君と二人の自分

ともとも

文字の大きさ
1 / 28

プロローグ

しおりを挟む
リビングの中でテレビの音が鳴り響く。
「日本には潜在的に多重人格に陥る人が100万人を超える人々がなっていると言われている・・・・」
ドキュメンタリーのような曲が始まり、多重人格の説明をしている。

このニュースに少し興味が湧いてしばらく見ていた。
なぜなら僕は高校生の時、多重人格という精神病にかかってしまったからだ。

しばらくニュースを見ていたが、数十分くらいで終わりテレビを消した。

ソファに深く座って休憩する。そうしようと思ったけど横から邪魔が入ってできなかった。

僕の子どもの真希がソファに飛び込んできた。身長100cmくらいでまだまだ小さい。
「ううぅぅぅ、わあぁぁぁ!」
「ぐはぁ!」
飛び込んできた足がソファではなく、僕の太ももの上に着地した。
思わず痛みで声を出してしまった。いくら小さくても太ももの上に飛び乗られるのは痛い。もし場所が悪かったら最悪の場合、打撲しそうだ。

「キャハハハハ」
大きな声で笑って、僕を遊び相手にできて嬉しそうだった。

しばらく僕の膝の上に座っていた。ちょっとその姿が可愛くて僕は真希の頭を撫でてやる。目を瞑って気持ち良さそうにしていた。

しばらくするとソファから立ち、家のリビングを走り回る。その時に僕がプレゼントした可愛い人形を必ず持っている。

「わあぁぁぁ!」
最近はこの人形と一緒に家を走り回って探検している。走りながら人形を見ているため、机や椅子、壁に当たることもある。でも大声で泣くとすぐにいつものように戻り、また走り回る。

将来、足が早くなりそうだ。

そんなことを考えていると、ドン! と音がした。
今日は本棚にぶつかった。

「うえぇぇぇん!」
サイレンのような大きな声が響く。

「あぁぁ、また当たっちゃって。よしよし、いい子いい子」
すこし落ち着かせるために真希の背中を摩ってあげる。

「痛いの痛いの飛んで行け!」
子どもが怪我をした時にいつも使う有名な言葉を言う。
「ぐすん・・・   痛、いよ・・・・」
「よしよし、大丈夫大丈夫」
しばらく涙目になっていたがすぐに泣き止んだ。

その時、ドサッ! と音を立てて本が棚から落ちてきた。

「卒業文集・・・・?」
「わっ、びっくり。パパ、これ何?」
落ちてきた本は高校の時の卒業文集だった。

「ん? 真希はこれが気になるのか?」
「うん!」
目を輝かしながらこちらを向く。
「これはなあ、パパの高校時代の思い出が詰まった本なんだよ」
「へぇーー。読んでみたい!」
「ハッハハハハ、そうか。読んでみたいか」

子どもがこういうのに興味を持つとは思わず、つい嬉しくなる。

1ページ目を開くとまず、全校生徒が中庭で撮った写真がいっぱいに広がっていた。

「わぁ! パパ、パパ。たくさん人がいる。みんな黒い服着ている」
「そうだな。制服っていうのを着るからな。真希もいつか着ることになるよ。ここ以外にもたくさんの写真があるよ。ほら見てみろ!」

次のページ、その次のページとめくっていった。
体育祭、文化祭、そして先生達の紹介。最後のページには各クラスごとの生徒の写真が載っていた。

「ねぇねぇ。パパはどこにいるの?」
「フフフ、どれかな? せっかくだし、パパを探してみよう!」
「探す!」
クラスの生徒がずらっと並んでいる写真を見て必死に探していた。
その姿がまた可愛い。
子どもって天使だよね!

「あっ、これだ!」
「おお正解! よくできました」
一発で当たるとは思わず自然に拍手していた。
褒められて真希も頭をかいて照れている。

ふと自分のクラスの人達を見ているとある少女が目に入った。

朝空雪菜

懐かしいな・・・・・・
君と出会えたあの夢のような日のことを思い出す。

あの頃はたくさんのことがあったな。

「ねぇねぇ・・・」
「ねぇねぇねぇ!」
妄想の中に浸っていると体を揺らしながら、僕を呼んでいた。

「あっ、ああ。ごめんごめん。どうしたの?」
「パパってどんな高校生だったの?」
いきなりの質問に目を丸くして戸惑った。
「どんな高校生かぁ・・・・   聞きたいか?」
「うん! パパの昔話が聞きたい」
「そうかそうか」
娘が僕のことを知りたがっているなんて親として泣けてくる。

真希は姿勢良く座り、天使のような笑顔をこちらに向けている。
「分かった、じゃあ始めるよ」
「うん!」
「昔々、パパはごく普通の生徒だったんだ。でもある時、なぜか知らないけど僕の中に、もう一人の人間ができたんだよ! って言っている意味わからないか・・・・」
さすがにこんな小さい子に二重人格のことはわからないな。
証拠として真希は首を傾げている。

「もっと簡単に話すよ。ごめんごめん。そうだな・・・・    」

しばらく考えて話をまとめた。

「これは高校生の時に出会ったとても大切な人、そしてある少女のお話・・・」










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...