異世界の魔法学園で用務員をしてる産廃キャラおじさんは異次元ダンジョンで人権キャラに成り上がる(元から最強のクラスの魔法使いだっただけです)

どらいあい

文字の大きさ
1 / 57

第1話 用務員のおじさん

しおりを挟む
 ベルフォード学園、そこは世界最高峰の魔法学校である。通う生徒は世界各国の有名貴族、教師もまた然りでその教育も最高水準の物だ。

 学園の敷地も広大で様々な施設やら森や山や湖などもあり、日夜様々な魔法の研究をしている。
 しかしそんなファンタジーな学園にもあるのだ。

 イジメと言うのは。
 どうやら教育が最高水準でも何も学ぶ気がない者には無意味らしい。

「オイッ! 薄汚い平民の清掃員が図に乗るなよ!」

 短い金髪の少年をリーダーにした三人の生徒が倒れてる中年の男を足蹴にしていた。
 少年は学園の生徒で貴族、中年は平民だ。
 こうなった経緯は少年曰く自身が通りかかった時に中年がホウキで飛ばしたホコリが靴に付いたとかなんとか。

 ちなみに中年のホウキは少年を避けるように動いていた。
 単純に少年は少し前の授業で教師に怒られて、それの鬱憤を中年にぶつけているだけだ。

 完全に言い掛かりだった、しかし貴族と平民の関係とはファンタジーな世界でよくイメージするとおりで基本的にこんな感じなのだ。

 文句を言われても、暴力を振るわれても下の方の人間が泣き寝入りするしかない。
 剣と魔法の世界にも理不尽な現実は普通にあった。

「すみません……すみません……すみません」

 中年はただ頭を守りながら謝るのみ。
 やがて少年貴族もスッキリしたのか『今後二度と僕の前に姿を見せるなよ!』と言って何処かに行った。

 ちなみに中年に狙いを絞って散々言い掛かりと暴力を振るっているのは当の少年貴族の方である。
 それが変に有名になったのか、他の学園の生徒も清掃員の中年から距離を取っていた。

 清掃員とはいわゆる学校にいる用務員のおじさんだ、基本的するのが掃除だけなので用務員と言うよりは清掃員と呼ばれている。

 中年の名前はラベル=エリアドール、青い天パー頭と黒い瞳のいまいち冴えない顔をしたアラサー中年である。
 用務員の服についたゴミを落としながら中年は呟いた。

「ふうっもう少しお金を貯めてから辞めるつもりだったけど、そろそろ潮時かもな…」


 ◇◇◇◇◇◇


 俺はこの広大過ぎるくらい広大な土地を持つベルフォード学園で用務員をしている、まあ基本的に仕事は馬鹿広い学園の掃除や土地の中にある森の木々の剪定とゴミの処理だから清掃員呼ばわりされるのが常だ。

 仕事内容は別に良い、日本の用務員よりも多分だが給料も多く貰っているからな。
 ちなみに俺、前世日本人ですハイ。

 まあ異世界に転生しても神様に出会ってチート持って転生! とはならなかった。
 前世のゲームばっかしてた引きニートの記憶だけがあるアラサーだ。

 まさか前世で死んだ年齢とそう変わらん年齢まで人にこき使われる人生を剣と魔法の世界で生きるとは思わんかったわ。

「本当、前世も産廃キャラなら転生しても産廃キャラとは……」

 ホウキで廊下を掃除しながらしみじみ思う。
 産廃キャラとはスマホゲーで実装されたものの、これっ何の役に立つの? 使えないじゃんってプレイヤーに烙印を押されたキャラの事だ。

 まっ大抵本当に使い道がないキャラなので仕方ない。産廃キャラとはそんなもんである。
 まさに今の俺を言い表すのに相応しい言葉ですな………泣けてくる。

 最初はこんな卑屈じゃなかった。
 異世界に転生したならチートとかあるかもと十代中頃で冒険者ギルドに登録して冒険者になったりもした。

 そして最初の依頼で異世界産の野生動物にコテンパンにされて以降は二度とギルドに顔を出さなくなったのだ。

 その後はこの世界で親となった農民な普通の両親のもとで農民と過ごしていたら変な魔導師と出会った、そしてその人の元で俺は魔法の修行をする事になる。

 そりゃ異世界に来て魔法を覚えたいかと聞かれたらイエスと答えるだろう? しかしその結果、このベルフォード学園に連れて来られ、しかし別に学園の生徒になるなんてテンプレイベントはなく用務員として働く事になってしまった。

 それから十数年、あの変人魔導師の師匠とはもう十年以上音信不通で俺は惰性で学園の用務員おじさんを続けてきた。

 振り返ってみると我が事ながら本当につまらん人生を送ってきたもんである。
 しかしプラスもあった、娯楽の少ない異世界は少し我慢すればお金が貯まった事だ。

 そして結構貯まった、金貨にして三十枚程だ。
 この世界なら贅沢しなければ残りの人生それなりに楽しんで生きていける金額となる。

 ここの用務員って給料だけはそこそこいいのである。日本だと給与は安めなんだけどな用務員って。

 俺はお金を貯めて夢のセカンドライフを夢見ている、故にこんなクソガキ共に馬鹿にされまくる仕事でもずっと続けてきたのだ。

 この学園の人間って基本的に用務員なんて見下すか空気さん扱いしてその存在を認識すらしないかの二択なんだよ、どっちも辛いのだ。

 本当に……しんどかった。
 今度給料を貰ったら一身上の都合で辞めますって言おう。

 俺が内心そんな決意をしていると、横か何か言ってくる声がした。
「そこはもう十分に掃除したんじゃないのか?」

 視線を向けるとそこにはとんでもない美女が立っていた。
 ウェーブのかかった腰まである金髪と青い瞳を持つ美女だ。

 学園指定のカッチリした青い教師服と紺色のタイトスカートは膝に少し届かない長さだ。
 スラッとした長い足にはストッキングと青いヒールをはいている。

 ヒールは関係なく元から身長もあり切れ長の目と凛々しい雰囲気はまるで女騎士みたいな美女である、スタイルも抜群で出るところは出てもお腹回りはキュッとしていた。

 彼女の名はディアナ、このベルフォード学園の教師である。ここは教師も貴族しかなれないので俺をさっきまで蹴りまくっていたクソガキ同様に貴族様なのだろう。

 確か騎士として数多の武功を挙げて貴族になった家のご令嬢だったと聞いた憶えがある、このベルフォード学園でも有名人な女性だ、ここに長くいる俺の耳にもその優秀さは届いている。

 曰く、魔法一つで大型の魔獣や魔物を何十体も瞬殺するとかスケベな視線を向けてきた同僚を粛正したとか。怖いね~。

 しかし見た目だけは男の理想、その一つを形にしたようなブロンド美女が目の前にいる。
 しかしその理想のブロンド美女は俺を厳しい目つきでにらみつけるように見ている。

「……すみません、失礼します」
「学園を清潔に保つのが用務員である貴方の仕事のはず、貰う物を貰っている以上仕事は誠実にお願いする」

 正論だね、ただこちとらさっきまでこの学園の生徒に足蹴にされていたから少し休憩が欲しい。
 ってかこのブロンド美女、俺が蹴られてるのを見てなかったのか? 見てるわけないか。

 このベルフォード学園で用務員おじさんはまさに空気さんだ、視界入っても道端の石ころ同様に気にもされないのである。

 俺はブロンド美女に頭を下げて逃げるように移動した。
 そして一人になったタイミングにて。

「………ん? この反応は、魔物か?」
 俺がこのベルフォード学園全体に張っている魔法の結界に魔物の反応があった。

 魔法って本当にファンタジーで大抵の事は何でもありなのだ、だからか教師か生徒か知らんけどたまに魔法の実験で生み出した魔物を広い学園の敷地に放逐する阿呆がいる。

 そんな魔物の掃除も用務員おじさんの仕事なのである、まあ俺以外これを掃除してるヤツを俺は知らないけどな。そもそも騒ぎになる前に処理するし。

 何故なら騒ぎになるとうるさいんだよ貴族って学園の中だけでも面倒くさいのに外のモンスターペアレント共もうるさい。

「…………行くか」

 俺も魔法使いの師匠と修行したので魔法が使える、種類は色々だ、器用貧乏な魔法使いの魔法なのでそこそこレベルでしかない。
 俺は『転移』の魔法を発動して魔物の掃除に向かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...