいだろ。」
百樹「えぇーと、もっと詳しく説明してもらわないと...。」
未有は頷くと、いままであったことをかいつまんで話した。
しばらくして、部屋の中は騒然とした喧騒につつまれていった。
ジャックは言った。
(せやから、まんま言うのは賛成できんてゆうたろ?)
話は10分前に遡る...百樹の一行の後をバレないように付けてきた未有とジャックはどう話を切り出すかを話し合っていた。
ジャック(ほんまに、そのまんま言うつもりなん?)
未有「そりゃそうよ、下手に嘘をついても結局ばれるじゃない?」
ジャック(ま、まぁ、せやな、後でやいのやいの言われるか、今言われるかの違いかもしれんけど)
ジャックは良く探偵役の役者がやるように左手を顎の下にあてて、更にその左手の肘を右手で支えるような格好をすると未有の目の高さに浮いたまま、ゆっくりと水平に回転していた。
未有「あの、ジャック?」
ジャック(ん?なんやねん?今考え中やで?)
未有「そう、それはありがたいんだけど、身体が見えてきてるんだけど」
ジャック(え?ほんまに?)
ジャックはゆっくりした回転を止めて未有の方にピタッっと顔をむけた。
未有「う...うん、ちょっと前から見えるなぁ、とは思ってたんだけど」
ジャック(さよか、でも大丈夫や相変わらず他の人間には見えてないはずやで)
未有「え?そうなの?」
ジャック(あたりまえやん!高次元思念体がそうそう簡単に見えてたまるかいなぁ)
未有「でも、そうとうはっきり見えてるよ、その...まんまるいボディが」
ジャック(まんまるいて、もっと違う表現あるやろ?プリティ...とか?)
未有「他の表現?カブの頭に狐が乗ったみたいね」
ジャック(なんじゃそりゃ!)
未有「いや、回ってる時なんとなくおもった」
ジャック(カブ、せめて動物で例えてほしかったわ)
未有「ごめん...でも、見えても大丈夫なのね?」
ジャック(まぁ、見えたからどうって事はないで、相変わらず他の大多数には見えてない筈やからな...でも、あの雫って子には見えるかもしれんけど...)
未有「え?なんで?」
ジャック(理由は...ハッキリとは言えへんけど...同じ匂いがする)
未有「なによそれ...勘?」
ジャック(勘か...まぁ、そういうことにしとくは、もっと高次元の方の勘やけどな)
未有「なんなのよ高次元の勘て」
ジャック(まぁ、ええやん、とりあえずあの子は警戒が必要やで)
未有「わかった、他に名案がないなら行くわよ」
ジャック(え?もう?)
未有「もうって...遅いくらいよ」
そういうと未有は扉を開けた。
十分前の回想を終えたジャックはやはりこういう感じになったか、と思いながら事の成り行きを眺めていた。
話の中心は強硬に反対する石川という男と、とりあえず話を聞こうという人たちに分かれている様子だった。
石川「とりあえず俺はパス」
山崎「パスとかできるんですか?」
石川「出来ても出来なくてもパス!」
観月「なにそれ、あんた、それでも大人なの?」
石川「大人でも大人じゃなくてもパス!」
優「いや、そもそも、そんな事可能なんですか?」
百樹「いや、もちろん信じ難い...が、もう既に我々は信じ難い事を何度も経験している。」
優「たしかに...しかし、痛みだけを分けるなんて...。」
弥生「面白そうですよね?」
優「とりあえず黙ってくれるか?」
弥生「なんで?」
優「話がややこしくなるからだ。」
百樹「まぁまぁ、とりあえず、どういう仕組みなのかわからないが危険はないのかね?」
未有「危険は...ないとおもうんですが?」
百樹「ん?ないとおもう?曖昧だね...。」
未有「それよりも寿命がちょっと...。」
観月「え?寿命が?まさか縮むの?」
石川「ほらみろ!却下却下!そんなの飲めるわけないだろ?」
未有「あと、あなたの様に、非協力的だと...。」
石川「非協力的だとなんだって言うんだ?」
未有「苦しさが何倍にも膨れ上がりますよ?」
石川「なんだよ!脅しか?脅してるのか?非協力的もなにも、協力しないって言ってるんだよこっちは!」
未有「それはちょっと。」
石川「それはなんだよ?」
未有「公平さに欠けるというか...。」
石川「なんだよそれ、誰目線だよ!あんた神かなにかか?」
未有「神ではないけど。」
ジャック(神もどきやで)
未有「神もどき...。」
石川「な、なんだよそれ。」
みすず「もしかして、その横にいる狸がそうなの?」
ゆり子「狸?ちがうわよ、狐でしょ?」
みすず「狐がこんなにまんまるいわけないじゃない!狸よ!」
ゆり子「でも顔が尖ってるじゃない?」
百樹「ゆり子さんとみすずさんは何かしら見えてるんですか?」
雫「神もどき」
優「へ?かみもどき?」
雫「鏡(つまり高次元思念体の事ね)」
弥生「なるほど」
優「なるほどって...なんなんだ高次元思念体って?」
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