お隣さんはセックスフレンド

えつこ

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1-2.先生と生徒ごっこ

2 *

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「設定?」
 突然の王輝の質問に遼は首を傾げた。
「せっかくセーラー服着てるんだから、そういうシチュエーションとかプレイだと思って」
 王輝が付け足すように説明して、遼はようやく納得がいった。イメージプレイをしようと誘われているのだ。セーラー服だけでも十分刺激的なのに、想像するだけで身体の熱が高まる気がした。
「それか援交でもいいよ」
 さらに付け足された選択肢に、遼は不謹慎だと思う前に興奮してしまった。落ち着けと額に手を当てうつむく。王輝の視線から晒されると、どうも気持ちが昂ってしまう。先生にしろ、先輩にしろ、なんだっていい。とりあえず王輝には無理をさせないようにと、心を落ち着ける。
 急にうつむいてしまった遼のつむじを王輝は眺めていた。おもしろいほどに反応する遼に、王輝は楽しくて仕方なかった。これ以上意地悪するのはやめてあげよう。考えすぎて頭から煙がでそうな遼の顎をくいっとあげて、じっと目を合わせる。遼の瞳には戸惑いと欲情が滲む。
「じゃあ俺が生徒で、佐季が先生ね」
 まるでレストランで注文するような軽い口調で、王輝は言い放った。遼が同意する間もなく、王輝はするりと遼の上から降りた。丈の短いスカートが揺れ、ちらりと見える白い肌の太ももが眩しい。王輝は遼の手を引っ張り、立ち上がらせる。185センチの遼と、178センチの王輝。自然と遼が見下ろす姿勢になる。
「放課後、誰もいない教室」
 王輝はそう言いながら遼の手を引き、リビングテーブルの方へと移動した。遼はわけがわからず、手を引かれるままだ。
「佐季は俺の担任で、俺は先生のことを誘惑する悪い生徒で…」
「何を…?」
「俺は先生のことが好きでたまらないから、セックスがしたい」
 リビングテーブルに腰かけ、スカートから伸びる足を見せつけてくる。遼はようやく王輝がプレイの設定を説明していることを理解した。
「ちょっと待ってくれ」
「だめ、待てない」
 王輝は遼の手をぐっと引っ張る。遼はバランスを崩して、王輝の方に倒れそうになり、慌ててテーブルに手をついた。遼と王輝の顔がかなり近くなる。少しでも動けば唇が触れそうな距離。二人は何も言わず見つめ合った。王輝は手をゆっくりと繋ぎ変え、自らの指と遼の指を絡ませるように繋いだ。触れる手のひらの面積が増えるだけで、遼の鼓動は速まる。
「ね、佐季先生。イケないことしようよ」
 王輝が囁く。遼はぞくりと肌が粟立つのを感じた。
 ここは放課後の教室、目の前にいる王輝は生徒で、夕焼けが窓から差し込んで、自分は先生。これはイケない関係だ。遼の脳内に想像がどんどん膨らんでいく。頭では滑稽だとわかっているのに、身体は正直に動いた。
「っ、今ヶ瀬」
 遼は王輝にキスをした。そしてテーブルについていた手を王輝のセーラー服の中に滑り込ませる。うっすら割れた腹筋をなぞり、滑らかな肌を味わうように触れた。繋がれた手のひらが熱い。王輝の唇をこじ開け、口内へと舌を入れた。胸の突起を指でつまみ、弾いてやると、びくんと王輝の身体が揺れた。
 王輝は反撃するかのように、寄りかかってくる遼自身を膝でぐりぐりと刺激した。お互いくぐもった声をあげ、一度唇が離れる。二人の唇に繋がった唾液の糸が、すっと切れた。
「先生、がっつきすぎ」
「今ヶ瀬が誘ってきたからだろ」
 遼の演技とも素ともわからない言葉に、王輝はふっと笑いをもらした。以前遼が「演技が死ぬほど苦手だ」と言っていたから、素なのかもしれない。
 繋いでいた手を離し、遼の腰を引き寄せた王輝は、遼のスウェットと下着をさげ、遼自身を取り出した。ゆるく立ちあがった遼ものを優しく扱く。先走りが溢れて、卑猥な水音が部屋に響いた。
 遼は快感に流されそうになりながら、王輝の履いているスカートをめくる。スカートの中を見るというめったにしないことに、遼は少なからず興奮していた。女性ものの下着だったらどうしようという不安はすぐに払拭され、いつも履いているボクサーパンツが現れた。先走りでうっすらと染みができている。王輝が感じていることに安心を覚えた。下着を下げ、王輝自身に直接触れた。
「せっかくだから一緒にしようよ」
 王輝はいたずらに笑って、二人の勃ちあがった性器をぴったりと合わせた。お互い熱が伝わりあって、より身体が熱くなる。遼は自身と王輝のものを一緒に握って、上下に手を動かした。スカートの裾がめくれ、性器が勃あがっている光景に、遼の思考が錯綜する。さきほど遼がぬがせた王輝のボクサーパンツはすとんと床に落ちた。
「先生のおっきいね」
 熱い息を吐きながら、うっとりとした表情を王輝は見せた。いつも見ているだろうに、まるで初めて見たような言い方で、遼はドキッとする。それは王輝の演技がうまいからだった。遼は演技をするつもりはなかったが、王輝につられて言葉が飛びだす。
「先生とこういうことするの想像してたのか?」
「うん。ずっとしたいと思ってた」
「悪い子だ」
 にっと挑発的な笑みを見せた遼に、王輝は背中がぞくりとした。想像以上に興奮して、イきそうになるのを我慢する。王輝は遼の手を制止し、スカートを持ち上げて、足を大きく開いた。
「準備してあるから、挿れても大丈夫」
 王輝は誘うような視線で遼を見つめる。さきほどシャワーを浴びた際に準備はしていた。
 遼はベッドに移動しなければと思ったが、教室という設定だったと思い出す。設定を覆すのは簡単だが、王輝の身体に負担をかけたくない気持ちはあったので、着ていたTシャツを脱ぎテーブルの上に敷いた。
「先生って着やせするタイプだよね」
 からかうように言った王輝を遼はゆっくりとテーブルの上に押し倒す。楽しそうに笑っている王輝の唇を塞ぎ、スカートの中に手を入れる。太ももを撫で、王輝の後ろにゆっくりと指を差し入れた。抵抗感なく遼の指が飲みこまれていく。王輝が言うように準備をしてあるようだ。遼は指の本数を増やし、中を広げるように動かした。王輝の中は熱く、遼の指を奥へと誘うように動く。さきほど王輝がローションを仕込んでいたため、中は十分に濡れていた。唇が離れると、王輝はセーラー服の胸ポケットからゴムを取り出した。
「本当は生でしたいんだけどな」
 王輝の言葉が本気なのか演技なのかわからず、遼は頭を抱えたくなった。連なったままのゴムを受け取った遼は、とりあえず一つ切り離して、自身に装着した。残りはテーブルに置いておく。
 遼の昂ったものを王輝の後ろへあてがう。亀頭が押し入ってくる感覚に、王輝は身体の力を抜くために深呼吸をする。何度セックスしても圧迫感には慣れない。しかし最初に比べるとスムーズに入るようにはなっていて、遼に身体を作り替えられていると感じていた。
 遼は腰を進めながら、王輝の顔を伺う。だいたい気持ちよさそうな表情を見せるが、時折苦しそうに眉間にしわを寄せるときがある。今がそうで、少しでもリラックスして欲しくて、額や頬にキスをした。表情がやわらいだのを見て、ぐっと最後まで挿れた。二人は大きく息を吐く。
「入っ、た…?」
「うん」
「嬉しい。俺の初めて、先生にあげちゃった」
 王輝が本当に嬉しそうにキラキラ瞳を輝かせるから、遼は初めてを奪ってしまった気になる。独占欲のような、征服欲のような、そんな感覚が腹の底から湧いてきた。
 遼は王輝の初めてを知らなかった。セフレ関係になって初めてセックスをしたとき、遼のことをリードしたのは王輝だったので、初めてではないんだろうと察していた。聞いてみたい気持ちはあったが、人の性に関しての質問は聞きにくいし、自分に聞く権利はないと思っていた。だから今だけは初めての気分を味わおうと思った。
 本当に初めてだったらよかったのにと王輝は思っていた。自らの初めては全然知らない奴に奪われてしまった。その話は誰にもしたことがないし、できるはずがなかった。今でもたまにその時の夢を見る。一生忘れることはないだろう。でも今だけは初めての設定だから、それを楽しみたかった。
 

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