異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。

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学園編-魔王討伐

獅子

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 「ん……ここは何処だ?」
 ぼぉとする頭を動かし周囲を確認する。

 取りあえず視界に写った一人の少女を見る。

 「ねぇ、お嬢さん……此処は何処かわかるかい?」
 そう女子高生くらいの女性に尋ねる。


 「私が……召喚した……あなたは?」
 ……なるほど、全く理解ができない。
 ……夢か何かか?

 何処かの建物の地下……それもファンタジー世界のような建物だ……
 ……思わず本名を名乗りそうになるが……
 咄嗟に少しだけ名前を偽って言う。


 「ナキ……おじさんの名前だよ」
 そう少女に言う。

 「……叔父さん?」
 そう不思議そうに女性が言う。

 おぃおぃ、目の前のいるだろ……という突っ込みの台詞を吐き出す寸前で止める。

 「ん……?」
 自分の手のひらを眺めながら、なんとなく違和感を覚えながら……
 周りをきょろきょろする。
 どうにも、姿を映すような反射物はない。

 「はい……」
 目の前の少女が意図を読んだように手鏡を渡す。

 「お?、誰だ……このイケメンは……」
 その鏡に映った男の顔を見て言う。

 「……の顔じゃないの?」
 そう興味なさそうに少女が返す。

 そういや、ついさっき話していた神とか名乗っていた女が言っていたような……
 召喚者と同じ年になるとかなんとか……

 「学園と反乱軍が戦ってる……学園側が持っていた召喚石、それを学園長が私に託して、戦況を覆せる相手を召喚しろと言われた……」
 そう目の前の少女が言う。

 「……荷が重くないか……」
 ほとんど理解できていないが……
 自分は多分、なんらかの即戦力になるべく……戦況を覆す切り札的な何かとして呼ばれたのだろうか……

 「で、お譲様は誰で……そのおじさんはこの異世界《せかい》で何をすればいいんだい?」
 きょろきょろと周りを見るが……やはり状況を把握するには、
 目の前の少女から話を聞くのが手っ取り早い。

 「ルディナ=ブラックスミス……」
 そう彼女は自分の名を名乗る。
 
 ・・・

 そして、簡単に彼女はこの異世界の話と……
 今がどういう状況なのかを説明する。

 「なるほど……で、おじさんは君をルディナちゃんと共にその反逆の勇者様とやらと戦えばいいのかな?」
 そう……尋ねる。

 「そうなるけど……それでいいの?」
 そう……返される。

 「この状況のおじさんに、拒否権はあるのかな……」
 ……そう質問するが……

 「ナキ……だっけ?なんで、自分のこと、おじさんって言うの?」
 そう関係ない質問を返される。

 「……まぁ、そうだよねぇ」
 返し忘れていた手鏡に映る自分を見ながら……

 「不思議な話だよねぇ……」
 自分がこの異世界に来た経緯を思い返しながら……

 「夢なら……覚めてほしいのか……覚めないでほしいのか……」
 そう呟く。

 「まぁ……どちらにせよ、第二の人生……おじさんなりに楽しんでみるさ」
 そう笑ってルディナを見る。

 「で……本当に……ナキは、学園《こっち》側でいいの?」
 そう、再び尋ねる。

 「まぁ、学園側も反乱軍側も興味は無いけどねぇ……」
 にやにやとルディナを見る。

 「……なによ」
 少し警戒するように身体を遠ざける。

 「ねぇ……こっちの異世界《せかい》じゃ、いまのおじさんはイケてるのかな?」
 そう尋ねる。

 「100点中……15点!」
 ルディナに言われ、悲しそうに肩を落とす。

 「おじさんを仲間につけたいなら、嘘でも80点代はつけるべきだと思うよ」
 そう今からでも遅くないよとちらりと目線を送る。

 「じゃぁ……81点……」
 反らした顔の瞳だけでナキを見る。

 「……ありがとぉ」
 全く嬉しくなさそうにナキが返す。

 「それ……(20点中……)1点ってことね……」
 拗ねるようにナキが言った……

 ・・・

 「召喚……終わったのか?」
 ニアンが姿を現す。

 自然と目線がナキに集まる。

 「……お前、能力《ちから》は……」
 そうニアンがナキに尋ねる。

 「誰ぇ?人に色々聞く前に、まずは名乗りなよ……この学園はそんなことも教えてくれないのかなぁ?」
 そうナキが返す。

 「……状況を把握していないのか……貴様がなぜここに呼ばれたのか、暢気に自己紹介している暇などない」
 そうニアンが言う。

 「いいよ……支持は全部、彼女《ルディナ》から聞く」
 そう男を追い払おうとするが……

 「彼女《そ》の命令権を持つのは僕だ」
 そう二人を睨むように……
 ルディナは黙って冷たい目線をニアンに送っている。

 「……あんた、部下に慕われてないだろ」
 そうナキがニアンに返す。
 その言葉の意図が掴めずニアンが冷たくナキを睨む。

 「……彼女が来たばかりの自分《ナキ》を見る目とあんたを見る目が変わってない……警戒されてるって言ってるんだよ」
 そうニアンへ告げる。

 「どうでもいい……お前もそいつも、僕に逆らうことなど許されない」
 そうニアンが返す。

 「ルディナちゃん……彼らは平等な世界を作りたいんじゃないのかい?」
 そう不思議そうに尋ねる。

 「……まぁ、善意なんてものにはいつも別の目的《したごころ》があるものさ……」
 そうナキが返す。

 「……ペラペラと口だけは動く奴だな、取りあえず結果を出せ」
 そうニアンが冷たくナキに言い立ち去る。

 「べぇー」
 ナキがその後姿に舌をだす。

 「時にルディナちゃん、おじさんには無いのかい、アレ?」
 そうニアンの後ろ姿の制服を指をさし聞く。

 「……貰えるとは思うけど……」
 そう、今……そこを気にする?という顔でナキを見る。
 ペロンッ

 「きゃっ!!」
 そのナキの行動に……

 「なにっ!!」
 そうまゆをハの字の逆に曲げて

 「いや……こっちの異世界《せかい》の制服というのがどんなものかと……」
 そうナキが答える。

 「なんで、その確認に人のお尻を触るのよっ!!」
 両手でそのお尻をガードしながらルディナが訴える。

 「いや……触り心地……良さそうだな……って」
 そう、当たり前のように返す。

 「どっちの話よっ!!」
 制服とお尻どっちの話なのか……

 「最高っ!!」
 謎にいい笑顔で、親指を立てる男の顔面に少女の鉄拳がはいる。

 ・
 ・
 ・


 リヴァーの指示通りに道を進んでいく。

 通路を抜けたひらいた部屋に少し小柄の一人の黒髪ショートカットの女の子が立っている。
 

 「クロハ……」
 その女の子の名前を呼ぶ。

 そう呼ばれた少女は、ご主人様大好きの子犬のように、レスの方を即座に向くと、
 凄いスピードで突進してくる。

 「……レス……3体、やっつけた……褒めていいよ」
 そう自分の頭を差し出す。
 見ると……その場に一人の生徒が転がっている。
 気を失っているようだ……

 これまでにあと二人、彼女はここまでに倒してきたということか……

 「さすがだな、クロハ」
 そう頭を撫でてやる。

 「うん……」
 そう、心地良さそうに撫でられる。

 「レスさん……」
 その言葉に……
 自分が入ってきた逆側の通路に目を送る。

 セミロングの水色の髪……眼鏡をかけた女子生徒。

 「はぁ~、だるい、サボれる場所探してたのに……」
 そうこちらを睨みつける少女……
 ともう一人……
 多分、メインとなるのはセミロングの水色の髪の眼鏡少女……
 もう一人は、前回同様に瘴気による基礎能力を不正するための耐性のための、
 サポート要員だろうか……

 「別に俺たちは無理に争う気はないんだけどさ」
 そう俺は彼女に問いかけるが……

 「一年A組……シェル=グラフィティ……参ります」
 その言葉と共にいつの間にか右手には鞘に収まる刀を手にしている。

 刀を横にして、自分の目の前に差出……
 左手で鞘を握ると……

 「獅子王《ししおう》……抜刀」
 シェルがその鞘から刃を抜き取る。

 クロハも刃の無い柄を取り出すと目の前に構える。

 「……小鳥丸《こがらすまる》……抜刀」
 そうクロハが告げると、漆黒の刃が現れる。

 もう一人の生徒がシェルに強化能力を送る。

 同時に地面を蹴り、その刀がぶつかり合う。
 シェルという女子生徒、だるそうに機敏さを感じない振る舞いをしておきながらも、その動きは相当なものだ。
 それでも……

 クロハがその小柄な身体も生かし、素早く身体を回転させて相手の隙をつくように、次々と攻撃を入れる。
 シェルもそれに対応するように刃をぶつけ防ぐが……
 優勢なのはクロハだろう……クロハが攻撃、シェルは防戦といった形が続いている。

 俺、個人の分析に過ぎないが……
 見てきた刀術使いの中でもクロハは頭ひとつ抜けているようにも思える。
 もちろん、ツキヨやクレイの刀技術も相当なものだ……
 そして、その能力《かたなののうりょく》もプラスされる訳だが、

 近距離能力、刀技術に置いては……
 1年後、2年後に……アストリア、ライトの座に並べる人物は彼女だろうと思う。

 「落ちこぼれの特別クラスが、相変わらず生意気……」
 そうシェルがつまらなそうに言う。
 何処か余裕すら感じる目で……

 「倒す……そして……レスに……もう一度、褒めてもらう」
 そう、クロハがシェルを睨む。

 
 「刀技……牙閃《がせん》」
 地を蹴り一気にシェルの元に突き進む……

 「獅子王……その力を示せっ」
 そうシェルが言うと、ぐらりと彼女の周辺が歪む。
 構わず、クロハがその空間に突っ込むが……

 ぐらりとあきらかに、クロハは体制を崩すように姿勢が低くなる。
 そのまま、クロハはシェルに一撃を加えようと突っ込むが、
 体制を崩したその一撃を簡単にシェルがはじき返す。

 よろりと地面に膝をつき、クロハは瞬時に後ろに飛び距離をとる。

 「刀技……牙閃《がせん》」
 再びクロハが刀《こがらすまる》を構える。

 「獅子猛攻……」
 そう、シェルが同じく刀を構える。

 同時にクロハとシェルが地面を蹴り上げ互いに突進するが……
 寸前でクロハが常体を反らして、シェルの攻撃を回避する。

 小柄なクロハよりかは、少しだけ体が大きい程度……

 それなのに、シェルが突進した地面が削れるように地面に跡を残している。
 彼女《シェル》がそんな重量があるとは思えない……
 それでも、あのままぶつかり合えば、身軽なクロハは簡単に弾き飛ばされる。

 ……探る、懸命に……
 突破口はあるのか……

 もちろん、クロハの実力を疑う訳ではない……
 それでも……俺は彼女に何をしてやれるか……

 それだけを懸命に考える……

 「刀技……光芒《こうぼう》」
 そうクロハの刀から刀風が飛ぶ。

 「力を示せ……獅子王」
 その言葉と共に再び彼女の周辺が歪む。

 刀風がその領域に入る。

 ぐにゃりと歪みと共に、刀風の動きが鈍る。
 刀風《それ》を容易にシェルが回避する。

 シェルが刀を構える。

 「猪突猛進《ちょとつもうしん》……」
 そうシェルが刀を振るう。

 そしてその攻撃《とっぷう》は、地面を削るようにクロハに向かう。

 クロハは身体を反らしそれを回避する。
 運動能力、攻撃魔力……それはクロハの方が上だ……
 俺の目線からでもそれはわかる……

 なのに……完全にそれらをシェルが支配しているように見える。
 上手く説明ができないが……
 小柄なクロハ、シェルの大きさも差ほど大差はない……
 それでも、シェルの身体がクロハの2倍も3倍もあるようにさえ見える……

 「重力操作……」
 リヴァーが告げる……

 「重力操作……?」
 そうオウム返しのように聞き返す

 格闘競技に置いて、軽量級と重量級では軽量級はかなり不利となる。
 クロハ程の実力ならそんなハンデも関係ないのかもしれないが……

 地面を削るほどの一撃、一撃だ……
 超がつくほどの軽量級であるクロハには、余りにも相性が悪い相手なのかもしれない……。

 「負けない……私は……特別組《レス》の英雄《エース》……そうなると決めた……」
 そう誰《レス》かのために……

 考える……
 彼女のために俺が出来ることを……

 何を利用する?
 彼女《クロハ》の身軽さを……?

 何を利用する……?
 彼女《シェル》の能力《じゅうりょく》を……?


 彼女《クロハ》の欠点《ちょうしょ》を生かせ……
 彼女《シェル》の長所《けってん》を利用しろ……

 
 クロハとシェルが互いに静かに睨み合う……
 互いに自分が負ける未来を想像していないかのよ
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