家に帰ると推しがいます。

えつこ

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2.邂逅

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「イオくん……好き……」

 総司はチューハイをぐいっと飲み干した後、ぽつりと呟いた。
 リビングのローテーブルの上には、ビールやチューハイの缶、つまみやお菓子が並ぶ。さらにイオのブロマイドやチェキも所狭しと並んでいた。
 すでに四本の缶を空にしており、総司の顔はうっすらと赤い。思考はぼんやりとして、酩酊状態だ。
 ワイシャツの上からTwinMeteorのグッズのTシャツを着て、ズボンはスラックスのままという格好で、リビングでグダグダと飲んでいた。誰も止める者がいないため、五本目の缶に手を伸ばす。よりにもよってアルコール度数が高いチューハイだが、総司は全く気付かず、一口飲む。

「ゔ……、あぁ……」

 がつんとアルコールが頭に響く感じに、総司は呻いた。飲んでも全く楽しくならないのは、早々に気づいていたが、引くに引けない。それに、全て忘れられるのなら、何でもよかった。
 缶を片手に、スマホではTwitterのTLを眺める。TwinMeteorのファンの呟きは、みんな同様に暗く、鬱々している。

「イオくん……」

 総司は半分泣きながら、チューハイをあおる。
 Twitterには『イオくんに会いたい』『イオくんが世界で一番好き』『イオくん』『イオくんに会えないなんて無理』『イオくんまじ天使。下界に降り立った希望の光』『イオくん好き』『イオくんの笑顔が見たい』と心境を書きこんでいく。書きこめば書きこむほど泣けてきて、またチューハイをぐびぐびと飲んだ。
 五本目の缶が空になったとき、ピンポンと腑抜けたチャイムの音が鳴った。聞き間違いかと思ったが、もう一度チャイムが鳴る。

(こんな時間に誰だよ……)

 時刻は夜の十時。訪問者に心当たりがない総司は、思わず舌打ちをした。
 よたよたとしながら立ち上がり、壁に設置されたインターホンの画面を確認する。解像度は低いが、一人の人物が映っていた。

「…………は?」

 総司は思わず声を零す。
 そこにいたのは、天使、もとい、イオだった。


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