25 / 28
白い空間
しおりを挟む
気がつけば白い空間にいた。
真っ白い空間。
何もない空間。
そんなところでぼくは仰向けに寝転んでいた。すぐにどうなったのか起き上がる。
本当に何もない真っ白な空間だった。
着ていた制服も無くなっていて白い服を着ていた。
あたりを見渡していると、ズキンっと頭痛が自分を襲う。
「痛ててて」
記憶があやふやになる。
僕はなんでこんなところにいるんだ……
「おっす!」
ふと気づくと、僕と同じくらいの年齢の青年があぐらをかいて座っていた。
髪は金髪で目つきが鋭い。
しばらく誰だろうと思っていたけどすぐにわかった。
「よお、義人。今さっきぶりだな! いや剛って呼ぶ方がいいか?」
からかうように挨拶する。
「ガッハハハハ! やっぱりもうお前にはバレてるか!」
「はぁー、君は馬鹿だよね。僕以外に雪菜さんにもバレバレだよ」
「ガッハハハ! そりゃそうか。あそこであんな発言したからな!」
いつもと変わらない会話をする。
普段ならノートに書いていたけど、読んでいる時はこうやって対面しているような感覚になっていたから、今更姿を現してもそこまで驚かない。
「ふーん。義人、いや剛ってそんな体してたんだな」
「もう義人でいいぜ」
「いや、ちゃんと剛って呼ぶよ」
「おお、そうか……こんな体って言ってるけど本当はもっとちっちゃいんだぜ。もし俺が今、生きていたならこんな体になっていたんだろうけどよ!」
「ふーん、じゃあなんでそんな大きくなってるの? 普通は小さいままじゃないの? なんで偽名使ってたの?」
「おいおい、めっちゃ質問攻めするじゃねえか。もっと楽しいこと話そうぜ!」
「フフフ、ごめんごめん」
すこし、剛の体に興味を持ってしまってたくさん質問していた。
「まぁ、俺もなんでこんな姿になってんのか、なんで祐介とこうして対面しているのかはわからねえな」
「そっか」
納得はしたけど、剛の体が筋肉によってムキムキでしばらく見惚れていた。
「おやおや、祐介君ってもしかしこういう体が好きなの・・・?」
「おい! 変な言い方するな! いや・・・でも、もし僕が女性だったらアッ! ってなる体だよね」
「えっ・・・・マジでそっち系の人なの・・・・」
僕も変な言い方をしてしまって誤解される。
「よし、この話は俺が後で問い詰めよう!」
「えっ!? 問い詰められるの?」
「ガハハハ、徹底的に聞くぞ!」
「うわー」
めんどくさいことになって自分の発言を後悔する。
「祐介! お前いつくらいから剛って気づいたんだ?」
「いやー、それは雪菜さんの話を聞いたらすぐにわかるでしょ! 川とかゲームセンターに行ったことがあるって言ってたし。ちゃんと記憶に残ってるんだよ剛達のデート!」
「ああ、そうだったのか・・・・恥ずかしい!」
かわいこぶるように両手で顔を隠した。
「ああ、そういうの気持ち悪いからやめて!」
「お、言ったな! 俺だってそういう乙女心とかあるんだぞ!」
「ああ、そうなの? でもそんな筋肉質でマッチョの人がやったら気持ち悪いよ。ギャップ萌えのかけらもない」
「・・・・・あっ、そうなんか・・・」
マジでギャップ萌えを狙ってたのか知らないけど結構落ち込んでいた。
「でも剛って、今思うと二重人格っていうよりは亡霊のほうが近いかもね」
「おい、そんな言い方すると真面目に夜、うらめしや~~ってお前の部屋に出るぞ」
「ごめんなさい。謝るのでそういう怖いことはやめて頂けるとありがたいです………」
「そこはすぐに引き下がるんだな!」
「だって怖いんだもん!」
「ガッハハハハ! そういうところはまだまだ気が弱いよな」
「本当、頑張って勇気は出してきたけどこういうのは変わらないんだよね………」
友達になるためにいろいろ勇気を出して行動していたけど、元から怖いと思っていたものは相変わらず変わらなかった。
「今考えると、剛のことも怖くなってきたよ」
「なぜだ?」
「僕、取り憑かれてたってことになるでしょ?」
めちゃくちゃ怖く睨んできた。
「うう、もう一度ごめんなさい……僕、調子に乗りすぎました」
「素直に謝ることはいいことだぞ!」
彼の笑みは怖かった。
「………」
「おい、どうした? いきなり黙りこくって」
「あ、いや、なんでもないんだ! さあ、もっと話そう!」
「お、おう……」
一瞬、僕が黙ったせいですこし空気が重くなった。
「剛って人生、楽しかったか?」
「ああ、そうだな……正直いうと面白くなかったな。最後くらいしか楽しくなかったぜ。ずっと一人だったからな!」
「雪菜さんとは楽しかったんだな!」
「ああ、雪菜と遊んだ日々は最高に楽しかった。最後にあいつの命を守れたことが俺の誇りだ!」
「そっか、後悔のある顔はしていないね」
「まぁ、生まれ変わるようにお前とも出会えたわけだしな!」
「僕も剛と出会えて楽しかったよ! 最期に剛と話せてよかった!」
「最期?」
僕の言っていることが理解できないように首を傾げる。
「ん? どうしたの? だってそうでしょ。僕は死んだんだから……だからこうして剛とも話しているんじゃ……?」
「………ガハハハ! やっぱ面白いな!」
「ん?」
こいつは何に笑っているんだと聞きたくなる。
「三途の河でも渡ってきたのか?」
「いや、別に渡ってないけど………」
「まぁいい」
改まってまっすぐ僕に瞳を向ける。
「村上祐介、お前に朗報だ!」
「はぁ……」
何を言い出すのかわからず静かに見つめる。
「お前はまだ死んでいない」
「えっ!」
すこし声が明るくなった。
「お前は今、入院中。あの後、救急車が来て病院へ運ばれたんだ。生死の境を彷徨っている状態だな!」
「本当! じゃあもしかして助かる可能性もあるの?」
喜びのあまり立っていた。
「まぁ、お前次第だけど、祐介なら生きれると俺は信じているぞ!」
「やった! イェイ!」
そのまま僕は飛び跳ねた。
「おいおい、喜びすぎだぞ! ちょっとうるさい。お前らしくて安心するけどな」
「フン、これが僕だよ! わかってるでしょ? いつもそばにいたんだから!」
はにかんだ笑みを彼に見せる。
「いやー、まさか飛び跳ねて喜ぶとは思わなかったぜ。俺のようにはなるなよ!」
「あっ、ごめんね。剛もう死んでるんだったね………」
「それを言うなよ! 俺も死にたくて死んだわけじゃねえから!」
「アハハハ、そうだよね」
「でも、お前が生きていられたのはちゃんと俺のアドバイスを聞いていたからってのも、ちょっとあるんだぜ!」
「えっ………」
思わず固まってしまう。
「ほら、始めの方に行ってただろ? 筋トレしたらどうだって。まさかここで役立つとは俺も想定していなかったな!」
「あれ、役に立ってたの?」
喧嘩で圧倒的に力負けして意味ないじゃんって後悔していた筋トレが役に立ったことを知って努力が報われる。
「そうだったんだ………ってそれ誰からの情報? え、まさか神様って本当にいるの?」
「まさか。そこまでは知らねえけど、病院の医者が言ってたぜ! よかったな筋トレしていて!」
剛の笑顔を見てすこし泣きそうになった。
「うう、あれ? すこし視界がぼやけてくる………」
「ふっ、そろそろ時間かもしれねえな!」
「時間? なんのこと?」
「夢から覚めるみたいなもんじゃねぇか?」
「ああ、そっか。自分を応援しなくちゃな! 生き抜くために」
「そうだな。俺もしっかり応援してるからな!」
「まぁ、また会えるからいっか! またメッセージ返してくれよ!」
そう笑顔を向けると剛は黙りこくる。
「おーい、次はお前が黙り込んでどうした?」
「いや、そのもう俺は人格がお前に移せねえようだ……」
「ふっ、神様からそんな伝言がきたの?」
「まぁ、そう言う感じにしとこう……」
「マジで成仏されるの? もう僕に取り憑かないの?」
「おい、そろそろ殴ってもいんだぞ!」
「プフフ、ごめんって……マジなのか?」
「俺も幽霊だったのかもしれねぇな!
ガッハハハハ!」
いつもより笑うがすこし元気のないように見えた。
冗談を言って剛は答えを濁す。
「なあ……ちょっと。それ本当なの?」
「ああ、もうお前とは会えない………」
やけに素直に薄情した。
とても真面目で嘘をついていない純粋な顔をしていた。
「そっか……もう、お前とは会えないのか……」
「別に、お前が死んだなら会うことはできるぞ!」
こういう時まで冗談を言うから呆れる。
「俺達にはさ、暗いお別れなんて似合わないだろ? だからせめて笑って終わろうぜ!」
剛の言葉に僕は論破され、軽く笑う。
「そうだな!」
僕は改めて、剛と対面する。
「僕の大切な人、今までお世話になりました。とても感謝しています。ありがとうございました!」
「お、おおう……なんか、かしこまって言われるとすこし照れるな! えへへへへ」
「今、お前、ギャップ萌えする顔だぞ!
アハハハハハ!」
「おいおい、さっきの感動を返せよ。珍しく俺もお前の言葉を心から受け止めていたのに……まぁ、俺達らしいか!」
「そうだな!」
「アッハハハハ」
「ガッハハハハ」
お互いに笑う。
「あ、そうだ最後にお前に頼みがある」
「おお、なんだ。剛もかしこまって」
「茶化すなよ、真面目に話すんだから」
「ハハハ、すまんのう」
「ここでジジイ口調かよ。まぁいい」
まっすぐ僕の目を見た。
「雪菜、たぶん結構心に傷を受けている。だから祐介! お前が生きて、あいつを助けてやってくれ! あいつが笑顔になるのを俺は望んでいる」
「おう、僕が生きて絶対に助けるよ!」
「その意気だ。頼む! それと、祐介! 今までありがとう。楽しかったぜ!」
「こちらこそ、ありがとう!」
剛は男らしく最後に正座をして両手を地面につき深く頭を下げた。僕もそれに合わせて頭を下げる。
また視界がぼやけ出して剛の顔がちゃんと見えなくなった。
「雪菜のこと大切に思ってるんだな!」
「おう、俺は雪菜が大好きだ!」
「僕も好き!」
「おお、これはライバル登場の修羅場だな!」
白くなりながらも声だけは聞こえる。
「フフフ、仲の良い修羅場だ!」
ぼやける中、最後に手を握り合った。
「なぁ、最後に思ったんだけどさ、なんで僕に取り憑いたんだ?」
「幽霊呼ばわりすんな!」
「ハハハ、またやってしまったな」
「ああ、でも俺がお前に人格を持った理由はわかんねえな」
「そうか……」
「ただ雪菜を幸せにしてやりたいっ言う強い心だけは残っていたな!」
「お前らしいな」
「じゃあな祐介、あとは頼むぜ……お前のことも大好きだっ……」
声も聞こえなくなり、本当に真っ白になった。
真っ白い空間。
何もない空間。
そんなところでぼくは仰向けに寝転んでいた。すぐにどうなったのか起き上がる。
本当に何もない真っ白な空間だった。
着ていた制服も無くなっていて白い服を着ていた。
あたりを見渡していると、ズキンっと頭痛が自分を襲う。
「痛ててて」
記憶があやふやになる。
僕はなんでこんなところにいるんだ……
「おっす!」
ふと気づくと、僕と同じくらいの年齢の青年があぐらをかいて座っていた。
髪は金髪で目つきが鋭い。
しばらく誰だろうと思っていたけどすぐにわかった。
「よお、義人。今さっきぶりだな! いや剛って呼ぶ方がいいか?」
からかうように挨拶する。
「ガッハハハハ! やっぱりもうお前にはバレてるか!」
「はぁー、君は馬鹿だよね。僕以外に雪菜さんにもバレバレだよ」
「ガッハハハ! そりゃそうか。あそこであんな発言したからな!」
いつもと変わらない会話をする。
普段ならノートに書いていたけど、読んでいる時はこうやって対面しているような感覚になっていたから、今更姿を現してもそこまで驚かない。
「ふーん。義人、いや剛ってそんな体してたんだな」
「もう義人でいいぜ」
「いや、ちゃんと剛って呼ぶよ」
「おお、そうか……こんな体って言ってるけど本当はもっとちっちゃいんだぜ。もし俺が今、生きていたならこんな体になっていたんだろうけどよ!」
「ふーん、じゃあなんでそんな大きくなってるの? 普通は小さいままじゃないの? なんで偽名使ってたの?」
「おいおい、めっちゃ質問攻めするじゃねえか。もっと楽しいこと話そうぜ!」
「フフフ、ごめんごめん」
すこし、剛の体に興味を持ってしまってたくさん質問していた。
「まぁ、俺もなんでこんな姿になってんのか、なんで祐介とこうして対面しているのかはわからねえな」
「そっか」
納得はしたけど、剛の体が筋肉によってムキムキでしばらく見惚れていた。
「おやおや、祐介君ってもしかしこういう体が好きなの・・・?」
「おい! 変な言い方するな! いや・・・でも、もし僕が女性だったらアッ! ってなる体だよね」
「えっ・・・・マジでそっち系の人なの・・・・」
僕も変な言い方をしてしまって誤解される。
「よし、この話は俺が後で問い詰めよう!」
「えっ!? 問い詰められるの?」
「ガハハハ、徹底的に聞くぞ!」
「うわー」
めんどくさいことになって自分の発言を後悔する。
「祐介! お前いつくらいから剛って気づいたんだ?」
「いやー、それは雪菜さんの話を聞いたらすぐにわかるでしょ! 川とかゲームセンターに行ったことがあるって言ってたし。ちゃんと記憶に残ってるんだよ剛達のデート!」
「ああ、そうだったのか・・・・恥ずかしい!」
かわいこぶるように両手で顔を隠した。
「ああ、そういうの気持ち悪いからやめて!」
「お、言ったな! 俺だってそういう乙女心とかあるんだぞ!」
「ああ、そうなの? でもそんな筋肉質でマッチョの人がやったら気持ち悪いよ。ギャップ萌えのかけらもない」
「・・・・・あっ、そうなんか・・・」
マジでギャップ萌えを狙ってたのか知らないけど結構落ち込んでいた。
「でも剛って、今思うと二重人格っていうよりは亡霊のほうが近いかもね」
「おい、そんな言い方すると真面目に夜、うらめしや~~ってお前の部屋に出るぞ」
「ごめんなさい。謝るのでそういう怖いことはやめて頂けるとありがたいです………」
「そこはすぐに引き下がるんだな!」
「だって怖いんだもん!」
「ガッハハハハ! そういうところはまだまだ気が弱いよな」
「本当、頑張って勇気は出してきたけどこういうのは変わらないんだよね………」
友達になるためにいろいろ勇気を出して行動していたけど、元から怖いと思っていたものは相変わらず変わらなかった。
「今考えると、剛のことも怖くなってきたよ」
「なぜだ?」
「僕、取り憑かれてたってことになるでしょ?」
めちゃくちゃ怖く睨んできた。
「うう、もう一度ごめんなさい……僕、調子に乗りすぎました」
「素直に謝ることはいいことだぞ!」
彼の笑みは怖かった。
「………」
「おい、どうした? いきなり黙りこくって」
「あ、いや、なんでもないんだ! さあ、もっと話そう!」
「お、おう……」
一瞬、僕が黙ったせいですこし空気が重くなった。
「剛って人生、楽しかったか?」
「ああ、そうだな……正直いうと面白くなかったな。最後くらいしか楽しくなかったぜ。ずっと一人だったからな!」
「雪菜さんとは楽しかったんだな!」
「ああ、雪菜と遊んだ日々は最高に楽しかった。最後にあいつの命を守れたことが俺の誇りだ!」
「そっか、後悔のある顔はしていないね」
「まぁ、生まれ変わるようにお前とも出会えたわけだしな!」
「僕も剛と出会えて楽しかったよ! 最期に剛と話せてよかった!」
「最期?」
僕の言っていることが理解できないように首を傾げる。
「ん? どうしたの? だってそうでしょ。僕は死んだんだから……だからこうして剛とも話しているんじゃ……?」
「………ガハハハ! やっぱ面白いな!」
「ん?」
こいつは何に笑っているんだと聞きたくなる。
「三途の河でも渡ってきたのか?」
「いや、別に渡ってないけど………」
「まぁいい」
改まってまっすぐ僕に瞳を向ける。
「村上祐介、お前に朗報だ!」
「はぁ……」
何を言い出すのかわからず静かに見つめる。
「お前はまだ死んでいない」
「えっ!」
すこし声が明るくなった。
「お前は今、入院中。あの後、救急車が来て病院へ運ばれたんだ。生死の境を彷徨っている状態だな!」
「本当! じゃあもしかして助かる可能性もあるの?」
喜びのあまり立っていた。
「まぁ、お前次第だけど、祐介なら生きれると俺は信じているぞ!」
「やった! イェイ!」
そのまま僕は飛び跳ねた。
「おいおい、喜びすぎだぞ! ちょっとうるさい。お前らしくて安心するけどな」
「フン、これが僕だよ! わかってるでしょ? いつもそばにいたんだから!」
はにかんだ笑みを彼に見せる。
「いやー、まさか飛び跳ねて喜ぶとは思わなかったぜ。俺のようにはなるなよ!」
「あっ、ごめんね。剛もう死んでるんだったね………」
「それを言うなよ! 俺も死にたくて死んだわけじゃねえから!」
「アハハハ、そうだよね」
「でも、お前が生きていられたのはちゃんと俺のアドバイスを聞いていたからってのも、ちょっとあるんだぜ!」
「えっ………」
思わず固まってしまう。
「ほら、始めの方に行ってただろ? 筋トレしたらどうだって。まさかここで役立つとは俺も想定していなかったな!」
「あれ、役に立ってたの?」
喧嘩で圧倒的に力負けして意味ないじゃんって後悔していた筋トレが役に立ったことを知って努力が報われる。
「そうだったんだ………ってそれ誰からの情報? え、まさか神様って本当にいるの?」
「まさか。そこまでは知らねえけど、病院の医者が言ってたぜ! よかったな筋トレしていて!」
剛の笑顔を見てすこし泣きそうになった。
「うう、あれ? すこし視界がぼやけてくる………」
「ふっ、そろそろ時間かもしれねえな!」
「時間? なんのこと?」
「夢から覚めるみたいなもんじゃねぇか?」
「ああ、そっか。自分を応援しなくちゃな! 生き抜くために」
「そうだな。俺もしっかり応援してるからな!」
「まぁ、また会えるからいっか! またメッセージ返してくれよ!」
そう笑顔を向けると剛は黙りこくる。
「おーい、次はお前が黙り込んでどうした?」
「いや、そのもう俺は人格がお前に移せねえようだ……」
「ふっ、神様からそんな伝言がきたの?」
「まぁ、そう言う感じにしとこう……」
「マジで成仏されるの? もう僕に取り憑かないの?」
「おい、そろそろ殴ってもいんだぞ!」
「プフフ、ごめんって……マジなのか?」
「俺も幽霊だったのかもしれねぇな!
ガッハハハハ!」
いつもより笑うがすこし元気のないように見えた。
冗談を言って剛は答えを濁す。
「なあ……ちょっと。それ本当なの?」
「ああ、もうお前とは会えない………」
やけに素直に薄情した。
とても真面目で嘘をついていない純粋な顔をしていた。
「そっか……もう、お前とは会えないのか……」
「別に、お前が死んだなら会うことはできるぞ!」
こういう時まで冗談を言うから呆れる。
「俺達にはさ、暗いお別れなんて似合わないだろ? だからせめて笑って終わろうぜ!」
剛の言葉に僕は論破され、軽く笑う。
「そうだな!」
僕は改めて、剛と対面する。
「僕の大切な人、今までお世話になりました。とても感謝しています。ありがとうございました!」
「お、おおう……なんか、かしこまって言われるとすこし照れるな! えへへへへ」
「今、お前、ギャップ萌えする顔だぞ!
アハハハハハ!」
「おいおい、さっきの感動を返せよ。珍しく俺もお前の言葉を心から受け止めていたのに……まぁ、俺達らしいか!」
「そうだな!」
「アッハハハハ」
「ガッハハハハ」
お互いに笑う。
「あ、そうだ最後にお前に頼みがある」
「おお、なんだ。剛もかしこまって」
「茶化すなよ、真面目に話すんだから」
「ハハハ、すまんのう」
「ここでジジイ口調かよ。まぁいい」
まっすぐ僕の目を見た。
「雪菜、たぶん結構心に傷を受けている。だから祐介! お前が生きて、あいつを助けてやってくれ! あいつが笑顔になるのを俺は望んでいる」
「おう、僕が生きて絶対に助けるよ!」
「その意気だ。頼む! それと、祐介! 今までありがとう。楽しかったぜ!」
「こちらこそ、ありがとう!」
剛は男らしく最後に正座をして両手を地面につき深く頭を下げた。僕もそれに合わせて頭を下げる。
また視界がぼやけ出して剛の顔がちゃんと見えなくなった。
「雪菜のこと大切に思ってるんだな!」
「おう、俺は雪菜が大好きだ!」
「僕も好き!」
「おお、これはライバル登場の修羅場だな!」
白くなりながらも声だけは聞こえる。
「フフフ、仲の良い修羅場だ!」
ぼやける中、最後に手を握り合った。
「なぁ、最後に思ったんだけどさ、なんで僕に取り憑いたんだ?」
「幽霊呼ばわりすんな!」
「ハハハ、またやってしまったな」
「ああ、でも俺がお前に人格を持った理由はわかんねえな」
「そうか……」
「ただ雪菜を幸せにしてやりたいっ言う強い心だけは残っていたな!」
「お前らしいな」
「じゃあな祐介、あとは頼むぜ……お前のことも大好きだっ……」
声も聞こえなくなり、本当に真っ白になった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる