咲き誇る陰で、

藤岡 志眞子

文字の大きさ
上 下
1 / 40

1 向日葵の根元

しおりを挟む
「毎日毎日、つまらん。非常~に、つまらん。」

数多くの闘いに勝ち、数十年前に王国を建国した一族。やる事がなくなり暇を持て余す日々。

「薔薇の娘がこの間この婿は嫌だの、あの婿は嫌だのと貴賓室で暴れておったが、どうなった?」

「いつも薔薇の者達は皆、あぁいった感じです。こちらで紹介した菊の者を嫌がっておりまして。」


王様は髭をいじりながら、(薔薇)以外のグループを思い浮かべる。その国は一族に因んで、国民は五つのグループに分けられていた。

財産が多くハイセンス、大らかな性格で一目で心を奪われる、牡丹。
才色兼備でプライドが高く、棘が鋭くキツい、薔薇。
多彩多芸で天才肌の、魅力的で誰からも愛される、桜。
誠実で実直で、清潔感溢れる芳しい香りの、白百合。
控えめでいて、分け隔てなく誰にでも手を差し伸べる慈愛に満ちた、菊。
そして、国民の大半である蒲公英。
その国民を束ねるのが、王族である大輪の花、向日葵である。


「ほぉ?良いではないか。菊の者は良いぞぉ?差別はしないし、嫌な仕事も引き受けてくれるしなぁ。」

「その、はっきりものを言わない、ナヨナヨした態度が嫌だと仰っておりまして。」

「なら、変わり者は多いが桜の者にしたらどうだ?」

「桜…ですか。そうですね。その娘と歳が近い。…会わせてみましょうか?」

「うんうん、そうしたまえ…。ん~、」

「ど、どうかされましたか?」

「面倒くさいし、なら全部集めてお見合いパーティでもしたらどうだ?」

「…え。」

そうして、一組ずつ世話を妬くのが面倒くさくなった王様は、前代未聞の合コンパーティを開催する事にしたのであった。
しおりを挟む

処理中です...