34 / 110
第三章 後輩、キモの化身と相対す
第34話
しおりを挟む
「ちょっと待ってくださいよ! ダンジョンでの稼ぎがほとんどないってどういうことなんですか!?」
今宮は憤慨していた。
そらそうだろ、あんだけ気持ち悪い芋虫を散々退治してあんな気持ち悪いバケモンみたいなクソムシキメラに追いかけ回され。
最後には俺の背中と丸出しのケツを凝視した結果の報酬でありそのダンジョンでの稼ぎが正直微妙ですとなったのだ。しょうがない反応である。
何故にダンジョンの稼ぎがしょぼくなったのか、その理由簡単だ。
まずグリーンワームの魔石についてだがこれは俺と今宮で魔石の半分ずつを持っていた。
お互いに用意したエコバッグの中に魔石を入れていたのだが俺がレインボーフレアを発動した時に衣類と共に俺の分の魔石も蒸発したのだ。
いやあるいはあのクソムシキメラの黒い液体を食らった時には既に酸で溶けていた可能性もある、ここら辺はよくわからないけど取り敢えずヤツの攻撃のせいだと言っておいた。
お前を庇ったから俺の分の魔石はなくなったんだよ、ということにしておいたのだ。
そして当たり前だがそのクソムシキメラの魔石もドロップアイテムも何も残らなかったからな。
これについては仕方がない、それらのアイテムはゴッドブレイクアローで消滅したからな。
あるいは魔石やらドロップアイテムとはダンジョンに出てくるモンスターの死骸が残らないと手に入らないのかもな。
だってその死体が光となって変化して現れるからな、つまり死体が残らないとその手のドロップアイテムはゼロになるというのがダンジョンのルールなのかもしれない。
そんなわけで今回のダンジョン探索の報酬は今宮 が持っていた袋の中にある魔石だけである。
それを二人で分けるのだからまあ稼ぎなんて数万円あるかないかだろう。
「納得できないんですけど、本当に納得できないんですけど!」
「納得できなくてもこれは現実なんだよ。文句言うなよ社会なんてそんなもんだろ、諦めろ」
ついさっきとんでもなく強そうなユニークモンスターを倒した俺だが社会の理不尽さとはユニークモンスター以上にいろんな意味で強大なのである。
スマホかなんかで動画でも撮ってない限り、ユニークモンスターの討伐記録なんて残らない。
その上ドロップアイテムもなしじゃ倒したとしても言っても信用されはしないのだ。
つまり探索者ギルドに行ってユニークモンスターを倒しましたと抜かしても一円ももらえないのである。
せめてクモ足の一本でも残っていればな…。
「う~私がスマホで先輩の勇姿を動画撮影していれば……」
「そんなことしたら全裸で虹色に輝く変態の映像が拡散されるだろうが。俺が社会的に死ぬわ」
そしてちなみにの話なのだが、やはりあのユニークモンスターを倒した時にまたあのアナウンスが発生した。
あの虫の名前は魔王虫ジェノサイドワームという名前らしい、やっぱりユニークモンスターだった。
そしてそれを倒したことによって俺は新たな称号 『魔王虫の狩人 』をゲットした。
なんか虫系のモンスターとの戦闘でドロップアイテムのドロップ率が上がったりステータス補正が強化されたりするらしい。
これもなかなかに強力な称号だ、無論 『神殺し(偽)』には及ばないが。
本当に『神殺し(偽)』の称号のぶっ壊れ具合は異常だぜ、ユニークモンスターを倒して得られる称号でも及ばないんだからな。
はっきり言って意味がわからない。
そして今宮についてだとこいつも新たな称号を得た、その称号とは『キモキモハンター』だ。
ステータス補正はそこそこでステータスランクが殆どDかCくらいに強化される立派な称号である。
しかも特殊能力が付与されている、なんと今宮がキモいと感じたモンスターと戦闘を行う時にステータス補正がさらに強化されるのだ。
対象範囲がこいつの気持ち次第なのは微妙なところだが、それなりに広い範囲に効果があるというのでなかなかに当たりの称号と言えるだろう。
俺が手に入れた『魔王虫の狩人』は虫全般に効果がある称号なのだが、俺はもう虫系モンスターとは金輪際戦いたくないのでこの称号が輝く日は多分来ないと断言する。
ちなみに今の俺は全裸ではない、今宮をパシらせて用意させた服を着用して靴を履いている。
まあ金の方は俺が出しているのでこいつに文句は言わせない。
何とか全裸から復帰した俺はこれから探索者ギルドに向かうことにした。
魔石を換金にしてもらうつもりだ。
道中、トボトボ歩きながら今宮と話をする。
「もうちょっと威力の弱い攻撃スキルが欲しいよな」
「というか先輩がもっと加減してあのキモムシ野郎を倒せば良かったんです」
「仕方がないだろアイツはお前に…いやっ俺たちが必死こいて稼いだ魔石に手を出したからな。これは許されないことだ、全く…」
「……まあそういうことならいいですけど~」
今宮が口をアヒル口にしてなにやら知ったかぶったようなことを言ってくる。
妙に似合ってるのがむかつくな。
「それじゃあ換金して出来た金で何か食いに行きますか!」
「……そうだな」
何はともあれ、生きて帰って来れたわけだし今日のところはこれで納得するか。
今宮は憤慨していた。
そらそうだろ、あんだけ気持ち悪い芋虫を散々退治してあんな気持ち悪いバケモンみたいなクソムシキメラに追いかけ回され。
最後には俺の背中と丸出しのケツを凝視した結果の報酬でありそのダンジョンでの稼ぎが正直微妙ですとなったのだ。しょうがない反応である。
何故にダンジョンの稼ぎがしょぼくなったのか、その理由簡単だ。
まずグリーンワームの魔石についてだがこれは俺と今宮で魔石の半分ずつを持っていた。
お互いに用意したエコバッグの中に魔石を入れていたのだが俺がレインボーフレアを発動した時に衣類と共に俺の分の魔石も蒸発したのだ。
いやあるいはあのクソムシキメラの黒い液体を食らった時には既に酸で溶けていた可能性もある、ここら辺はよくわからないけど取り敢えずヤツの攻撃のせいだと言っておいた。
お前を庇ったから俺の分の魔石はなくなったんだよ、ということにしておいたのだ。
そして当たり前だがそのクソムシキメラの魔石もドロップアイテムも何も残らなかったからな。
これについては仕方がない、それらのアイテムはゴッドブレイクアローで消滅したからな。
あるいは魔石やらドロップアイテムとはダンジョンに出てくるモンスターの死骸が残らないと手に入らないのかもな。
だってその死体が光となって変化して現れるからな、つまり死体が残らないとその手のドロップアイテムはゼロになるというのがダンジョンのルールなのかもしれない。
そんなわけで今回のダンジョン探索の報酬は今宮 が持っていた袋の中にある魔石だけである。
それを二人で分けるのだからまあ稼ぎなんて数万円あるかないかだろう。
「納得できないんですけど、本当に納得できないんですけど!」
「納得できなくてもこれは現実なんだよ。文句言うなよ社会なんてそんなもんだろ、諦めろ」
ついさっきとんでもなく強そうなユニークモンスターを倒した俺だが社会の理不尽さとはユニークモンスター以上にいろんな意味で強大なのである。
スマホかなんかで動画でも撮ってない限り、ユニークモンスターの討伐記録なんて残らない。
その上ドロップアイテムもなしじゃ倒したとしても言っても信用されはしないのだ。
つまり探索者ギルドに行ってユニークモンスターを倒しましたと抜かしても一円ももらえないのである。
せめてクモ足の一本でも残っていればな…。
「う~私がスマホで先輩の勇姿を動画撮影していれば……」
「そんなことしたら全裸で虹色に輝く変態の映像が拡散されるだろうが。俺が社会的に死ぬわ」
そしてちなみにの話なのだが、やはりあのユニークモンスターを倒した時にまたあのアナウンスが発生した。
あの虫の名前は魔王虫ジェノサイドワームという名前らしい、やっぱりユニークモンスターだった。
そしてそれを倒したことによって俺は新たな称号 『魔王虫の狩人 』をゲットした。
なんか虫系のモンスターとの戦闘でドロップアイテムのドロップ率が上がったりステータス補正が強化されたりするらしい。
これもなかなかに強力な称号だ、無論 『神殺し(偽)』には及ばないが。
本当に『神殺し(偽)』の称号のぶっ壊れ具合は異常だぜ、ユニークモンスターを倒して得られる称号でも及ばないんだからな。
はっきり言って意味がわからない。
そして今宮についてだとこいつも新たな称号を得た、その称号とは『キモキモハンター』だ。
ステータス補正はそこそこでステータスランクが殆どDかCくらいに強化される立派な称号である。
しかも特殊能力が付与されている、なんと今宮がキモいと感じたモンスターと戦闘を行う時にステータス補正がさらに強化されるのだ。
対象範囲がこいつの気持ち次第なのは微妙なところだが、それなりに広い範囲に効果があるというのでなかなかに当たりの称号と言えるだろう。
俺が手に入れた『魔王虫の狩人』は虫全般に効果がある称号なのだが、俺はもう虫系モンスターとは金輪際戦いたくないのでこの称号が輝く日は多分来ないと断言する。
ちなみに今の俺は全裸ではない、今宮をパシらせて用意させた服を着用して靴を履いている。
まあ金の方は俺が出しているのでこいつに文句は言わせない。
何とか全裸から復帰した俺はこれから探索者ギルドに向かうことにした。
魔石を換金にしてもらうつもりだ。
道中、トボトボ歩きながら今宮と話をする。
「もうちょっと威力の弱い攻撃スキルが欲しいよな」
「というか先輩がもっと加減してあのキモムシ野郎を倒せば良かったんです」
「仕方がないだろアイツはお前に…いやっ俺たちが必死こいて稼いだ魔石に手を出したからな。これは許されないことだ、全く…」
「……まあそういうことならいいですけど~」
今宮が口をアヒル口にしてなにやら知ったかぶったようなことを言ってくる。
妙に似合ってるのがむかつくな。
「それじゃあ換金して出来た金で何か食いに行きますか!」
「……そうだな」
何はともあれ、生きて帰って来れたわけだし今日のところはこれで納得するか。
22
あなたにおすすめの小説
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる