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第30話 英雄の夢(1)
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「……ちっ気に食わないな」
バリーは苛立っていた。現在彼はダンジョンの樹海の中をベルフォード学園の教師や生徒達と共に野営をしていた。
気に食わない相手とは当然ラベルである、ラベルが現れたせいでバリーの思い描いていた展開とは違う事が起こってしまったからだ。
(何が風呂だ、安全な場所だ! そんな場所がこのダンジョンにあるわけがない、ヤツは用務員だぞ。常日頃から僕達貴族から虫ケラ同然に扱われてきた存在だ、何故そんな者を信用出来る……)
バリーはラベルの言葉の全てを嘘だと考えた、ノコノコついて行けば魔物の巣にでも案内され、エサにされると。魔物の中には知恵を持つ者もいる、そんな魔物があの無能な用務員を利用して自分達貴族を狙っているんだと考えていた。
そんなバリーの言葉の方を信じた学生や教師は彼の元に残ったのだ、しかし半分以上の者はバリーから離れる選択をした。彼にはそれも許せなかった。
あの声によれば、バリーには本来途轍もない魔法の才能が眠っている。あの声はその才能を目覚めさせる事が出来ると言われた。
あの飛行艇が墜落した時、バリーは何とか生き残った。しかし飛行艇から脱出した時には既に回りを魔物に囲まれていた。
バリーは自分の命はここで尽きるのかと恐怖した。何故、貴族である自分がこんな事に巻き込まれなければならないのかと思った。船員達は魔物から自分達を助けてくれと言ってきた、そんな力なんてない、そもそも何故貴族が下民などを助ける必要があるんだと怒鳴りつけた。
船員達はバリーを見限り自分達で手頃な物を武器に魔物と戦い始めた。バリーは船員達が戦っている隙に逃げ出そうとも考えたがそれは不可能だと理解する。
このままだとどの道死ぬ、バリーは絶望した。
その時に聞こえたのがあの声だった。
『君はね、選ばれた才能の持ち主なんだよ。こんな所で死んでいい筈がない、ボクがほんの少し力を貸してあげる。さあっ君の魔法でヤツらを消し去るんだ!』
ラベルは声の言うがままに魔法を発動した、群がる魔物は吹き飛んだ、魔物と戦っていた船員達も巻き添えになったが声は言う。そんな事は些細な事だと、選ばれたバリーが生き残る事が最も大事なのだと。
バリーは圧倒的な魔法の力で魔物達を殲滅した、しかし船員達はそんなバリーを見て恐怖したのか礼の一つも言わないどころか魔物が現れた樹海の方へと逃げていった、まるでバリーから逃げる様に…。
「……何故ヤツらは逃げた?」
『決まってるよ、魔法なんて禄に見たこともない彼らは魔物を屠る君に畏怖を覚えてたのさ。凡人には仕方のない反応だよ、選ばれた存在は常に孤高なのだから』
(…そうか、そうなのかも知れないな)
バリーは声の言葉を鵜呑みにした、その声の主は少し笑いを堪えているのだがそれには気付かなかった様だ。
目の前で同僚ごと魔物を躊躇なく魔法で攻撃した存在を前に、彼らが何を思うのかすら今のバリーには分からなかった。
そして声のアドバイスに従い、飛行艇で魔物を殲滅した事を秘密にした。声は言う。
『君の真の実力を披露する舞台は必ず訪れる、その時君は、彼らの英雄となるんだよ』
そんな言葉を聞いたバリーはその時が来るのをほくそ笑んで待った。そして遂にその時が来る!
ダンジョンで初めて訪れた夜、本来常に闇に囲まれたこの異次元だが樹海も魔物も、そして人の姿はハッキリと視認出来る。
しかしその視認が途端に困難になる時間がダンジョンには訪れるのだ、まるで本来ある闇が働き始めるかの様に周囲の殆どが薄暗い闇に覆われる。それがダンジョンの夜だ。
その時に動きだす魔物が存在する事はベルフォード学園の人間でも知っていた。問題はここは未知のダンジョンであり存在する魔物も未知なる存在だと言うことであった。
それぞれが使える魔法で身の安全を確保していた、結界を張り、罠を仕掛け、守りを固めた。
しかし月光蛾の鱗粉は結界を消し去り、罠は黒魔猫の魔法で破壊され、固めた守りを破り夜狩梟が飛来してきた。
学園の人間は大パニックになった。その襲撃について事前にあの声から話を聞いていたバリー。
「何故その襲撃について、他の生徒や先生に話してはいけないんだ?」
『彼等は君の真の実力を知らない、全てを話しても相手にすらされないさ。しかしここで君が英雄となれば今後は変わるだろう』
「だが、もしも犠牲者が出れば」
『君がリーダーとなりこのダンジョンから多くの仲間や先生を助ける為の尊い犠牲だよ。あの船員達の様にね』
「そうか、必要な……犠牲か」
『フフフッそうだよ……』
魔物達が学生や教師を襲う、それまで相手にしてきた魔物は魔法に弱い魔物ばかりだったのだが夜襲を仕掛けて来た魔物は全て魔法に強かった。
ベルフォード学園の人間達は大苦戦を強いられる、そして頃合を見ていたバリーが動きだした。
バリーは苛立っていた。現在彼はダンジョンの樹海の中をベルフォード学園の教師や生徒達と共に野営をしていた。
気に食わない相手とは当然ラベルである、ラベルが現れたせいでバリーの思い描いていた展開とは違う事が起こってしまったからだ。
(何が風呂だ、安全な場所だ! そんな場所がこのダンジョンにあるわけがない、ヤツは用務員だぞ。常日頃から僕達貴族から虫ケラ同然に扱われてきた存在だ、何故そんな者を信用出来る……)
バリーはラベルの言葉の全てを嘘だと考えた、ノコノコついて行けば魔物の巣にでも案内され、エサにされると。魔物の中には知恵を持つ者もいる、そんな魔物があの無能な用務員を利用して自分達貴族を狙っているんだと考えていた。
そんなバリーの言葉の方を信じた学生や教師は彼の元に残ったのだ、しかし半分以上の者はバリーから離れる選択をした。彼にはそれも許せなかった。
あの声によれば、バリーには本来途轍もない魔法の才能が眠っている。あの声はその才能を目覚めさせる事が出来ると言われた。
あの飛行艇が墜落した時、バリーは何とか生き残った。しかし飛行艇から脱出した時には既に回りを魔物に囲まれていた。
バリーは自分の命はここで尽きるのかと恐怖した。何故、貴族である自分がこんな事に巻き込まれなければならないのかと思った。船員達は魔物から自分達を助けてくれと言ってきた、そんな力なんてない、そもそも何故貴族が下民などを助ける必要があるんだと怒鳴りつけた。
船員達はバリーを見限り自分達で手頃な物を武器に魔物と戦い始めた。バリーは船員達が戦っている隙に逃げ出そうとも考えたがそれは不可能だと理解する。
このままだとどの道死ぬ、バリーは絶望した。
その時に聞こえたのがあの声だった。
『君はね、選ばれた才能の持ち主なんだよ。こんな所で死んでいい筈がない、ボクがほんの少し力を貸してあげる。さあっ君の魔法でヤツらを消し去るんだ!』
ラベルは声の言うがままに魔法を発動した、群がる魔物は吹き飛んだ、魔物と戦っていた船員達も巻き添えになったが声は言う。そんな事は些細な事だと、選ばれたバリーが生き残る事が最も大事なのだと。
バリーは圧倒的な魔法の力で魔物達を殲滅した、しかし船員達はそんなバリーを見て恐怖したのか礼の一つも言わないどころか魔物が現れた樹海の方へと逃げていった、まるでバリーから逃げる様に…。
「……何故ヤツらは逃げた?」
『決まってるよ、魔法なんて禄に見たこともない彼らは魔物を屠る君に畏怖を覚えてたのさ。凡人には仕方のない反応だよ、選ばれた存在は常に孤高なのだから』
(…そうか、そうなのかも知れないな)
バリーは声の言葉を鵜呑みにした、その声の主は少し笑いを堪えているのだがそれには気付かなかった様だ。
目の前で同僚ごと魔物を躊躇なく魔法で攻撃した存在を前に、彼らが何を思うのかすら今のバリーには分からなかった。
そして声のアドバイスに従い、飛行艇で魔物を殲滅した事を秘密にした。声は言う。
『君の真の実力を披露する舞台は必ず訪れる、その時君は、彼らの英雄となるんだよ』
そんな言葉を聞いたバリーはその時が来るのをほくそ笑んで待った。そして遂にその時が来る!
ダンジョンで初めて訪れた夜、本来常に闇に囲まれたこの異次元だが樹海も魔物も、そして人の姿はハッキリと視認出来る。
しかしその視認が途端に困難になる時間がダンジョンには訪れるのだ、まるで本来ある闇が働き始めるかの様に周囲の殆どが薄暗い闇に覆われる。それがダンジョンの夜だ。
その時に動きだす魔物が存在する事はベルフォード学園の人間でも知っていた。問題はここは未知のダンジョンであり存在する魔物も未知なる存在だと言うことであった。
それぞれが使える魔法で身の安全を確保していた、結界を張り、罠を仕掛け、守りを固めた。
しかし月光蛾の鱗粉は結界を消し去り、罠は黒魔猫の魔法で破壊され、固めた守りを破り夜狩梟が飛来してきた。
学園の人間は大パニックになった。その襲撃について事前にあの声から話を聞いていたバリー。
「何故その襲撃について、他の生徒や先生に話してはいけないんだ?」
『彼等は君の真の実力を知らない、全てを話しても相手にすらされないさ。しかしここで君が英雄となれば今後は変わるだろう』
「だが、もしも犠牲者が出れば」
『君がリーダーとなりこのダンジョンから多くの仲間や先生を助ける為の尊い犠牲だよ。あの船員達の様にね』
「そうか、必要な……犠牲か」
『フフフッそうだよ……』
魔物達が学生や教師を襲う、それまで相手にしてきた魔物は魔法に弱い魔物ばかりだったのだが夜襲を仕掛けて来た魔物は全て魔法に強かった。
ベルフォード学園の人間達は大苦戦を強いられる、そして頃合を見ていたバリーが動きだした。
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