耳から溶かして、声で愛して

えつこ

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5話

9 *

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「川元、乳首に集中して……、そう……、気持ちよくなって……、二……」
 暗示のように言葉を鼓膜に流し込まれ、背筋がぞくぞくとする。乳首に意識を集中させると、感度が増す気がした。
「っ、あ……はぁっ……」
「乳首、気持ちいいね……。俺も、川元のおまんこに締めつけられて、すごく気持ちいい……。一……」
 後孔は峰谷の性器がみっちりと入っている。意識しないようにしていたのに、腹の中の熱さを自覚してしまい、俺は熱い息を吐いた。乳首も後孔も性器も、限界だった。カウントダウンが早く終わって欲しい。
「みねや、はやくっ……」
 俺は縋るように峰谷を振り返る。峰谷は興奮した様子で、俺を見下ろしていた。その獰猛な視線に晒され、俺は鼓動が高鳴る。
「ゼロ……。イけ」
「あっ、ひっ……イく、っ、イく、あ、ああああっ……」
 俺は達した衝撃に、ベッドに顔を埋め、シーツを握りしめた。頭の先から、つま先まで、快感が走り抜け、肌がひりつく。中イキの強烈さに、俺は口を開けたまま、荒い息を繰り返した。開いたままの口からよだれが顎を伝う。びゅくびゅくと吐き出した精液はシーツに飛び散った。
「川元、あんまり締めないで……」
 峰谷は苦しそうに言いながら、ゆさゆさと腰を押しつけた。腹の中に熱さを感じ、峰谷がゴムの中に射精したことを悟る。
 しばらくは俺も峰谷も呼吸を整えていたが、峰谷が腰を引いたことで、俺はようやく解放された。
 俺は重い身体をベッドに沈みこませ、これで終わりだと安心していた。俺から強請ったとはいえ、ねちっこい峰谷のセックスに、もうお腹いっぱいだった。
 しかし、峰谷はそうではなかったらしい。うつ伏せになっている俺の身体を仰向けにした峰谷は、にこにこと笑っていた。
「川元、もっと気持ちよくなろう」



「川元、気持ちいい?」
「きもちいいっ、あ、みねやぁ、あぁっ」
 俺は峰谷に下から突き上げられ、身体はゆさゆさと揺れる。ベッドのスプリングが軋んだ。いわゆる対面座位というやつで、俺は目の前にいる峰谷の肩に縋りつくことで、姿勢を維持していた。自分の体重で、より深く入っている峰谷の性器は熱くて固い。俺の後はすっかり受け入れる器官に成り果てていたが、結合部の熱さには慣れない。
「あっ、おく、とんとんって、すきぃ」
 奥の肉壁を何度もつかれ、腰が溶けるように気持ちいい。前立腺も圧されて、矯声が溢れる。
「可愛い、川元。そんな顔、俺にしか見せないで」
 情欲にまみれた峰谷の瞳が細められる。自分の顔がどうなってるかわからないけど、ひどい顔をしている自覚はある。
「川元、可愛い。好き、キスしたい、川元、キスしていい?」
 峰谷は熱に浮かされたように、低い声で呟く。セックスしてるのだから、今更キスの許可を取る律儀さが可笑しかった。しかし、問題なのは、俺がまだキスを経験したことがないことだ。
 初めてのセックスだけではなく、初めてのキスまでを峰谷に奪われるなんて、と俺は答えに躊躇う。峰谷は腰の動きを止め、少し上目遣いで、俺に視線を飛ばしてくる。
「だめ?」
 同じ年の男に、可愛げにおねだりされ、俺の胸はなぜか高鳴る。俺は逡巡した後、首を縦に振った。ここまでくれば、ファーストキスくらい、と投げやりな気持ちと、純粋にキスを経験したいという欲望だった。
 峰谷は嬉しそうに微笑み、俺に顔を近づける。形のいい、薄い峰谷の唇に、目が釘付けになる。しかし、キスをするときは、目を閉じるものかもしれないと思い、慌てて目を閉じた。
 ふにっと、唇に柔らかい感触。すぐ離れたと思ったら、また押し当てられ、今度は少し長く続いた。ゆっくり目を開けると、峰谷はなぜか恥ずかし気に目を伏せていた。
「俺、川元とキス……」
 頬を赤らめ、初心な反応を見せる峰谷に、本当に俺のことが好きなのだ、と認識する。俺まで恥ずかしくなり、かぁと頬が熱くなった。
「川元、照れてるの可愛い」
「照れてるのは峰谷のほ、っんぅ……」
  言葉の途中で、峰谷に唇を押しつけられる。そのまま、ちゅ、ちゅ、と何度もキスをされた。峰谷の勢いに、俺は圧される。呼吸をするタイミングがわからず、息苦しさを感じ唇を開いた。すると、ぬるりと口内に熱い何かが侵入してくる。
「っん……はっ、んんぅ……」
 自由に口内を動くそれの正体が、峰谷の舌であることにようやく気づいた。上顎や頬の内側を舌に撫でられると、背筋にぞくぞくと快感が走る。いつのまにか峰谷の手が後頭部を押さえていて、逃げることができなかった。
「んぁ、……っん、っ……」
 器用に動く舌に、俺は翻弄された。舌を絡みとられ、呼吸を奪われる。可愛らしいファーストキスから、一気に卑猥なものになり、その快感に下半身が疼く。
 ようやく峰谷の唇が離れ、俺は酸素を求めて大きく口を開けた。口の周りはよだれでベタつき、口内に溜まったよだれを俺は飲みこむ。呼吸を繰り返していると、再び峰谷に唇を奪われる。
「……っん、……み…やぅ……んんっ!」
 キスに気を取られていると、急に下から突き上げられ、俺は峰谷に縋った。峰谷は腰を動かしながら、俺自身も扱く。
「んっ、……んぅ、っ……んんっ」
 口内と腹の中、性器を攻められて、俺の身体はびくびくと跳ねる。
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