君と二人の自分

ともとも

文字の大きさ
5 / 28

君との出会い

しおりを挟む
やっと義人との両立が取れるようになってきた。これからも優と翔ちゃんと遊べると思っていたがその望みは叶わなかった。

翔ちゃんは部活が本格的に始まり、休みがほとんどないらしい。ここの高校は一応、強豪らしくて毎日熱心に翔ちゃんは取り組んでいる。その姿を見ていると放課後、遊びに行こう! というお誘いもできない。

優は部活に入っていないがピアノの発表会が近いらしくてすぐに家に帰ってしまう。

みんな大変だな・・・・

二人と比べて僕は何も挑戦してないし、特技もない。
こうやって一人になると何かやらないと、と思うけど二人のように真剣に取り組めそうなものが出てこない。

こういう時、義人に力を借りたら何か見つけられるかな?
そんな淡い期待もあったがあいつはほぼ喧嘩だ。
しかも学校生活、特に授業なんかは一度も現れたことがないからたぶん相談してもろくな答えが返ってこないだろう。

やっぱ部活に入る方が良いのかな・・・・

授業の休み時間を使って二人のようにどうやったらなれるか考えている。

そう思えば、翔ちゃんと優以外まだ友達ができていない。積極的に行ける性格じゃないからな。こういう時は義人に頼んで友達を作って欲しいもんだ。

この学校に入学して約1か月くらい経ったこともあり、大体のグループは完成している。

この波に乗るのに失敗した人は大体一人で生活をしている。僕のクラスは仲が良いらしくて男子にはいなかった。でも女子に一人だけいる。
いつも太いメガネをかけていて髪はショートカットだが、前髪が長い。まるで人から喋りかけられるのを嫌がっているような印象を与える人だ。
いつも読書していて、話しかけられても短い単語でしか返していない。

ちょっと哀れに思う。

僕は優と翔ちゃんとの三人グループだ。でも翔ちゃんは他の人とも仲良くなって最近は優と二人のことが多い。

今日も普段と変わらない日常を送り、放課後
意識がなくなった・・・・

「あぁあ! つまんねぇな」
いつも遊んでいた二人が今日は用事があるようで遊びに行こうぜ、と言う前に姿が見えなくなっていた。

仕方なく俺は一人で帰る。

学校が終わる頃、太陽は山に隠れようとしていた。その分、真っ赤に空が染まり綺麗な夕焼けが見える。

俺はそんな中、校門を出た。

帰宅部や文化部で部活のない奴らがちらほらと帰っていく。

一人でイヤホンをつけてノリノリで帰っている奴。
恋人同士なのか手を繋いでイチャイチャしている二人組。
ギャハハハハハ!っと大声で笑いながら横に並んで他の生徒に迷惑をかけているギャル。
さまざまな人が帰っている中でもう一度思う。

「チッ、ああつまんねぇー」
面白いことがなく舌打ちまでする。
両手をポケットに入れて、ガニ股で歩幅を大きくして足早に帰ろうとする。まるでイライラしている雰囲気を周りの人へアピールするかの様に。

しばらく歩いていると大きな橋まで来ていた。

「おっ! いい景色じゃねぇか」
少し俺は興奮して子供がはしゃぐように橋の手すりを持った。

「なんか懐かしいぜ・・・・・・」

赤い夕日、それに川が反射していつもは青く見える水がオレンジ色に染まる。

この景色に見惚れていて、手すりに肘を置いてその上に顔をのせた。俺流のリラックスできる姿勢だ。

少し遅めに咲いた桜が近くにあった。
ヒューっと吹く風によって花びらが散るのもいい。

花びらを目で追っているとある少女が横に立っていた。
「あの・・・・すいません・・・剛君・・・・・?」

その少女を見て、その声を聞いて俺はギョッと目を見開いた。
そして意識がなくなっていく・・・・


僕が目を開けた時、珍しくまだ夕暮れ時で帰る途中なのか、橋の上にいた。

目の前には同じクラスの女の子。

そして僕の心の中にはまるでこの女の子を拒絶するかのような変な気持ちが残っていた。

これは人格が変わる前に義人が思っていた気持ちかな・・・・

「君は確か・・・   同じクラスだったよね」
「・・・は、はい!」
起きた時、いきなり女の子がいてびっくりした。入れ替わりの瞬間には慣れてきたから感情を顔に出さないようにしていた。でもいきなり交代するのはさすがに驚く。

大体入れ替わるのは放課後から夜にかけてで、自分の家の机に座るまでだからな。

しかも目の前にいるのはクラスでいつも静かで一人でいる地味な子だ。

あいつ、何やったんだ?

意外すぎて頭の中で混乱する。

「私、朝空雪菜という物なのですが覚えていませんか? 私です、私!」
小さな声だったが初めてこんなに長い会話を聞いた気がする。いつも無表情で暗い雰囲気だったけど、今は積極的に話してくれている。
その姿を見て僕の中で彼女のイメージが少し変わった。

ちゃんと喋れる子でなんか安心した。

それでもいきなり変なことを言われて困惑する。
「え、あの・・・・人違いとかではありませんか? 僕の名前は村上祐介です」
「えっ、あの・・・剛って名前に覚えはないですか・・・・?」
「すいません、たぶん人違いで剛という子も知りません」
「そうですか・・・・」
いつもと違う顔を見せていたが、すぐに悲しそうに下を見る。

「すいません、いきなり変なことを言い出してしまって」
「あっ、いえ全然。こちらこそ探している人じゃなくてすいませんでした・・・・」

会話が途切れ、女の子はいつものように悲しそうに下を向きながらとぼとぼと帰っていった。

それと同時に僕の意識がなくなっていく。

また入れ替わりかい!

このまま僕で生活すると思っていたからそんなツッコミを入れたかった。

でもなぜか僕は女の子の悲しそうな後ろ姿を忘れることができなかった。


いつものように机に座った時、意識が戻った。

自分ノートには義人からのメッセージが書かれていた。

「お前、いろんなルールを俺に作ったよな。
まぁ大体守れていないけど。
すまん、それは謝る。」

本当、僕がどれだけ苦労しているか。もし義人に出会えたら一発殴ってやりたいよ。

「俺からもルールを提案させてくれ。」

「えっ! 珍しい」
喧嘩くらいしか興味を持っていないと思っていた。だから義人がルールを提案するとは思わず少し驚いている。

「一つだけだから安心しろ。
今日出会った女を覚えてるか? 
お前あいつと友達になれ。
祐介は友達少ないし、あの子も大体教室に一人でいるだろ。
一石二鳥じゃねぇか?
人と話すのが苦手なのはわかるが俺もどうにかアシストする。
翔と優が真剣に取り組めるものを見つけていてお前も悩んでいるんだろ。
新しい挑戦しようぜ!
ていうか、これはルールじゃなくて強制だ。
絶対、絶対、友達になれ!」

あのヤンキーがなぜこんな僕とあの女の子を友達にさせようとしているのかわからなかった。でも僕も義人にいろいろ言っているし、素直に聞いてやろうと思った。

でも、人と話すの苦手だからな。しかもあの女の子も苦手そうだし。

「ちゃんとアシストしてくれよな相棒!」

なんちゃって。義人の珍しい提案にすこし調子に乗ってそんなことを書いていた。

義人のアシストがある中、あの子と友達になる日々がこれから続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

処理中です...