4 / 28
義人
しおりを挟む
病院に行ってからストレスを発散することを心がけた。
でも・・・・・全然良くならない。
ていうか逆に前よりも多くなった気がする。
今までは一週間に一回で放課後になっていたのに最近は二回くらいになり、たまに学校生活の中で現れることもある。
本当こいつさえいなければ楽しい高校生活を送れるのに。
そこで次の作戦に出た。病院の先生はノートを使っている人もいるって言っていた。だから、ノートを用意して僕の中にいるもう一人のことを知ろうとした。
知ることによって何か治るための手がかりがあるかもしれない!
とにかく、書こう。
そう思いペンをとった。
「・・・・・って何を書いたらいいの?」
ノートに手紙のようなものを書こうとしたがどんなふうに書いたらいいかわからず迷う。
暑中見舞いのように丁寧な文で始めたらいいかな・・・・ それとも、よう! みたいに軽く書く方がいっかな・・・
なんか上から目線だなこれは。
うーん、僕のもう一人は聞いた話によるとヤンキーみたいなやつだからな・・・
考えた末、めちゃくちゃ簡単にかいた。
「自己紹介をしてください!」
まず知ることが大事。
だからこれだけ書いてノートを閉じた。目立つようにノートの表紙に大きく「自分ノート」って書いたから見てくれるだろう。
そして次の入れ替わりを楽しみに待っていた。
次の日、僕は意識を失ってあいつが人格を持った。
そして、目覚めた時にはノートが開けてあった。たぶん何か書いてある。
今まではずっと性格が正反対で最悪っていうイメージだけだったけど、こうやって手紙をするとなんか友達みたいでワクワクした。
手紙には僕とは違う筆圧でこう書かれていた。
「俺の名は義人だ。年齢は内緒だ。内緒!」
うっ、なぜ二回書いた。なんか女子みたいでキモい・・・
ああ、続きを読まなくちゃ。
「まあ義人と呼んでくれ。知ってるかもしれねえが俺はお前とは性格が正反対だ。あと俺はヤンキー。これから大変かもしれねえがよろしくな!」
文字の汚さと言い、言葉遣いなどこの手紙を読んだだけでもうヤンキーってイメージがある。
それでもなんか嬉しかった。でもこれから義人と一緒に生きていかなくちゃいけないのは大変だな・・・・
それからも人格が変わるのに変化はなかった。
何回も入れ変わったことで分かったことがある。
長時間、義人と交代すると僕の意識はなくなってしまう。でもちょっとだけ変わる時は義人がどう思っていたかなどわかるようになった。あと興味のあるものを見ると意識は戻る。僕はパンが好きだからパンの看板や匂いを嗅いだら祐介に戻る。
この頃から僕は協力して今をなんとか生きると決めた。
そのためにも僕は義人の行動で嫌なこと、して欲しくないことをルールにした。あと、どんな一日を過ごしたか日記にしてほしいということも頼んだ。
一つ
僕の友達である二人を大切にする。特に優はすこし静かな性格だからあまり積極的にならない。
二つ
おばあちゃんに心配かけないように過ごす。
始めのルールはこれくらいだった。それでもだんだん不満が出てきてルールが増えてくる。
「それにしても、あの男わぁぁぁぁ!!」
限界が来たときにはいつもこう叫んでいる。ヤンキーっと言っているだけあり問題ばかり起こす。
義人はそのルールなど無視して、本当に好き勝手だ。
ある日には喧嘩をし、ある日には弱そうな子を脅してお金を取ろうとした時もあった。
喧嘩の後は怪我をしていたせいで何もしていない僕にまで痛みがあるし、お金を取ろうとしていた時はもらう直前に意識が戻ったからよかったけどもうちょっとで犯罪を犯すところだった。
「喧嘩を絶対にやらないこと。喧嘩されると僕まで痛いんだよ。それにもし学校に知られたらどうなるか。
弱いものを脅してお金を取らないこと。
あといじめも絶対ダメだから。
本当にわかってる?
言っていることは絶対禁止だから」
「すまんすまん! お前まで痛い思いをさして悪かった。でもあいつらから俺に舐めた口聞いてきたんだぞ。そんなやつら野放しにするなんて男としてどうかと思うぞ。
あとお金を取るのは本当に反省してる。もうしないと誓おう。
でも喧嘩は別だ。あれはあいつらが悪い」
「話し合い! せめて口喧嘩にしてよ。あんたなら絶対勝てるでしょ」
「無理だ。俺は馬鹿だからあいつらと口で喧嘩したら絶対負ける。それに拳で語らなきゃ男じゃないだろ!」
ああぁぁぁぁ!? 嫌だ! 話が通じにない。
不満が溜まり、始めと比べるとだんだん喧嘩腰の文章になっている。
よく「喧嘩するほど仲がいい」ということわざがあるけど僕は完全否定したい。
さまざまな出来事の中で僕が特に言いたい話がある。それは一度喧嘩に巻き込まれた時だ。
義人があおられて喧嘩になったらしい。路地裏に連れて行かれて三対一だ。
たぶん義人なら簡単に勝てていたのだろう。
でもその時はタイミングが悪く、たまたまパンの匂いがして意識が祐介に戻ってしまった。
結果、僕は三人のヤンキーにボコボコにされ顔からは青たんに鼻血、お腹も殴られて呼吸もやりにくかった。
さすがにこの日は相当イラついた。
そしてノートに呪文のようにぎっしりと義人に向かって「死ね死ね死ね死ね死ね死ね」と書いたことを覚えている。
次の手紙には筋トレやったどうだ、と提案された。
すこし義人の言いなりになるのは嫌だったけど、やって損はないと思い、この日から毎日やるようになった。
こんな僕にとっては最悪な出来事だけどなぜかいつもの平凡な日々より僕は生き生きしていた。
最近、学校生活の中でも義人は現れるようになった。
何か興味のあるものでもあるのかな・・・・
今日は朝のSHRで先生が話している時に気に入らない部分があったせいで現れてしまった。
「皆さん、たくさん勉強していい大学に入学しましょう。ゲームやカラオケなどで遊んでいると将来痛い目を見ることになりますよ。それに比べていい大学に行けば将来も安定した生活ができる。こんな幸せなことはありません」
「はぁぁああ、始まったよ。担任のいい大学に入学しましょう」
「ずっと言ってるよな」
裏でこそこそと明るい男子たちが話している。そしてみんなつまんなそうに話を聞いている。
ガタン!
その音にみんなの視線が俺に集まる。
「ああ、つまんねー」
俺は足を机の上に乗せて両手を頭の後ろに回し、行儀の悪い姿勢になった。
「おい、なんだ。先生に向かってそんな態度をして・・・・」
いつも大人しい祐介がこんな格好をしたこと、先生に反論したことでみんな驚いていた。
ざわざわと周りがうるせえな。
「はーい、先生質問でーす。どうしていい大学に行かないといけないんですか?」
いきなりの質問で戸惑っていたがすぐに答えた。
「祐介、それはなぁ。いい会社に就職して給料をたくさんもらうためだぞ」
「はぁ、なんかそれつまんない人生で・・・
って僕は何をやっていたんだ?」
急に意識が戻った。気づくと足を机の上に置き、みんなの視線が僕に集まる。
そして義人がやっていたことが頭の中に入ってくる・・・・・
僕はすぐに足を下ろして机の上に肘をついて頭を抱えた。
タイミング!! 最悪だよ。せめて最後までけりをつけてから戻れよ。
とても恥ずかしい黒歴史を作ってしまった。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。人として死ぬくらい恥ずかしかった。
「・・・・あの、とりあえずすいません生意気なことを言って・・・・」
そのまま先生に謝り、この重い空気の中SHRは終わった。
あとで説教の手紙を書くことを心に決めた。
放課後
「ハッハハハ、お前珍しいことするもんだな。でもなんかスカってしたぞ祐介の言葉。あの先生ずっといい大学に入学しようしか言わないからなんか嫌だったんだよな!」
「ああ、もうその話やめて・・・・」
思い出すだけでも最悪だ。
穴があったら入りたい。
「いや、祐介はすごいよ。あんなこと人前でできるなんて。僕なら死んでる」
「いや、もう僕心の中では死んでるから・・・・」
「ハッハハ、そうかそうか。今日は気分転換に何か祐介の好きな物食べに行かないか?
部活もないし、優も今日はフリーだろ」
「うん、何も用事ないし行こうよ」
「二人ともなんかありがとう」
僕の心を慰めるために提案してくれた気がした。
「じゃあ、パンを食べたい!」
「おう、そうか」
二人は僕の案に賛成してついてきてくれた。しかしあいつが現れた。
「いや、やっぱり肉だな。タンパク質で美味いからな!」
「いやパン!」
「肉だろ肉!」
「祐介、何一人でやってんだ・・・・・」
うう、またこいつのせいで恥ずかしい思いをした。
確かに二人から見たら一人で言い争ってるようにしか見えないもんな。
結局、パン屋へ行くことになった。
今日の朝のことを言うと、すんなりと義人は譲ってくれた。喧嘩は強いけど口喧嘩は弱いんだな!
いつも抑えるのが大変な義人の弱みを知れて悪い顔をしてしまう。この弱み、使える!
始め二重人格なんて最悪で高校生活の心配をしていたけど、楽しくなってきた!
でも・・・・・全然良くならない。
ていうか逆に前よりも多くなった気がする。
今までは一週間に一回で放課後になっていたのに最近は二回くらいになり、たまに学校生活の中で現れることもある。
本当こいつさえいなければ楽しい高校生活を送れるのに。
そこで次の作戦に出た。病院の先生はノートを使っている人もいるって言っていた。だから、ノートを用意して僕の中にいるもう一人のことを知ろうとした。
知ることによって何か治るための手がかりがあるかもしれない!
とにかく、書こう。
そう思いペンをとった。
「・・・・・って何を書いたらいいの?」
ノートに手紙のようなものを書こうとしたがどんなふうに書いたらいいかわからず迷う。
暑中見舞いのように丁寧な文で始めたらいいかな・・・・ それとも、よう! みたいに軽く書く方がいっかな・・・
なんか上から目線だなこれは。
うーん、僕のもう一人は聞いた話によるとヤンキーみたいなやつだからな・・・
考えた末、めちゃくちゃ簡単にかいた。
「自己紹介をしてください!」
まず知ることが大事。
だからこれだけ書いてノートを閉じた。目立つようにノートの表紙に大きく「自分ノート」って書いたから見てくれるだろう。
そして次の入れ替わりを楽しみに待っていた。
次の日、僕は意識を失ってあいつが人格を持った。
そして、目覚めた時にはノートが開けてあった。たぶん何か書いてある。
今まではずっと性格が正反対で最悪っていうイメージだけだったけど、こうやって手紙をするとなんか友達みたいでワクワクした。
手紙には僕とは違う筆圧でこう書かれていた。
「俺の名は義人だ。年齢は内緒だ。内緒!」
うっ、なぜ二回書いた。なんか女子みたいでキモい・・・
ああ、続きを読まなくちゃ。
「まあ義人と呼んでくれ。知ってるかもしれねえが俺はお前とは性格が正反対だ。あと俺はヤンキー。これから大変かもしれねえがよろしくな!」
文字の汚さと言い、言葉遣いなどこの手紙を読んだだけでもうヤンキーってイメージがある。
それでもなんか嬉しかった。でもこれから義人と一緒に生きていかなくちゃいけないのは大変だな・・・・
それからも人格が変わるのに変化はなかった。
何回も入れ変わったことで分かったことがある。
長時間、義人と交代すると僕の意識はなくなってしまう。でもちょっとだけ変わる時は義人がどう思っていたかなどわかるようになった。あと興味のあるものを見ると意識は戻る。僕はパンが好きだからパンの看板や匂いを嗅いだら祐介に戻る。
この頃から僕は協力して今をなんとか生きると決めた。
そのためにも僕は義人の行動で嫌なこと、して欲しくないことをルールにした。あと、どんな一日を過ごしたか日記にしてほしいということも頼んだ。
一つ
僕の友達である二人を大切にする。特に優はすこし静かな性格だからあまり積極的にならない。
二つ
おばあちゃんに心配かけないように過ごす。
始めのルールはこれくらいだった。それでもだんだん不満が出てきてルールが増えてくる。
「それにしても、あの男わぁぁぁぁ!!」
限界が来たときにはいつもこう叫んでいる。ヤンキーっと言っているだけあり問題ばかり起こす。
義人はそのルールなど無視して、本当に好き勝手だ。
ある日には喧嘩をし、ある日には弱そうな子を脅してお金を取ろうとした時もあった。
喧嘩の後は怪我をしていたせいで何もしていない僕にまで痛みがあるし、お金を取ろうとしていた時はもらう直前に意識が戻ったからよかったけどもうちょっとで犯罪を犯すところだった。
「喧嘩を絶対にやらないこと。喧嘩されると僕まで痛いんだよ。それにもし学校に知られたらどうなるか。
弱いものを脅してお金を取らないこと。
あといじめも絶対ダメだから。
本当にわかってる?
言っていることは絶対禁止だから」
「すまんすまん! お前まで痛い思いをさして悪かった。でもあいつらから俺に舐めた口聞いてきたんだぞ。そんなやつら野放しにするなんて男としてどうかと思うぞ。
あとお金を取るのは本当に反省してる。もうしないと誓おう。
でも喧嘩は別だ。あれはあいつらが悪い」
「話し合い! せめて口喧嘩にしてよ。あんたなら絶対勝てるでしょ」
「無理だ。俺は馬鹿だからあいつらと口で喧嘩したら絶対負ける。それに拳で語らなきゃ男じゃないだろ!」
ああぁぁぁぁ!? 嫌だ! 話が通じにない。
不満が溜まり、始めと比べるとだんだん喧嘩腰の文章になっている。
よく「喧嘩するほど仲がいい」ということわざがあるけど僕は完全否定したい。
さまざまな出来事の中で僕が特に言いたい話がある。それは一度喧嘩に巻き込まれた時だ。
義人があおられて喧嘩になったらしい。路地裏に連れて行かれて三対一だ。
たぶん義人なら簡単に勝てていたのだろう。
でもその時はタイミングが悪く、たまたまパンの匂いがして意識が祐介に戻ってしまった。
結果、僕は三人のヤンキーにボコボコにされ顔からは青たんに鼻血、お腹も殴られて呼吸もやりにくかった。
さすがにこの日は相当イラついた。
そしてノートに呪文のようにぎっしりと義人に向かって「死ね死ね死ね死ね死ね死ね」と書いたことを覚えている。
次の手紙には筋トレやったどうだ、と提案された。
すこし義人の言いなりになるのは嫌だったけど、やって損はないと思い、この日から毎日やるようになった。
こんな僕にとっては最悪な出来事だけどなぜかいつもの平凡な日々より僕は生き生きしていた。
最近、学校生活の中でも義人は現れるようになった。
何か興味のあるものでもあるのかな・・・・
今日は朝のSHRで先生が話している時に気に入らない部分があったせいで現れてしまった。
「皆さん、たくさん勉強していい大学に入学しましょう。ゲームやカラオケなどで遊んでいると将来痛い目を見ることになりますよ。それに比べていい大学に行けば将来も安定した生活ができる。こんな幸せなことはありません」
「はぁぁああ、始まったよ。担任のいい大学に入学しましょう」
「ずっと言ってるよな」
裏でこそこそと明るい男子たちが話している。そしてみんなつまんなそうに話を聞いている。
ガタン!
その音にみんなの視線が俺に集まる。
「ああ、つまんねー」
俺は足を机の上に乗せて両手を頭の後ろに回し、行儀の悪い姿勢になった。
「おい、なんだ。先生に向かってそんな態度をして・・・・」
いつも大人しい祐介がこんな格好をしたこと、先生に反論したことでみんな驚いていた。
ざわざわと周りがうるせえな。
「はーい、先生質問でーす。どうしていい大学に行かないといけないんですか?」
いきなりの質問で戸惑っていたがすぐに答えた。
「祐介、それはなぁ。いい会社に就職して給料をたくさんもらうためだぞ」
「はぁ、なんかそれつまんない人生で・・・
って僕は何をやっていたんだ?」
急に意識が戻った。気づくと足を机の上に置き、みんなの視線が僕に集まる。
そして義人がやっていたことが頭の中に入ってくる・・・・・
僕はすぐに足を下ろして机の上に肘をついて頭を抱えた。
タイミング!! 最悪だよ。せめて最後までけりをつけてから戻れよ。
とても恥ずかしい黒歴史を作ってしまった。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。人として死ぬくらい恥ずかしかった。
「・・・・あの、とりあえずすいません生意気なことを言って・・・・」
そのまま先生に謝り、この重い空気の中SHRは終わった。
あとで説教の手紙を書くことを心に決めた。
放課後
「ハッハハハ、お前珍しいことするもんだな。でもなんかスカってしたぞ祐介の言葉。あの先生ずっといい大学に入学しようしか言わないからなんか嫌だったんだよな!」
「ああ、もうその話やめて・・・・」
思い出すだけでも最悪だ。
穴があったら入りたい。
「いや、祐介はすごいよ。あんなこと人前でできるなんて。僕なら死んでる」
「いや、もう僕心の中では死んでるから・・・・」
「ハッハハ、そうかそうか。今日は気分転換に何か祐介の好きな物食べに行かないか?
部活もないし、優も今日はフリーだろ」
「うん、何も用事ないし行こうよ」
「二人ともなんかありがとう」
僕の心を慰めるために提案してくれた気がした。
「じゃあ、パンを食べたい!」
「おう、そうか」
二人は僕の案に賛成してついてきてくれた。しかしあいつが現れた。
「いや、やっぱり肉だな。タンパク質で美味いからな!」
「いやパン!」
「肉だろ肉!」
「祐介、何一人でやってんだ・・・・・」
うう、またこいつのせいで恥ずかしい思いをした。
確かに二人から見たら一人で言い争ってるようにしか見えないもんな。
結局、パン屋へ行くことになった。
今日の朝のことを言うと、すんなりと義人は譲ってくれた。喧嘩は強いけど口喧嘩は弱いんだな!
いつも抑えるのが大変な義人の弱みを知れて悪い顔をしてしまう。この弱み、使える!
始め二重人格なんて最悪で高校生活の心配をしていたけど、楽しくなってきた!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる