異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。

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学園編-学園武術会

覚醒

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 ヴァニの手甲を上半身を反らし回避する。
 ナイツはその隙のできたヴァニの横を抜けるように、
 一気にゲイスの元に駆け寄る。

 「弐の型……旋風《アクセルブースト》」
 そうはさせないとアセリアがその間に割ってはいる。

 ……魂を抜かれたように操られているヴァニとは違い、
 彼女の意識ははっきりとしているようだが……


 「……当然だろう……そいつは元々がこっち側だ、意識まで洗脳する必要はないさ……」
 そうゲイスはナイツの疑問を読み取ったように言う。

 「……彼女が自分の意思でお前のようなゲスに操られているとでも?」
 ……そうナイツが返す。

 「そいつがお前の前に立ち塞がっている……それが事実だ」
 そうゲイスが返す。

 ナイツは無言で地面を強く蹴り上げ高く浮上する。
 
 「すごぃ、すごぃ」
 うれしそうに楽しそうに、アセリアが笑う。

 「旋風《アクセルブースト》」
 アセリアもその場で地面を蹴り上げると、その能力《こうか》で、
 ナイツと同じ高さまで浮上する。

 「壱の型……爆風《トルネード》」
 巻き起こった竜巻に飲まれるように、地に叩きつけられる。
 上手く、着地するが……同時にヴァニの手甲《こぶし》がナイツを襲う。

 「参の型……風切《カマイタチ》」
 そう……後ろから声がする。

 「くっ……モード…鉄《くろがね》」
 鎧を切り替え、シールドでそれを防ぐ。

 自分のシールドが砕け晴れた視界からヴァニの姿が現れる。

 「ぐっ……」
 もろにその手甲《いちげき》が頬にヒットする。
 

 ……こんなことで正義《わたし》は負ける訳にはいかない……
 悪に屈する事は……

 「……モード……白銀《プラチナ》……」
 素早く白銀の鎧に着替える。

 「壱の型……爆風《トルネード》」
 手から起こる爆風の勢いに体を預け一気にナイツの元に詰め寄る。
 そのアセリアの後ろをヴァニが続くように……

 「……すまない」
 そう一言、ナイツが呟くように言う。

 ナイツは素早くそのアセリアの攻撃を回避し、
 その勢いのまま自分の横を通り過ぎる……

 「なっ!?」
 その通り過ぎた無防備の首後ろに手刀を入れる。
 アセリアがその場に倒れこむ。

 「ぐはっ!!」
 次に迫ったヴァニの対してもカウンターを決めるように、
 その拳がヴァニのみぞおちに入る。

 「うはははっ……容赦ないな、英雄《ヒーロー》、子供も泣いて逃げ回るぜ」
 そう挑発するように……

 「安心しろ……お前にはそれ以上に容赦《かげん》はしない」
 そう地面を蹴り、一気にゲイスに迫るが……

 「なっ!?」
 気を失ってすぐには復帰できないはず……

 先ほどとは違い……無言で生気のない瞳のアセリアが再びその間に割って入る。


 「……無駄だ、人形ってのは意識が無くても動くのさ」
 再び迫ってきたアセリアを同じように手刀で地に伏せるが……
 即座にがばりと強制的起こされる。

 「……ゲスが……」
 そう……ナイツが悔しそうに呟く。

 「お前も中々に極悪だぜ英雄《せいぎのみかた》」
 不適に笑いながら……

 「そう何度も仲間や女を殴り飛ばすなんてなぁ」
 そう、ゲイスがナイツを挑発するように……

 「キサマァーーーーーッ!!」
 そう怒り狂うようにナイツが言い、その元に駆け寄りその拳を振るうが……

 素早くその間に割って入ったアセリアの頬を思いっきり殴り飛ばす結果になる。

 「あーぁ……可哀想」
 そう第三者の目線で……

 「くっ……大丈夫か?」
 さすがに本気で入った一撃を心配しアセリアの元へと近寄る。

 「なっ!?」
 途端に起き上がったアセリアに背後から羽交い絞めにされる。

 同じく強制的に動かされるヴァニ……
 その手甲《こぶし》が何度も何度も押さえつけられる体に振り落とされる。

 白銀の兜が割れ、そこから無抵抗に殴られ続けるナイツの顔がある……

 
 ……彼《レス》に……一度負かされ……経験したはずなのにな……


 やっぱり……悪に屈するってのは……


 「………悔しいな」
 そう……ヴァニの次に繰り出される拳を待つ。

 今までよりも激しくその頬を殴る。

 「……なぁ……なにを……」
 その光景に少し驚くようにナイツが言う。

 「……ほんと……悔しいよな……」
 自分のパンチに口元を切った血を地面に吐き捨てる。

 「こんな所で……立ち止まってられねぇんだよ……」
 黒い瘴気がヴァニから抜け出すように上空で消える。

 「……あいつはどんどん俺の前をいっちまう……あいつと一緒に此処に立つって決めたのによ……立ち止まってたら……追いつけねぇじゃねーか」
 これまでの不甲斐なさを悔いるように……

 「……追い越したいんじゃねぇ……俺はお前と並んで歩きたいんだ……相棒《レス》」
 ………真っ赤な炎に包まれてるかのように、ヴァニの身体を赤いオーラが包んでいる。

 「……進化……した?」
 そのナイツの言葉通りに……
 ヴァニの黒い手甲に赤い模様が刻まれていき……
 一回り大きく進化を遂げる。

 「……だから……必死で追いかけるからよ……置いて行くなよ」
 そう寂しそうに顔をあげる。


 「……くっ……アセリアそいつをそのまま押さえていろっ」
 そうアセリアにナイツを押さえつけておくよう命じる。
 手駒《ヴァニ》を失った……今、ナイツを開放しては……

 「たかだか……武器が変化した程度だ……ならば、こっちはさらに強力な人形《てごま》を手に入れるだけだ」
 そうアセリアに押さえつけられる、ナイツの口元を掴みあげる。

 「……相当に弱っている今のお前なら……全魔力を注げば」
 そうゲイスが言うと、アセリアからも黒い瘴気が抜け出す。
 がくりと、その場にアセリアが倒れる。

 自由になった手でゲイスの手を払おうとするが……
 時は遅く……闇がナイツを支配していく。

 白銀の鎧から黒い炎が噴出すように……
 闇の鎧に身を包まれる。

 「やった……奴《ナイツ》の能力に俺の魔力……これこそ最高傑作だ」
 ゲイスが歓喜するように叫ぶ。

 「てっけんせーーさいっ」
 そんな歓喜しているゲイスの顔が歪みその身体が勢い良く吹き飛ばされる。

 進化したヴァニの手甲がゲイスを捕らえ、あと少しで場外というところまで吹き飛んでいく。

 ゆっくりとゲイスの元へと歩いて近寄る。

 「……まぁ……そうなるか」
 立ち塞がる漆黒の炎に燃える鎧。


 「……いいぜ……あいつの隣に行くためにあんたを超えなきゃならねぇんだったら……超えてやるよっ」
 そうナイツを見る。


 相手の能力で同士討ちをさせられていた……
 だが……それは一人の男の覚醒《せいちょう》が状況を逆転させたが……
 
 さらなる凶悪な闇がそこに立っている。

 立場が逆転するように……
 同士討ちは続いている……

 「……こんな所で……おわらねぇからなレス……」
 進化した手甲を見る。
 自分でもまだその力の全てを理解していない……
 押さえきれない……昂る感覚……

 「どーなってもしんねぇーぞっ!!」
 ヴァニがその手甲を振り上げて叫ぶ。
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